ゲームはすでに生活に溶け込んでいる
1972年アタリが発売した『PONG(ポン)』がアメリカで流行り、1973年タイトーが『エレポン』、セガが『ポントロン』を発売したことは以前書いた。
1976年アタリは『ブレイクアウト』を発売。このゲームもアメリカでヒットし、ライセンスを受けたタイトーが『ブロックくずし』というタイトルにして国内で発売したところビジネスマンを中心に人気となった。当時喫茶店や飲食店には『ブロックくずし』の筐体が置いてあり、ずいぶんお金を使った覚えがある。ちょっとしたブームだった。このゲームがヒットしてビジネスになるということがわかると、複数の会社がゲームビジネスに参入した。こうして日本でゲーム産業が形成されていく。
『ブレイクアウト』の開発に関わっていたのがスティーブ・ジョブズとスティーブ・ウォズニアック。彼らは1976年アップルコンピュータを設立した。
翌年同社が発売したApple IIは販売好調で、今日のパーソナルコンピュータ(PC)普及のきっかけを作った。Apple IIの設計には『ブレイクアウト』がインスピレーションを与えたといわれている。やがて日本でもPCはブームとなり普及が始まる。
こうした流れを見ると、日本のゲーム産業は、当初からコンピュータ産業と密接な相関関係にあったことがわかる。
2000年になりインターネットが普及すると、PCオンラインゲームが国内で普及するが、スクウェア(現スクウェア・エニックス)、光栄(現コーエーテクモゲームス)等国産タイトルはあったものの、多くは韓国のタイトルだった。
オンラインゲームは、数100人~数1000人が同じタイトルをプレイする形態のゲームで、ユーザー同士はチャットを利用してコミュニケーションを楽しんでいた。
2000年末にNHNジャパンがハンゲームというオンラインゲームプラットフォーム・サービスを開始したが、同社はその後、ゲームチャットとSNSを合体させたようなLINEというサービスを開始する。社名もLINEに変更した。
コロナ禍でミーティングの多くはリモートになったが、メタバースという仮想空間が注目された。PCオンラインゲームは、仮想空間の中でプレイヤー同士がチームを組んで戦うゲームだ。このシステムを転用してメタバースビジネスを行う会社も現れた。今でもeスポーツやメタバースイベントで利用されている。
ゲームは、シナリオ、キャラクター等グラフィック、サウンドとプログラムが統合したインタラクティブ・コンテンツだ。2000年以降はインターネットとの連動でICT技術が加わり進化を続けている。
日常的にiPhoneでLINEを使っている人は多いと思う。PCでメタバースを利用している人もいるだろう。ゲームがきっかけとなって生まれたテクノロジーやその産物は、今や日本人の生活にすっかり溶け込んでいる。ゲームを好きな人もゲームが嫌いな人も何らかの形でゲームの恩恵を受けている。
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