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【想い】思春期の悩みと、40代の悩み

子どもの頃、毛深いのが悩みだった。

特に足。
1cm以上あるような、ツヤツヤした毛がわさわさ生えていた。
密集こそしていなかったものの、脱毛器で抜いて集めたら片手の平に乗るくらいの量はあった。
(ちょっとした付け髭が作れそうなレベル)

顔の産毛も、腕の毛も、全部気になった。
だってまわりの女子は何もしなくてもツルツルですべすべの肌なのに。
なんで私ばっかり、こんなにいっぱい毛が生えるんだろう。

除毛したり、剃ったり、抜いたり。
人よりたくさん時間とお金をかけてやっと人並みになれる。
何もしなくてもいい子がたくさんいるのに、なんて不公平なんだろう。

でも、私の悩みはそれだけじゃなかった。

歯並びも悪く、あごが小さいのに歯が大きいという厄介な状態で、おまけに乳歯がまだ抜けていないのに上から永久歯が出てきていた。
そのせいで、私の前歯1本は今も出っ張っている。
矯正したものの、自己主張が激しくすぐ元の位置に戻ってしまうのだ。

噛み合わせのせいか舌のせいなのか、滑舌が悪い。
そのせいで聞き返されたり、ちゃんと伝わらないことが多かったりして、話すのが苦痛になった。
普通に話して通じる子が、心底うらやましいと思った。

それから、ずっとニキビにも悩まされていた。
顔を洗おうと刺激を与えないよう気をつけようと、皮膚科に行こうと、何をしても治らない。
まわりの子はたったひとつニキビができたくらいで大騒ぎするのに、私は顔中荒れていて赤くなり、いつもぼこぼこしていた。

そんな悩みだらけだったから、まわりの子が心底うらやましかった。
私だけマイナススタートなんてひどい。
努力しないとみんなと同じ位置にいけないなんて、本当に不公平すぎる。

幸いなことに、毛深いことも歯並びもニキビも、誰かにいじられたりしたことはない。
それだけが唯一の救いだったけど、それで私の心が平穏だったわけじゃない。

むしろ大荒れで、自分が嫌で嫌で仕方なかった。
もっと普通の、毛もニキビもないきれいな肌で、ガタガタの歯並びじゃなくて、なんの悩みもない子に生まれたかった。
誰も何も言わないだけで、本当は心の中では「毛深いな」とか「ニキビすごい」とか、「歯並び汚い」って思ってるかもしれない、とずっと人目を気にしていた。

大人になって自分にお金がかけられるようになって、医療脱毛をした。
足だけではなく、脇、パンツからはみ出る毛、気になるところを集中してやった。
予算の都合上、とにかくここさえきれいになれば許せると思える部分を優先して処理し、現在ではまったく手入れ不要。
快適。最高。すばらしい。

母は「年取ったら生えなくなるよ」と言ったが、当時私は二十代。
毛が生えたまま待ち続けるのは耐えられなかった。
数年年かけて、都会に通って脱毛をした。私の住む街では永久脱毛などやっていなかったから仕方ない。
でも、通ってでも処理したかった。それくらい嫌だったのだ。

次に、歯も矯正をした。
子どもの頃簡易的にしてもらったが、まったくよくならなかった。
二十歳を過ぎて、八重歯の後ろの歯を上下左右4本抜き、歯茎の中に横向きに埋まっているという親知らず4本を全身麻酔で抜き(一週間入院した)、でもきれいに並んだのは数年だった。
時間が経つと歯が押してきて、結果、今はガタガタ状態。
でも私もアラフォー、人前に出る仕事をするわけでもないし、これから子どもにかかるであろうお金を考えると、再び矯正しようとは思わなかった。

ニキビについては、三十代半ばを過ぎる頃にはできなくなっていた。
自分なりに分析した結果、原因はストレス。これに尽きる。
仕事を辞めたらびっくりするくらいきれいになって、ずっと悩んでいたあごから首にかけてのニキビもできなくなっていた。

どうにかこうにか多感な時代をやり過ごし、大人になった私は、大人の力を使って自分の悩みを解消してきた。
それでも、今まったく悩みがないわけじゃないし、自信がついたかと言えばそうでもない。
ただ「人並みになった」、それだけ。

40代になった今は、「お腹の贅肉が落ちない」「体脂肪が軽度肥満」「ほうれい線、マリオネットライン」など、気になる部分があるくらい。
でも、そんなのは悩みとは言えないし言わない。

きっといつになっても自信なんて持てないだろうけど、人の目を気にして生きていた思春期の頃よりはずっと生きやすくなった。
歳を取るってそういうことなのかもしれない。

そんなことよりも、ずっと重大でずっと手強いのは、我が子のことだ。

娘は生まれつき毛深い。
毛深かった私が言うのもなんだが、腕も背中も足も毛並みが整えられるくらい、長めの細い毛がたくさん生えている。

「大丈夫、抜けるよ~」
なんて、沐浴のとき言っていた看護師さんに言いたい。

「大丈夫じゃなかった、全然抜けなかったよ…」と。

おそらく切迫早産で、お腹にいるときにステロイド剤を注射した副作用なんじゃないかと勝手に思っているけど、私の似て欲しくない部分が似てしまった。
男の子ならまだよかったかもしれない。

保育園の頃から、娘にはこう言ってきた。

「もし毛のことを言われたら、『生まれつきだから仕方ないんだよ』と言ってね」と。
 実際、本当に疑問に思って言われたらしく、そう答えたら、「ふ~ん」で終わったそう。
(学校に入ってからもそういうことがあったらしい)

まだ低学年だからそれで済んでいると思うけど、これから自分と友達との差に敏感になっていく時期。絶対に気になると思う。
最近になってようやく、少しずつ自分の毛があることを気にし始めているくらいだから。

自己処理するのは簡単だけど、自己処理してきた私だからわかる。
自己処理の後の肌が敏感で、服に擦れるとかゆみが出ること。少し毛が生えてきたらジョリジョリしてくること。
毛をなくすことは簡単、でも、処理のあとのストレスに耐えられるか。

子どもがどうしても気になるというなら、処理の手伝いをするつもりだ。
でもできるならば、できるときまでこのままで、なるべく肌に負担のかからないようにしていたいと思う複雑な心境。

ただ、年頃になったら永久脱毛に通わせてあげたいと思っている。
ちゃんと自分で脱毛の注意事項を守れるようになったら、脱毛料金を払って通わせてあげるつもりで、ひそかに脱毛貯金をしている。

毛について悩んだ経験があるからこそ、差し伸べる手を用意しておく。
でも、私にできるのはそれだけ。

これから先、娘にどんな未来が待ち受けているのか、私にはわからない。
私の心配は杞憂に終わるかもしれないし、もっと違う何か別のことで悩んだり苦しむかもしれない。

ただどんなときも、娘にとって、いつでも相談できる人でありたいと思う。
いつでも悩みを打ち明けられる、帰る場所でありたいと思う。
ゆっくりと1人で歩き出していく子どもに、私ができるのはそれくらいだ。

これまでは自分に対しての悩みだけだったけど、今は40代になり、家族が増え、それによって生まれる自分以外の悩みが増えている。
中には身体的なことだけじゃなく、精神的なものも。

年代によって形を変えて訪れる悩み。
その時々でできる最大限の対処をしながら、少しでも快適に暮らしていこうと思う。

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