『スーパーマリオブラザーズ』から『どうぶつの森』まで攻略本の歴史
『ファミ通攻略wiki』7月終了という情報がネットニュースに掲載されていた。5月10日のこと。ゲームの攻略は、かつては書籍だったが、今は書籍もあるがネットの攻略記事が多い。
ゲームの攻略本は、ゲーム攻略に関わる情報を掲載した商業出版物だ。とくにインターネットが普及していない時代は、ゲームユーザーにとても重宝された。
攻略本が生まれた経緯はよくわからないが、1980年代中ごろ田尻さんがアーケードゲーム『ゼビウス』の攻略を掲載したzine(ミニコミ=同人誌のようなもの)を作って販売していたということを当時聞いたことがある。ゲーム攻略本に至る初期の活動だろう。
田尻さんとは『まじかる☆タルるートくん』(セガ)のプロデューサーだったころ、何度か会ったことがある。攻略本のことを聞いておけばよかったと後悔している。
個人的に『スーパーマリオブラザーズ完全攻略本』(以下、『スーマリ攻略本』/徳間書店)以前に商業出版物はなかったのではないかと思う。
1985年7月に『ファミリーコンピュータMagazine』(以下ファミマガ)が創刊されたが、9月に『スーパーマリオブラザーズ』が発売され大人気となると、10月末に『スーマリ攻略本』を同編集部が企画編集して発売している。
『ファミマガ』は、徳間書店の子会社徳間インターメディアが編集制作していた。この会社を統括していたのは、『アサヒ芸能』にも関わったといわれている山森さんだ。
彼は、『ファミマガ』や数々のゲーム雑誌やゲーム攻略本を企画・編集制作した著名なゲーム関連出版物プロデューサーだ。1991年にファミコン・ディスクシステム『ぷよぷよ』も発売している。
『スーマリ攻略本』は、発売後大ヒットして、1985年書籍のベストセラー1位となり、続いて1986年のベストセラー1位にもなる。
この本が商業的に大成功したので、その後様々な出版社が攻略本を発売して今日に至る。
山森さんに『スーマリ攻略本』のことを尋ねたことがあるが、ライティング&編集スタッフ(後に『ファミマガ』編集長)は、この本のギャラでマンションを買ったそうだ。そのくらい売れた、元祖攻略本だった。ちなみに、『ファミマガ』も100万部発売したことがある。
山森さんは、徳間インターメディアから離れ、アンビットを設立。『ニンテンドードリーム』の編集制作を行っていた。
『スーマリ攻略本』発売から35年後の2020年7月。アンビットが編集制作した『あつまれどうぶつの森 完全攻略本+超カタログ』(徳間書店)が発行部数73万部を超えたというニュースがゲーム情報サイトに掲載された。
元祖攻略本を作った人が今でもベストセラーになった攻略本を手がけたことに驚くとともに、ゲーム業界創世記の人たちの力強さを感じてしまった。