全部押さえる知識として頭に入れるのはなんだか無理

洋楽はちょうどクイーンのバイシクル・レースとかエアロスミスのドロー・ザ・ラインが小学校高学年くらい。それらは邦楽歌謡曲と並んで入ってきた。本気の洋楽は小学生の耳にはなかなか入ってこなかった。ディープ・パープルはもう解散してた。そこらをすっ飛ばしてスペシャルズだったので長髪のロックに馴染めるまで時間がかかった。レッド・ツェッペリンをまともに聴いたのは二十歳を越えてからだ
の続き。

ロック系軽音楽雑誌は何冊も毎月出ていた。新譜の情報も活動状況も書いてあった。共通して方向があった。だから中学生や高校生の私でもなんとか追っかけられる、名前だけは知っている、有名なのも知っている、みたいなのがあった。きっと当時もその外側にすごい種類のロックがあったんだろうけど、私のところまではこなかった。

いまはもうメインストリームの太いやつも何本もあって、そこから分かれた細いのも無数にあって、私が高校時代に通っていたライブハウスのガレージバンドなんか比べ物にならないレベルの上質なクオリティのものがその細い流れにいくつもあって、とてもじゃないけど全部押さえる知識として頭に入れるのはなんだか無理っぽくなった。いい紹介者が紹介してくれた時にその紹介された音楽を聴くので精一杯になった。世界はとてつもなく広くなった、とてもいいことだ。太い川一本だけの時代にくらべたら天国のようだ。

で、冒頭。入り方がそれだったので、1980年に髪の毛が長くて半裸でベルボトムのジーンズなんかはいてるのはどこの時代遅れのバンドだ、とずっと思っていた。西洋でも70年代はとても醜い年代なので(たしかアグリーセブンティみたいに呼ばれていた)二度とリバイバルはしない、と言われていたし、私も「そうだなwww二度とないよなあれかっこわるいもんな」と思ってたあれが、名前を変えて簡単にリバイバルしてきた。だいたい三十年かかった。いま、旧ボンタンのことをテーパードって呼んでる。ボンタンと言え。


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