渋澤健さんが語る『論語と算盤』にはコミュニティ運営のヒントが詰まっていた。

コミュニティのイベントで渋澤健さんのお話を伺う機会があり、めちゃ感動したので完全には消化できていないのですが、考えたことをまとめておきます。

■渋沢栄一さんの「見えない未来を信じる力」

渋澤健さんといったら渋沢栄一さんの子孫にあたる方ですが、僕の関心ごとはなんといっても『論語と算盤』です。ビジネスの世界にいる人はもちろん、ファイターズ栗山監督や大谷翔平選手といったスポーツ界の人もその言葉から学び、自己を高める際の羅針盤とされています。

渋沢栄一さんについてはこれから大河ドラマにもなるので、じっくり学びたいと思っていますが、渋澤健さんの話で印象的だったのは『見えない未来を信じる力』を持っていた方だったそうです。幕末の時代から明治へと時代が変わり、先行きが不透明な時代に国の未来を思いつき想像を絶する行動力で社会に影響を与えていきました。500の企業と600の非営利団体をつくった方としてその実績はとても有名ですよね。

見えない未来を信じる力を高めるためには、見える未来（少子高齢化のような避けられないであろう未来）を知り、社会における自らの役割について考え、高い志を持つことが大事だと渋澤健さんはお話くださいました。

コミュニティ運営をしていると明確な目標設定ができなかったり、手探りで運営しているフェーズが必ずありますよね。目標を掲げると『チーム』の要素が強くなってしまうし悩ましい。僕も毎年同じことを繰り返して成長感が感じられないという声をもらうことがあります。

それでも存在理由を考え続けて、一周まわって元の位置に戻るのではなく、らせんのように高さをつくりながら、成長させていきたいもの。今の活動をどういう方向に動かしていけば自分たちの未来をより良い方向に導くことができるのか。運営メンバーは明るい未来を信じて走っていくことも大事ですが、現状を的確に把握して現在の延長にある未来をみて、ありたい姿を引き上げていく組織つくりができたらいいよなぁなんて思いました。今日はちょっとマジメな感じですね笑

■論語と算盤にある「と」と「か」の力

渋澤さんは『論語と算盤』についてもがっつり話をしてくださいましたが、中でも『論語と算盤』の『と』の話が目から鱗。渋澤さんは「これ、論語【か】算盤ではなく、論語【と】算盤であることが大事なんですね。」と話します。

【か】は白か黒の「どちらか」という意味合いですが、【と】はアンドという意味合い。渋澤さんは【か】の力だけでは、渋沢栄一さんや坂本龍馬のように未来を変える新しいクリエイティブを作り出すのは難しいものだと話されました。【と】の力は一見、離れていてフィット感のないような２つのものを、共に大事にしていくことに始まります。すぐに成果が出ないことでもあきらめずに取り組むと、それがあるときフィットし新しいクリエイションを生み出してくれることがあるということ。確かに論語と算盤も一見離れているような印象を受けますよね。

渋沢栄一さんの言葉には『論語と算盤は甚だ遠くして甚だ近いもの』というものがあります。まさにこの【と】のことを指しているのだとわかりました。

また、【か】の力はAI社会では通用しなくなるという話も。今の時代のAIはすべてを知ってから先を予測するのですが、見えない未来を信じる力を持っていないんですね。対して【と】の力は人間の力そのものです。人間しか持っていないイマジネーションはここにあります。例えば会ったことのない人や遠く離れた貧困地域のことを考えたりできるのは人間だけの特徴なんだそう。私の幸せとあなたの幸せも【と】の話です。そういう意味でもこれからの世の中は壮大な【と】の力が求められていくんだなと感じました。コミュニティ運営も【と】の力が求められますね。コルクラボなら居場所と学びかな。なかなかリンクさせるのが難しいけれど。

■運命と宿命について

僕はストレングスファインダーの１位が「運命思考」ということもあり、兆しのようなものを信じて生きているところがあります。宿命というと宿る命と書くので変えられないものという概念ですが、運命は運ぶ命と書く通り、自分で変えることができるものだと渋沢さんは最後に話してくださいました。自分の運命は毎秒リセットされているものだと思い、いい方向へ変えていきましょうというメッセージもいただきました。ハートの熱いお方でした。

最後に、渋沢栄一さんの財産についてですが、渋沢栄一さんは生前たくさんの事業を立ち上げておきながら子孫に財産を残さなかったそうです。それに対して渋澤健さんはこう語ります。「１番の財産は、言葉。言葉は税も取られないし、今の時代にも使える言葉は財産として価値が下がってない」なんと美しい言葉！と僕はすっかり渋澤健さんのとりこになってしまったのでした。

コミュニティ運営をしていると「お金も儲からないし、むしろ自分の時間とお金を使いまくっているのになぜやってるの？」と聞かれることがあります。僕は将来、決して価値が下がらない、そしてお金では手に入らない経験や仲間を自分の未来に残すためにやっているのかもなぁ。関わる仲間とも同じように互いの未来に財産を残せるように付き合っていきたいなと思います。これって見えない未来を信じる力ですね。そういうことですね。

いい感じにまとまったので今日はこれくらいにします。渋澤健さんカッコよかったなぁ。

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