新自由主義から新統制主義へ/21世紀の大転換
二十一世紀に入って世界を席巻している新自由主義経済。
新自由主義経済はその帰結として「あるもの」を復活させた。
それが統制主義経済だ。
新自由主義経済がくれたもの
二十世紀後半にミルトン・フリードマンが提唱した新自由主義は、二十一世紀の世界に大きな貧富の格差をもたらしている。
労働雇用と労働所得は減少し、いわゆる「99%」の人々は労働所得によって露命をつなぐのが難しくなっている。
新自由主義経済が世界にもたらしたものは、
再びの豊かさではなく、更なる貧困だった。
ベーシックインカムという新統制主義経済
2024年夏。
タイが国民の8割を対象にベーシックインカムをデジタル通貨にて給付するとアナウンスした。
ベーシックインカムとは、
AI化・機械化によって職と労働所得を失った国民に国家が最低所得を給付する制度だ。
だが、国家が最低所得をなんの見返りもなしに給付するわけではない。
国家は国民から「個人情報」を「徴税」する。
国民から個人情報を徴税した対価として、国民に最低所得を給付するのだ。
新自由主義によって、
99%が労働所得を得られなくなり、国家は金銭での税取り立てが困難になった。
だから、国家は金銭ではなく個人情報で税を取り立てる方向へと舵を切っている。
この典型事例がタイのベーシックインカムなのだ。
タイに限らずベーシックインカムはデジタル通貨ないしそれに類するものを伴って導入される。
デジタル通貨は「誰が」「いつ」「どこで」「何を」「どのように」・・・といった個人情報を把握することが可能な「魔法の通貨」だ。
だから、デジタル通貨を前提としたベーシックインカムは、
個人情報と最低所得の交換取引となる。
ここから先は複数考えられるシナリオのうち、一つのシナリオに絞って論を進める。
…
国家は国民から徴税した個人情報を用いて、インフラを最適化していく。
これが1つのシナリオの序曲である。
例えば、
国家はデジタル通貨導入によって人々の電車の利用時間・行き先などを精緻に知ることができる。
電車の利用時間・利用方法などが精緻に分かれば、電車の運行本数・時刻表を合理化することは簡単だ。
人々の行き先の偏りを分析すれば、電車数を増やさずに混雑を減らし、かつスピードを上げることが可能だ。
人々の利用時間が分かれば、無利用の電車数を減らして人件費を自然削減することができる。
こうして、ベーシックインカムによって個人情報を掌握した国家はインフラ整備を最適化できる。
試行錯誤なき真っ直ぐな最適化だ。
インフラ整備を最適化すれば、人件費負担やインフラ投資を圧縮しつつ国民の利便を飛躍的に向上させることができる。
インフラ整備の最適化によって人件費負担やインフラ投資を圧縮できれば、財政は改善する。
財政が改善すれば、最低所得を給付する余裕が生まれる。
最低所得を支給されれば人々はデジタル通貨にて経済活動を行い、個人情報で現物納税できる…
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