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【自然環境部会コラム】自然を訪ねて

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かわごえ環境ネット自然環境部会が担当するコラム「自然を訪ねて」のアーカイブです。 過去の自然環境部会コラムは「月刊 かわごえ環境ネット」アーカイブでご覧いただけます。 過去のコラ… もっと読む
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記事一覧

【自然環境部会コラム】自然を訪ねて(9)再加入して1年を想う

 昨年(2022年2月22日)、17年ぶりにかわごえ環境ネットに再加入しました。4年前に埼玉県生態系保護協会川越・坂戸・鶴ヶ島支部の支部長になり、組織内外から加入について打診がありました。22年前、かわごえ環境ネット設立当初、生態系保護協会の支部長が環境ネットの理事長に就任し、私に支部長をしてほしいとの依頼がありました。当時50歳の私は、重度の精神障害に見舞われていました。仕事の重圧と自然保護ボランティアの両立がうまくできず、支部長依頼を固辞しました。しかし、支部役員は辞めな

【自然環境部会コラム】自然を訪ねて(8)自然再生の林を訪ねて − ふるさとの緑の復活を願い

自然再生の林での活動 「キツネノロウソクを見に来ませんか」 6月初めの朝の電話。白秋の逢引の一節にある一度見たいと思っていたキノコだ。みんなで嗅いでみる。「やはり臭いね。」よく似たものにエフデ、タイマツもあると言う。  ここは三人の万年少年が己々の思いを胸に雑木林を復活させようと民有地の放置林の保全活動をしている50アールほどの気持ちのよい林だ。  クズはきをした落葉は腐葉土にして農家に届け、循環型農業の復活継続に役立てている。ナラ枯れが危惧される陽樹コナラの苗木を、子ど

【自然環境部会コラム】自然を訪ねて(7)自然環境保全のために生物多様性有機農法をめざそう!

今、農業が環境破壊を起こしています! 「亜酸化窒素(N₂O)」は、二酸化炭素(CO₂)の実に300倍を超える温室効果をもたらすと言われており、このことは大きく農業に由来しています。  図-1 は、亜酸化窒素の人為的な発生の内訳で、農業による発生量が実に全体の59%で最大を占めており、化学肥料によるものが約32.0%(図-2)と報告されています[1]。  この膨大な量の亜酸化窒素の発生源は、農業活動において大量に使われる化学肥料のアンモニアに由来するもので、その使用過多が大

【自然環境部会コラム】自然を訪ねて(6)自然の宝庫「坂戸城山」の一喜一憂!?

 坂戸城山の「一喜」は、2018年1月10日に「埼玉県希少野生動植物の種の保護に関する条例」で保護されているコクランの群生地が発見され、太陽光発電建設が中止になったことです。そして予定地17,000m2とコクラン、ミヤマウズラ、ヌマガヤ等の希少種の生育地の19,000m2の合計36,000m2が地主により坂戸市に寄付されたことです。坂戸城山の湧水地の山林を伐採して太陽光発電が設置されると、32年間「サワギキョウの会」によって守られて来た埼玉県では唯一になってしまった氷河期の植

【自然環境部会コラム】自然を訪ねて(5)伊佐沼で子孫をつなぐキタミソウ

 伊佐沼でキタミソウを見たいと思ったら座椅子の持参をお勧めします。小さな小さな生物を見るには腰を曲げ、頭を下げて地面に顔を摺り寄せなければその姿は見えません。一息いれながらゆっくりと落ち着いて観察しましょう。   寒帯性のキタミソウは真夏の地上は苦手です。種子の姿で冷房の効いた沼底で仮眠中のはずです。4年前の2018年11月11日に伊佐沼の定例の野鳥観察会のときに偶然に発見されました。誰もがいつも通る木道のそばでした。ず〜っと以前からそこで生きていたのです。キタミソウについ

【自然環境部会コラム】自然を訪ねて(4)川越版レッドデータブックを考える

川越の希少種  2月のかわごえ環境フォーラムで報告した「市民による川越生き物調査」によると、5年間に報告された植物は834種で、そのうち国や県のレッドリストに掲載されているのは50種ほどでした。この50種について安泰なものは少なく、中には数株しか確認されていないものがあります。そして、レッドリストに掲載されてはいませんが、川越においてはすでに希少になっているものもけっこうあります。いくつかご紹介しましょう。 イチヤクソウ  写真1のイチヤクソウは報告があったのは4メッシ

【自然環境部会コラム】自然を訪ねて(3)世代をつなぎ、子どもが取り組む地域の環境問題

ふくはら子どもエコクラブの活動 ふくはら子どもエコクラブは活動を始めて10年になります。楽しみながら環境問題で体験的に取り組む活動を続けてきた”地域こどもエコクラブ”です。環境問題は多様にありますが、基本は地域に根差した環境問題に関心を持ち、これに取り組むことが大切だと思います。  活動の基盤は川越市の福原で、雑木林をフィールドにして年間計画を作成し、子どもたちの興味と地域の課題を考えて体験的な活動にしています。  この活動は、”循環型農業の支援”と”雑木林などの自然の多

【自然環境部会コラム】自然を訪ねて(2)クモを探してみませんか?

網を張らないクモ 林の手入れをしていたらサッと眼の前を黄土色の物が走った。「イオウイロハシリグモ。網を張らずに獲物を捕らえるのですよ。」そんなクモがいるのか? と驚いたが、クモの半分の種が網を張らないと知った。徘徊して獲物を捕る仲間には透明な黃緑色で夕方花や草の上で前脚を広げ獲物を待つワカバグモ、サングラスをかけたような顔で花の中や葉裏に潜み擬態もするアヅチグモ、前中眼がヘッドライトのように大きく目がよく見えサッと逃げる白い眉のような毛があるマミジロハエトリ、コグモを背中に載

【自然環境部会コラム】自然を訪ねて(1)5年間の生き物調査ダイジェスト

生き物調査の目的と方法川越にはいったいどんな動植物がどれくらいいるのか? 最近は外来種ばかりが目立つけれど、在来種はどうなっているのか? 生き物調査はこのような疑問から始まりました。2016年3月に「第三次川越市環境基本計画」が改訂され、その中に生物多様性保全のため、市民参加による生き物調査が位置づけられました。 自然環境部会は2017年から環境政策課と協働して生き物調査に取り組んできました。一般市民と自然環境部会と合わせて20名ほどの調査員で進めてきて、ここで5年間が経過