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ドキドキする駅ランキング【阪急阪神沿線版】


住みたい街ランキングはどうにも人を傷つける。
「言葉は世界を文節化する」と言ったもので、
ランキングに選ばれなかった街の人々はやるせない想いになってしまう。

筆者の街も一応選ばれてはいる。
だが順位はつねに底辺で寸評すらつかないありさまだ。
やはり自分の街が低い評価を受けているのは辛い。

「みんなが住みたくない街にワタシは住んでいるのだ」と思わされることのなんと辛いことか。

住みたい街ランキング作成者がそこまで考えてランキングを公表しているのであれば良い。
だがもし仮に、配慮していないのであれば猛省するべきだと思う。

因果はめぐる風車。

怨嗟はどんな形で襲いかかってくるのかわからないからだ。


だがそうは言っても、
他人様を傷付けないランキングというのは難しい。

しかし極力それを希薄化する努力はできる。

そこで「ドキドキする駅ランキング」なのだ。

駅に興奮があり、血湧き肉躍り、生きていることを実感できる。
その駅にいるだけで己の存在証明レゾンデートルを得られる。
今日はそんなヤバい駅を厳選してみよう。






3位 阪神尼崎

ドキドキしないでこの街にいることは自己存在の否定だ。
この街ではドキドキしなければ生物学的人類が存在できない。

駅を降りた刹那、
人間の野生がよみがえり研ぎ澄まされる街がここにある。

ドキドキしなくても生きてはいける。
だがドキドキしなくては生きる意味がない。

大切なことを思い出させてくれる生のエルドラド黄金俠が阪神尼崎にあった。

あの中川家も絶賛の街なのだ。




2位 阪急中津

阪急中津駅が堂々のランクイン。

驚くことなかれ。
中津駅は阪急神戸線、阪急宝塚線、阪急京都線という超高名3路線が通っている要衝ステーション。
この3路線揃い踏み駅は他に十三、梅田だけといえばその凄みが伝わるだろう。

京都線
     ↓          
宝塚線⇨ 十三ー→【中津】←ー梅田
     ↑
神戸線

全ての阪急沿線は中津に通ず


この中津駅。
恐ろしいのはその要衝としての重要度の高さではない。
重要度が極めて高いにも関わらず、駅幅は阪急沿線でも最薄級。
風に吹かれれば将棋のコマよりも先に飛んでいきそうな薄っぺらさだ。
その極薄幅を3路線で分かち合っているのだから、1路線あたりに分配される駅幅は必要にして極最低となる。
結果、阪急沿線で最もドキドキするプラットフォームの完成を見たのだ。

厳冬。
コートの襟をたて阪急神戸線普通電車から中津駅のプラットフォームに降り立つ。
さながら地上高1000メートルの宙空に架けられた幅50センチの命の板。
冷たい風が灯篭にともった最後の火を消すがごとく激しく吹きふさぶ。

現代人が忘却の彼方に起き忘れたドキドキが中津駅にはある。
生の輝きを知りたくば、この秋冬、阪急中津駅に行かなければならない。




1位 阪急稲野駅(伊丹線)

神のみぞ知る駅が「ドキドキする駅ランキング2024」映えある1位の座を射止めた。

青天の霹靂。
最も驚いているのは阪急稲野駅界隈の人々に違いない。

だが、その理由を記した2行後には「そうだった」と溜飲を下げること請け合い。

稲野駅には「つかしん」があるではないか。


「つかしん」は1985年9月27日に営業を開始した大型ショッピングモール。
厳密を期せば当時大型ショッピングモールという言葉はなく、
「郊外型超大型百貨店」としてあの堤清二肝入りで産声をあげたのだ。
東京ドーム2つ分以上の敷地面積だというからまず驚き。
1985年といえば東京ドームがなかった時代だったからまた驚きだ。
ちなみに東京ドーム第一号はヤクルト・デシンセイで、デシンセイは長嶋一茂の教育係と揶揄されていた。
昭和は遠くなりにけりだ😞

この「つかしん」はあまりに早い大型ショッピングモールだったため、お手本がなく異形の進化を遂げてきた。
そのためツカシンは「ガラパゴスショッピングモール」と呼ばれ続けてきた。
このガラパゴスショッピングモールという呼称をもじったのが皆さんお馴染みの「ガラパゴス携帯電話」略して「ガラケー」なのだ。
つまり我々の暮らしは知らず知らずのうちに「つかしん」によって間接的に支配されていたのである。

大型ショッピングモールの始祖にして聖地「つかしん」。
巡礼者が後を絶たず、迷える子羊たちがツカシンに向かうのに立ち寄るのが最寄駅「阪急伊丹線・稲野駅」なのだ。

阪急伊丹線
稲野駅 🔛 つかしん
   徒歩4分

      ↑
      ↓徒歩17分
阪急神戸線・塚口駅😞

つかしんのアクセス図


大型ショッピングモールのメッカ最寄駅として「稲野駅」は今日も迷える子羊たちを慈悲深く見守り続けている。


そして、
来年2024年9月27日で30周年を迎える聖地「つかしん」。

他のショッピングモールでは滅多に目にできない、名うての店舗が覇を競っている。
さながらガラパゴス梁山泊。



フワトロな親子丼でドキドキ感を演出する「九州 鳥若丸」さん。



20時からの隠れメニューで訪れるものの度肝を抜く「家康」さん。



抹茶・ほうじ茶ソフトクリームの完成形を提示し、口にするものを驚愕させる「お茶の玉宗園」さん。



アバンギャルドな靴を世に示し続ける「靴のしまむら」こと「Divalo」さん。




そして、新しい息吹も芽生えつつある…

40年間変わることなく、ドキドキ感を満喫できるヤバい大型ショッピングモール「つかしん」。

この「つかしん」の最寄駅として、
「稲野駅」は40年間、街いく人々を静かに見守ってくれている。






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