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叛逆の鈴木大介/鈴木システム 四間飛車編

その手があったか!!インスタ映えする表紙で拡散を狙うっ!!!
これが鈴木システムかっっ!!!!
まさか将棋本から新機軸が産声を上げるとは!!!!
オレは見事にお先棒担がされてるのかっっっ!!!!!

将棋界の東野圭吾 汝の名は鈴木大介

鈴木システム四間飛車編 2024年3月初版刊行

鈴木大介ほど筆が早く滑脱な棋士は他にいない。
筆者は鈴木大介の著作をデビュー以来、ブックオフを中心にくまなくあまねく漏れなく購入しているが、もはや20作目以降はよく覚えていない。
基本的に同じことのリピートなのだが、それでも何故か購入してしまう魔性が鈴木大介の著書にはある。
振り飛車が大優勢というイデオロギーに則って描かれる世界観は多くの人々を魅了してやまない。
20世紀末、厳密には1998年ぐらいって全然厳密ではないがそれぐらいに「四間飛車穴熊」を上梓して以来、鈴木大介は将棋書籍を常にリードしてきた。

いみじくもこの時期はあの東野圭吾が直木賞をとるとると云われながらも、なかなか取れずにファンが隔靴掻痒たる想いを抱いていた時期と合致する。
きっと合致するはずだ。



パレートの法則の体現者 汝の名は鈴木大介


パレートの法則とは何か?
別名・2:8の法則とは何か??

説明しよう。

例えばN連盟という組織があったとしよう。
このN連盟において組織に利益をもたらしているの全体構成員のおおよそ2割に過ぎない。
残り8割はN連盟という組織におんぶに抱っこでぶら下がっているだけなのだ。
これは何もN連盟という組織だけの因習やエートスではない。
どんな組織であっても、
「働きアリ:サボりアリ」=「2:8」と分かれてしまうのだ。

では、話しを将棋出版業界における鈴木大介の偉大さに戻そう。
将棋書籍というものは身もふたもない話だが、押し並べて採算が合わない。
5万部出ればヒット作と云われる将棋書籍にあっては5万部以下の書籍では元が取れていないのだ。
このままでは将棋書籍を出せば出すほど出版社が赤く染まってしまう。
そこで利益を出せる人気作家が必要となるのだ。
これが小説カテゴリーならば東野圭吾となり、将棋カテゴリーならば鈴木大介となるわけだ。
つまり「働きアリ:サボりアリ」=「2:8」のうちの「2」を担うのが東野圭吾であり鈴木大介なのである。
このように「パレートの法則」「2:8の法則」は将棋書籍ジャンルで特に顕著なのだ。

よく若くして書籍を出して勘違いしてしまう御仁が将棋界隈には少なからずいる。
二十歳そこそこで上梓して一角の人物になった気になってしまう将棋棋士ないしそれに類するものだ。
「簡単なことをより難しく」「ユーモアって何??オレは大人の目をした言葉しか信じない」をテーマに小遣い稼いで悦に入っている御仁が多いねえ。

そうした「勘違いの8割」を支えているのが鈴木大介師匠なのだよ。





将棋界のゲッペルス 汝の名は鈴木大介


ドイツの宣伝省大臣たるゲッペルスがプロパガンダのコツをこういっている。

「3回同じことを繰り返す」

これを有史以来最も忠実に実行しているのが鈴木大介九段だ。

振り飛車の勝利宣言


「急戦には▲5七金」
「居飛車穴熊には▲6六銀」
「将棋は最後に振り飛車が勝つようにできています!」

ディテイルこそ異なれど20年前からいっていることの終着駅は同じであり、幾度も幾度もくりかえしくり返し繰り返し読んでいるうちに完全に前頭葉海馬領域にふかく深く不覚にも刷り込まれてしまったんだよっ。

四間飛車ならとりあえず穴熊、三間飛車なら真部流で景観勝ちというオレの普遍スタイルはくまなく鈴木大介師匠の刷り込みのせいだっっ。



マイナビの良き伴侶 汝の名は鈴木大介


鈴木大介師匠が将棋論壇で成功ではなく大成功をおさめたのには明確な理由がある。
それは出版社とのコンビネーションが秀逸極まりないということだ。
最新書籍である「鈴木システム」はその後にこっそりと「四間飛車編」と続いているが、ここに鈴木・マイナビ連合の叡智が密やかにだが確実に観て取れる。

どういうことか??
説明しよう。

四間飛車というのは腐っても振り飛車の王道であって、いや実際にいまや三間飛車におされてふて腐ってはいるが、四間飛車は振り飛車の王道であって必ず相応の部数が捌ける見込みがたつ。
だから「まずは四間飛車編で様子を見る」というのが、鈴木・マイナビ連合の目論見なのだ。
然る後、四間飛車編が読みどおりに売れたらば騎虎の勢い三間飛車編に食指を動かし、さらにあわよくば中飛車編でダメを押すというのが鈴木・マイナビ連合の青写真つまりは鈴木システムなのである。

思い出して欲しい。

名著として名高い「マイナビ出版/鈴木大介の将棋シリーズ」をっ。
四間飛車編、三間飛車編、中飛車編の順序で出たのではなかったか?

「居飛車穴熊には▲6六銀」「急戦には▲5七金」で振り飛車大優勢の結論ではなかったか?
つまり「将棋は最後に振り飛車が勝つようにできています」と行間で雄弁に語っていたのではなかったか?



将棋界のサバンナ八木 汝の名は鈴木大介

鈴木大介はその発言が理解されないケースがすこぶる多い。

「生まれて初めて詰みを逃した」
「飛騨の中飛車・合掌造りですね」
「羽生先生に久しぶりに指導対局で教わりたい」

などなどネット中継で聞き手の女流はもとより聴衆にすらスルーされる発言が極めて多いのだ。
「飛騨の中飛車・合掌造り」なんぞはその顕著な例である。
これは「5五の龍」という古典将棋漫画で描かれる駒組みないし囲いの俗称であり、マンガにも鈴木の造詣が深いことがよくわかる。
だが如何せん古い、古すぎる。
鈴木は1974年生まれだが、1974年生まれの生物学的人類平均ではおよそ知らんやろということを立板に水スラスラと語ってみせる。

羽生世代でもまず知らないことを澱み無く説いてみせる。
一言でいえば博覧強記で教養の射程がたいへんに広いのだ。
将棋界隈では将棋から半径35㎝のモノコトしか知らない御仁が多い中で、鈴木の教養射程は卓抜して広く深い。
だから鈴木は将棋界隈の枠におさまらない活躍ができるのだ。




大優勢から勝勢 汝の名は鈴木大介

鈴木大介の筆が止まっていた時期が長かった。
およそ2017年から2023年だったはずだ。
これは振り飛車がAIによって十字架を背負わされた時期にピタリ合致する。
連盟で重職につき尚且つマージャンにうつつを抜かし、将棋盤上ではミレニアムに完膚なきまでに叩きのめされ(鈴木大介-近藤誠也戦)、将棋論壇から逃亡したのではという観測すら流れたが、鈴木は2024年初春に還ってきた。


「急戦には▲5七金」
「居飛車穴熊には▲6六銀」
「将棋は最後に振り飛車が勝つようにできています」

SUZUKI SYSTEM

鈴木システムに満面の笑みを引っさげて。

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