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【子育て】繋いだ手を離す日

小1の我が子は、まだ手を繋いでくれる。

それでも時々、人の目線が気になって、パッと手を離すときがある。
ちょっと鬱陶しいなぁと思いながらも繋いでいた手を、そうやって子どもから離されると急に淋しく感じた。まったく、自分勝手だなと我ながら思う。

でもきっとそう遠くはない未来に、こんなふうに手を繋ぐこともなくなるのだろう。
その日はおそらく、突然やってくる。
そのとき私は、自分の手を見つめ、いったい何を思うのだろうか。

まだ一人で学校に行くのが不安そうなので、途中まで送っている。
雨の日も風の日も雪の日も。
友達の姿が見えるまで、手を繋いで二人並んで歩く。
そんな日々もきっと、そう遠くない未来に終わりを告げる。

手を離す日は必ずやってくる。
初めて手を繋いだ日からすでに始まっていた、カウントダウン。

ようやく一人で歩けるようになった頃から、手を繋いで一緒に歩いた。
一人で勝手に歩き出そうとすれば声をかけ、ぎゅっと手を握って、ゆっくりと、ゆっくりと進んだ。
どんどん歩くのが上手になって、走ることもスキップもできるようになった。
今はもう、手を繋がなくても危なくない。
ちゃんと一人で家まで帰って来られるようになった。
あの、全力で守らなければならなかった、小さな小さな子どもじゃない。

一日、一日と。
子どもは成長していく。
一緒に眠る夜も、なんでも話してくれる時間も、きっといつか終わる。
それは嬉しいことでもあり、同時に淋しくもあるのだと痛感する。

繋いだ手が離れても。
なんでも一人でできるようになっても。

本当につらいときや困ったときは、いつでも差し伸べられるように。

あたたかい手を用意していよう。

立ち止まった背中をそっと押せるような。
震える肩を抱きしめられるような。

そんなあたたかい手をしていたい。

――そんな朝だった。


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