なぜ東アジアに和風キャラのゲームが多いのか
2001~2003年ごろ韓国でオンラインゲームビジネスについて調査をしていた。韓国では、リリース済みのタイトル、開発中のタイトルに日本のアニメやゲームのような和風キャラクターが多く見られた。どういう経緯でそうなったのか。調査していてその点が気になった。
同じ時期に台湾のオンラインゲームビジネスも調査していた。韓国、台湾ともにゲーム会社の社長やプロデューサー、ディレクターの中にはファミコンゲームが好きな人が少なからずいて、RPGで日本語を覚えたという人が何人もいた。
韓国や台湾はオンラインゲームが大人気になってからゲーム産業が生まれたわけだが、それが2000年ごろ。中国はその数年後になる。
こうした経緯もあって、また多くのオンラインゲームのタイトルがRPGだったということもあり、キャラクターが和風になったということはある程度わかった。しかし、ゲームのクリエイターたちが、多くの和風キャラクターが登場するゲームをすぐに作ることができるのだろうか。
当時ソウルでは、PCオンラインゲームのブームのさなかだったが、大手や中小10社のゲーム会社を訪問した。訪問先の会社に、ハドソンなど日本のゲーム会社でグラフィック制作の仕事をしていた人が複数いた。
ゲーム会社の調査はKOCCA(韓国コンテンツ振興院)に協力してもらった。
日本のゲーム会社で働いていた人がいたことをKOCCAの人に話したところ、韓国に日本のアニメを制作している会社があると教えてくれた。
その後、高田馬場にあった日本動画協会に山口専務理事を訪ねた。山口さんは東映アニメーションの取締役をされていたので、業界の事情に詳しいだろうと思った。疑問に思っていたことを聞いてみると、日本のアニメ会社は、韓国だけではなく中国やフィリピンにも制作外注しているということだった。日本人スタッフが現地で技術指導をして人材育成をしているという。
個人的な仮説になるが、韓国、台湾、中国のゲームのキャラクターデザインに影響を与えたのは、日本のゲーム会社で働いていた人はもちろんだが、アニメ外注先の会社で和風アニメの技術を習得した人たちの中にはゲーム制作に関わった人がいたのではないか。
このような経緯で、東アジアのクリエイティブにおいて和風キャラクターが定着していったのだろうと考えた。
その後オンラインゲームの主要デバイスはPCからスマートフォンに代わった。韓国、台湾、中国のゲームはアプリプラットフォーム経由で続々と日本に配信されている。日本のゲームだと思っていたがこうした国々のゲームだったという声はよく耳にする。とくにこの4、5年。
2024年4月某日のAppStoreゲーム売上TOP50を見ると、半数以上が海外タイトルになっている。その70%近くが東アジアのタイトルであり、大半が和風キャラクターのゲームだ。こうした状況を目の当たりにすると、日本らしいゲームとは何か問われているような気がする。
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