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【報告】第21回かわごえ環境フォーラム(2月25日開催)

開催概要

 2月25日(土)9:30-16:30にウェスタ川越活動室1・2において、「第21回かわごえ環境フォーラム」を開催しました。

 コロナ禍に入った2020年は中止、2021年・2022年は規模縮小による開催となっていましたが、今回は2019年以来4年ぶりに参加者によるワークショップを開催できました。午前の部(オンライン参加を含む)、午後の部を合わせて延べ約150名の参加者でした。

 また、この行事に合わせて発行を重ねてきた「かわごえ環境活動報告集」を初めてフルカラー印刷で発行しました。なお、報告集のPDF版を下記ページに掲載しています。

 本行事の開催にあたっては、川越市の後援、パイオニア株式会社川越事業所、武州ガス株式会社、株式会社環境総合研究所、初雁興業株式会社の4社の協賛をいただきました。毎回ご協賛いただきまことにありがとうございます。

(小瀬博之)

午前の部 かわごえ環境活動報告会

 午前の部「かわごえ環境活動報告会」では、8件の報告がありました。

(1)ふくはら子どもエコクラブ「結びつく林の活動と身近なエコ活動」

 発足から12年目。小学生が主メンバーで、地元の循環型農業や雑木林などの自然環境を守ることが基本活動。農業体験・雑木林の生き物調査・県の「こどもエコフェスティバル」(3年ぶり開催)参加報告・SDGs勉強会などたくさんの活動を報告いただきました。

(1)ふくはら子どもエコクラブ

(2)増田純一(NPO法人かわごえ里山イニシアチブ)「生物多様性有機農法が土壌の健全化と地球温暖化防止に貢献」

 生物多様性有機農法による川越市福田の田んぼの土壌バクテリアは56種もの豊かな土壌菌で構成され、窒素固定するバクテリアも含まれていることがわかった。有機農法は土壌を健全化し、温室効果ガス亜酸化窒素(N2O)の原因となる化学肥料を減らし、地球温暖化防止にも貢献するとのこと。

(2)増田純一さん

(3)福原時夫(埼玉県生態系保護協会川越・坂戸・鶴ヶ島支部)「キタミソウの歴史と分布」

 2018年11月11日に伊佐沼で発見されたキタミソウ(絶滅危惧II類:環境省)の調査・生育状況の報告、並びに埼玉県内での新たな自生地発見箇所や歴史について紹介。今後も行政・他団体との連携を図って埼玉県内にとどまることなく継続的に調査を行っていくとのこと。

(4)丸岡巧美・成川正行・長谷川清(環境製品評価研究協会)「太陽光発電による蓄電と暮らしの節電」

 CO2削減が期待できる太陽光発電パネルからの電力を蓄電池に蓄え、電化製品への活用方法や節電の検証実験の紹介。

(4)丸岡さん・成川さん・長谷川さん

(5)丹優介(東洋大学総合情報学部)「ボランティア活動から見るプラスチック問題の現状と課題」

 文献調査・実地調査・アンケート調査を行い、プラスチック問題の現状を明らかにした。プラスチックごみは拾うことも大切だが、生産者・消費者ともにプラスチック問題への意識を高め、環境に配慮した取組を増やし、環境中にごみを放棄しないことが大切であるとの結論。

(5)丹さん

(6)関沙耶香(東洋大学総合情報学部)「川越市における防災及び防災情報の現状と課題」

 市区町村単位での防災情報の発信及び意識、情報量の差が生じていることに焦点を当て、川越市の防災情報の現状と課題を調査。情報の受け手側のニーズや用途に合わせて活用できるよう、多言語対応や高齢者や子どもにも理解できる情報提供が求められるとの結論。

(6)関さん

(7)増田知久(かわごえ環境ネット)「社会環境部会の活動報告」

 「2022森フェスin川越」及び本会社会環境部会の活動概要の報告。

(7)増田知久

(8)賀登環(かわごえ環境ネット)「自然環境部会の活動報告」

 本会自然環境部会の活動概要の報告及び環境保全の現状と課題の投げかけ。

(8)賀登環

(3)福原さんを撮影した写真は見つかりませんでした。申しわけありません。

(飯島希)

午後の部 ワークショップ「若者×環境=暮らしに根ざした未来」

 午後の部のワークショップは、日本若者協議会「日本版気候若者会議」、Climate Youth Japan、Fridays For Future Saitamaの3団体をゲストにお招きし、各団体の活動内容を発表いただいた後、参加者とともに6つ(A〜F)に分かれてグループワークを行いました。

日本若者協議会「日本版気候若者会議」
日本若者協議会「日本版気候若者会議」
Fridays For Future Saitama

グループワークのテーマ

 2035年(2050年脱炭素を見据えて)にどんな未来になってほしいか

各グループの発表

Aグループ

 自然と歴史と文化の街という川越を、”新しい”文化と調和した未来にしていくという発想。

 緑を中心とした文化、例えば耕作地面積50%に向けて田畑に多くの人が関わる仕組みを作る。そのためには、計画を作るときにいろんな人が参加すること。そうすることで、いろんな緑×都市生活=新しい文化になるのではないか。

Aグループのテーブル
Aグループのプレゼンテーション

Bグループ

 脱炭素に向けては、便利さを保って二酸化炭素を減らすという矛盾とも言えることの両立化、学校給食のコンポスト化やガードレールの木質化といったアイデアも含めて、忙しすぎない街づくりをしてはどうか。それには、異年齢が話す場、憩う場を作ったり、自ら行動する人が育ち、モラル向上にもなる市民会議を設置するのがいい。

Bグループのテーブル
Bグループのプレゼンテーション

Cグループ

 川越を自立・自給の社会にする。川越のエネルギー・食・教育・産業全体が自立し、川越らしさのある街づくりが重要。

 川越らしさ、川越の魅力ある資源循環のあり方とはどういったことがあるか。それは、川越の自然環境の充実、特に中心部に少ない木を増やしたり体験型エコツーリズム、自転車道の整備や、幼・小・中学で土地にあった地域の行事を年中行事化し魅力ある人づくりもする。また、ゆるキャラにもっと力を入れてほしい。ゆるキャラを含め若者を呼び込む魅力の発信の工夫も必要。

Cグループのテーブル
Cグループのプレゼンテーション

Dグループ

 今の若者の中には、未来をあきらめている学生もいる。植物の名前も知らないし、体験が少ない。これまでの資本主義がゆえの金儲けや効率化がコンクリート化や農薬の多用になっている。農業の担い手不足等、人手不足だが、子ども・若者らにまず興味を持ってもらうところから始め、地域の人手不足は地域のコミュニティで人を育て解決していくよう、コミュニティの強さを育む。

Dグループのテーブル
Dグループのプレゼンテーション

Eグループ

 さつまいもシティをつくりたい。小学校でも芋ほりを毎年の体験学習にする。そしてさつまいもの日を制定する。また、オーガニック給食にして、学校でもオーガニック野菜をつくる。そうすれば、学校が大人と子どもの交流の場になり、みんなで話して考える場にもなる。

 他にも、どこでもドリンクバーがある街になってほしい。おいしい水やスポーツドリンクをどこででも無料で飲めるようにしてくれたらうれしい(小3生の声)。そしてアレルギーのない世界になってほしい。

Eグループのテーブル
Eグループのプレゼンテーション

Fグループ

 大学生の紙ストローは飲みづらいという発言から議論が始まった。生物分解する草ストローが開発されているが、そもそも使い捨てのための改良技術は果たしてエコなのだろうか。例えば、冷房も設定温度が強すぎで寒い。これはエネルギーの使いすぎ。包装も過剰包装を見かける。

 当たり前になっている日常を疑問に思うことからエコの議論を深め、なぜそれ(エネルギーの過剰使用など)が起こっているのかを見つめたところ、根本的な問題は、”意識”なのではないだろうかという結論に行き着いた。意識変革にむけて、SNSで発信し議論したり(真偽のリテラシーも重要)、環境教育が大切。

Fグループのテーブル
Fグループのプレゼンテーション

全体シェア

 2035年の望む未来像に対して、各グループから出た未来像は、全体像から個々のアイデアだったり、一方で問題化した現状の課題分析や事象のさらに奥へと考察を行い、人間の意識の問題という根本問題を浮上させたりと、多種多様の声が出てきました。

2035年の川越の未来像

 一言で言えば、「自立・自給の川越」。それは具体的にはどんな川越なのか。

 Fグループから出た意識の変革。当たり前のことをまず疑問に思い、それを深掘りし、本当の環境意識とは何かに気づく。変革した環境意識となることで、Bグループのいう便利と両立するCO2削減の日常にすること、その日常の延長線上に、Aグループのいう新しい文化が川越の文化になるのではないでしょうか。

 また、意識の変革。それは教育の場やコミュニティの場で体験や異年齢交流(B・D・Eグループ)を通して醸成されるのではないでしょうか。直して使う、自分で作るという以前には当たり前だった意識や技術の継承、幼少期から興味を持ち、体験を続けるうちに次の担い手の育成にもつながります。

 そして川越らしさにすぐにもつながるといえば、Eグループからのさつまいもシティづくり。農に親しむきっかけとなり、畑や田んぼ体験へとつなげられます。そして最後に、Eグループの小3生の願い、街中どこでもドリンクバーやアレルギーのない世界が実現できたら素敵です!子どもの声を形にできるのは先人の役目。若者の声を聞いて、経験からの知恵を生かし2035年の川越づくりにむけて議論とアクションをかわごえ環境ネットでは続けていきたいと思います。

 2025年には「川越市環境行動計画」が改定されます。望ましい川越の未来像に向けて、2035年までの川越市の取り組む具体的な行動計画を作る作業が今年度(2023年度)から始まります。このかわごえ環境フォーラム午後の部のワークショップで話し合われた声も参考にして話し合いを進めていきたいと思いますので、今後もみなさまご注目ください。

謝辞

 最後に、グループワークでファシリテーターを務めていただきました髙澤裕考さん(Aグループ)、小林範子さん(Bグループ)、佐藤真美さん(Cグループ)、髙澤日美子さん(Dグループ)、小川夕子さん(Eグループ)、吉田尚平さん(Fグループ)に御礼申し上げます。ご協力ありがとうございました。

(飯島希)

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