わかりやすく読みやすい。
新書という形態なので、個別のトピックについてはあえて深掘りしていかないけど、構造主義の手前からポスト・ポスト構造主義まで流れを追っていける。
20年くらい前に(怖っ……)読んだ、『寝ながら学べる構造主義』が2022年版にアップデートされたような感じかしら。
そのうえで、第六章「現代思想のつくり方」で現代思想的に問いを立てるための原理を紹介して、つまりそれは現代思想の仕組みを解説してるわけで、なおかつ付録の「現代思想の読み方」でも別のアプローチで同様のことを行なっていて、その点がすごくユニークでした。
では、引用と感想とー。
面白かったのもあって、結構たくさんになっちゃった……!
という感じの本書の目標というか意義というか。「入門のための入門」とのことで、助かるー。
以前読んだ『時間は存在しない』を思い出した。こんな箇所。
がんばれ、接客用語としての「〜になります」! というか、最近聞かないような気がするな。世間の風に負けてしまったかな……。
なんか、当たり前といえばそうなんだけど、へー、というか、『アンチ・オイディプス』がその書名どおりの批判的な意味を持つことをちゃんと認識していなかったな……。なんていうか……単にタイトルとして捉えていたよ……自分は愚かすぎる。
ははは、これは手厳しいね!
まあ、自分はあんまり自己啓発系が好きじゃないので、こういう文章を読んで安心して「ところがそれは長く効力を持たないので、またその手の文章が必要になる」みたいなところもあるかしらねえ。
すごくわかるし面白いんだけども、ここで引用したタバコの例やその直前に挙げられてたコロナやワクチンの例でも、実際に生政治的な働きかけはあると思うにせよ、それを感情的に訴えかけることが多いような気がするのはなんなんでしょう。巧妙なやり口的なことなのかな……。
学生時代に、ファンタジーのことを考えるのにヘーゲルの弁証法がなんらか面白いのでは、と思って齧ってみたことがあった。ぜんぜんわからなかったので、さっぱり使わなかったうえに内容をまったく覚えていない。旅行先の安い民宿で読んだことだけは覚えている。
それはそうと、そうか、ニーチェだったか。なるほど、タイムスリップすることがあったら伝えてあげよう!
ラカン難しくてぜんぜんわからんけど、三界の話がかっこいいから好き。抽象性と応用性が高くて詩的な感じがするので。前も書いたような気がするけど、雰囲気で現代思想の本を読んでいるんだ……。
でも著者も「本書は、専門家としてと言うより、一〇代から、フランス現代思想に憧れ、リゾームだの、脱構築だのと言ってみたい! という『カッコつけ』から出発した現代思想ファンの総決算として書いたのかもしれません」(p.243)って言ってるからね! 並べたら失礼ですけどね!
これはもう単純にメモメモー。
この辺、学生時代に感じた違和感ともどかしさが言語化されていてすごくスッキリ。やっぱり規律訓練の快感ってあるよね? それ自体がどうのこうのって話ではないんだけど。テーマにはならなかったんだけど、イマイチ目上の方たちと共感できなかったところなんだよなあ。懐かしい。
付録「現代思想の読み方」で、デリダの文章をとりあげて、その解説のまとめ箇所。
ここを読んでいて、なんて言っていいか言葉にしづらいんだけど、本書が初心者向けの入門書としてわかりやすく書かれながらも、(悪い意味じゃなくて)どことなく不穏な感じというか挑発的な気配がするのは、上の引用が背景にあるんじゃないかなあ……って。いや、文章はぜんぜん嫌味な感じじゃないんだけど、なんでかな、そんな感じがするとしか言えないんだけど……。
あー、たくさんの引用になっちゃった。終わります! では!