『パラノマサイト』/ゲーム・群像ホラーミステリーADV
めちゃくちゃ面白かったので、早いうちに書いておく! いい評判を聞いていたけど、我が家の好みにジャストでハマって素晴らしかったよ!
2023/3/9発売以来、すでに3回セールになってて直近だと8/16まで20%オフだったけど、定価が1980円なので気になったらもう買っちゃうといいよ!
途中からネタバレ感想になるので気をつけてね。
遊んだきっかけ
最近お決まりのパターンで、これもIGN Japanのポッドキャストで知ったような。発売直後くらいだったかな。好きそうな感じだったので欲しいものリストに入れておいたら、GWセールに入ってたのでうっかり購入。浅く寝かせてその年の夏に味わいました。
面白かったところ
公式サイトやトレーラー見たらだいたい雰囲気わかると思うんですが(それを言っちゃあおしまいだ!)、ミステリーでオカルトでちょっと古めかしい感じというのがもうドンピシャなんですよね! 遊んでみたらバディものという面もあって、ご馳走全部載せでした。
墨田区本所に実際に伝わる、どこかヘンテコな怪談を題材にしていて、人によっては舞台を見に行けるというのもよいね。お嫁が「あーはいはい、あの辺ね」とか言って都会生まれ風を吹かしてきたけど、都心に出ると人が多くて疲れちゃうのを知ってるんだ。俺もそうなんだ。
テキスト主体のゲームなので文体というかノリというかは、各人で合う/合わないがあると思いますが、我が家ではキャラクターたちの軽妙なやり取りも大変好みでした。
アドベンチャーゲームでなにより大切なストーリーは、えーと、なんていうかな……えっ、そういう展開なの!? ってのが何度かあって大変面白かったです。
難易度
ミステリー部分の難易度は、上手くいかないときはヒントがもらえるのでだいたい優しめな気がします。とはいえ、何をどうしたらいいのかわからなくなることもなくはないので、それなりに考えてくださいというところかなあ……。ネタバレ避けようと奥歯に物を挟みすぎて、何言ってんだかわからない感じになっている……! とりあえず終盤も終盤で1箇所だけ少し迷いました!
それと、ある意味では難易度とも言えるホラー要素の手強さについて。これもほんと受け手次第なんだけど、あんまり広くない視野を動かしているということ自体が、いちばん怖かったかもしれない。自分は、見てるだけのホラーはわりと平気なんだけど、いざ操作してると弱いのよね。
急に驚かせにくるやつ(ジャンプスケア)もあるにはあるけど、頻発しないのでその辺を気にする人も平気なはず……たぶん。
クリア後に資料集めをする時にはこちらのnoteを見ちゃいました。めっちゃまとまってて超ありがたい! 念のため、リンク先はバッキバキにネタバレだからね!
操作性とシステム
不満点は、ポインタの動かし方がコントローラーだとちょっとぎこちなく感じたくらいかな。シビアな操作を求められるわけではないので、そこまでどうということもないです。視点の動かし方がちょっとぎこちないのは、かえってドキドキするのでよし!
あと、選択肢やメニューを選ぶ操作が、ポインタの移動じゃなくて十字キーでいけるのがありがたい。細かいけどかなり助かる。
バッドエンドなどでやり直しをするのに、再開ポイントがいい感じにたくさん設定されていたので親切だったな。
自分がやった時は適用済みだったけど、アップデートでスキップ操作もできるようになったので、この辺も助かったね!
グラフィックとサウンド
時代設定が1970〜80年代だと思うんですが(公式には昭和後期だったはず)、時代の空気を感じさせる伝奇モノなテイストのグラフィックが素敵。キャラクターも……まあこれは後述にしよう。
BGMも同様に懐かしさを感じさせる音色とメロディで、雰囲気に合っててよかったですね。
キャラクター(以下、ネタバレあります)
・全体的な感想として、いろんな面でかなり飛んだキャラクターが多いんだけど、あんまり嫌悪感を抱かせる人物がいなかったのがすごい。並垣くんはなかなかに嫌なやつだけど、猛烈にかませ犬なので変に愛されそうだし、根島に至っては超凶悪殺人鬼なんだけど、どこか憎みきれない感じで描かれている。いや、めちゃくちゃヤバいやつなんですけどね、アイツ!
好みの問題は大きいけど、描写のテクニックもかなりあるのでは、と思います。
相当に陰惨な事件や救いのない話を描いているのを、読む抵抗感とか重たさみたいなものを軽減して読ませてくれてると思うんですよね。それが逆に悪く作用することもあると思うが、難しいラインを上手いことバランス取ったかなあって。まあ、これは好きだからそう思うだけかもね!
以下はスクショ撮ったキャラについてちょっとした感想。
・興家 彰吾
かなり今風な感じのイケメンフェイスを持つ最初のプレイアブルキャラクター。
名前が劇団ひとりメソッドでかっこよくなるやつ。「彰吾……興家彰吾」って言ったらすごくかっこいい。
「興家彰吾 死亡」の力強い文字列は口に出して読み上げたい勢いがある。
・福永 葉子
唯一コピペしなくても名前がサッと変換できる、不思議大好き女子。
ラストで再登場したときは、こっちとしても立ち位置がわかってたけど、他人を追い払うやり方が上手いこと狂っててとてもよかったねー。
・黒鈴 ミヲ
霊感少女女子高生。
このキャラクター、なかなか珍しいよね! とてもかわいい。すぐ「うう、なんか微妙……」みたいな反応になるとことか。上のスクショは気合いが入っている感じらしい。かわいい。
「がんばれ、国家権力……!」は笑う。
・逆崎 約子
江戸っ子女子高生。ミヲちゃんと一緒に行動する。
江戸っ子は物理攻撃が得意。
ふつうならもっと目立ちそうなポジションなんだけど、周りが変な人ばかりなので、意外と引いた位置にいたかも。
まあ、ここはちょっとヤバかったけど。
スクエニYouTubeで狩野英孝がプレイしてる動画見てて、いまさらながらに思い出したというか気づいたけど、前半は白石さんが入ってる関係でだいぶ性格違うんだよな。江戸っ子気質が出てくるのは後半だし。というか白石さんが入ってることの伏線がこういうことだもんな。
・志岐間 春枝
人呼んでマダム。その響きからしてエロティックだ。
マダムーーー!!!
ちなみに有閑マダムでもある。羨ましいね!
・櫂 利飛太
プロの探偵。プロタン。ハンサムガイ。
奇抜なファッションと考えを待ち、だいぶインパクトのあるキャラクターなんだけど、意外とまともな気がしてくる。周りがだいぶアレだからなあ……。
だいぶアレな人にボロクソ言われているところ。
プロタンはときどき、現代的な価値観を漂わせるので、メタ的な存在なのかもとか思ったけど別にそういうのではなかったのかな。こちらの思考を読んだような言動の時があったりもしたから、結構気になっていた。
・マダムとプロタン
ナイスコンビその1。プロタンが大概奇抜なのでボケ担当なのだけど、たまに入れ替わるのもいいね。
なめねこっぽい流行りモノ、なめどりで大はしゃぎするプロタンとちょっと引いてるマダム。
これはだいぶ引いてるマダム。
素直に称賛してるのが面白い。
2人ともいい具合にとぼけた感じだよなあ。
マダムの狂気は、たぶん作中では共感を得やすいほうだと思うけど、プロタンがそれを簡単に否定もせず、とはいえ肯定もせず、仕事として協力をしながら、どうにか良い方向で解決ができるようにしていたと思うのがよかったなあ。
・襟尾 純
爽やか刑事。ボケを担当。通報が得意。
通報係になっててなんか面白かった。
「いいなあ!」じゃないんだよなあ。
エリオくんはひたすらネジが飛んだ勢いでポジティブなのが面白かったね。
・津詰 徹生
渋い中年刑事。エリオのボス。ツッコミが得意。
スタンプに使えそうな画像。ここ、かなり緊迫したシーンの会話なんだけど、ちょいちょい笑わせにくるんだよな。
・エリオとボス
ナイスコンビその2。ボスが突っ込むのが忙しそう。
ボスの喋りが若い……!
エリオはボスに憧れてるらしいんだけど、これじゃあちょっと薄い本になっちゃってるわねえ。
珍しくボスがボケようとして失敗していた。エリオはいつも褒めてくれる!
橋の上で根島を追い詰めるシーンで、2人の信頼関係を感じられるが、さすがに銃を下ろした方が正解だったのも面白かった。
ゲームプレイのこまごま感想
・ゲームを始める時はだいたい、とりあえずサラッと設定を見るんだけど、ボイス音量の項目があったので「へー、喋るのか」と思ったら……ぜんぜん喋らないけど、喋ってたね!
・冒頭からなかなか掴んでくる。メタいものに弱いんですよおーーー!!!
提供「かわたに」。素直に入力したんだけど、ここでちがう名前を入れてたらなお良かったみたいね。あとで知りました。
・夜の公園で視点を動かしてて、葉子さんに「ヒエッ」ってなる。このへんの視点変更で人を見つけるのがドキドキだった……! なんなら、他のなんでもないシーンでもドキッとする。
・呪影が発動してから……ZLボタンで呪詛を行使しろ! みたいになって、あれ、これはまさかの呪術バトルもの??? 驚きの展開。
出会って1ヶ月ほどの女の子のためにそこまでするんかねえ? とかお嫁と言い合いながら、バンバンとやりましたね、ええ。まあこのへんの理由づけもちゃんとされてましたが! えらい!
謎の江戸っ子女子高生に呪いをぶちかました時はさすがに「こ、これでいいのかな……?」と思ったものの、謎の「やるっきゃないかー!」という決意に突き動かされて5キル。マダムは一度殺されないとダメで、二度目で明らかなプレイヤーの介入によって、ライターを投げ捨ててからのドーン!!! やった、やってやった!
・そして問いかけられる「興家彰吾は何人殺したか?」
えっ、5人……じゃないの? 我が家の場合正解は0人でした。そうか、殺しているのは自分たちか! これ完璧にプレイヤーのこと言ってくるやつじゃん! メタい、メタいぞ、いいねえ!!! と盛り上がる。
・ストーリーチャートが開放されて、また違うテイストに。ホラーと呪術バトルが弱まって、ミステリーアドベンチャー群像劇に。それぞれの事件や思惑、隠れた結びつきがだんだんと明らかになっていく。やー、いいっすねえ。とてもいいっすねえ。
・蝶澤麻由が出てくるところは、どストレートに脱出ゲームになってて、いろんな展開で飽きさせないねえ。
・蝶澤さんも明らかなプレイヤーの介入で脱出するんだけど、彼女と興家にだけ露骨に関われたこともちゃんと理屈がつけられててよかったね!
それ以外の人たちには、うっすら影響を与えることはできてたかもしれないけど、呪詛行使はできないっぽいんだよね。ボスはガンガン押してみたりしたけど使えなかったし。
やっこちゃんは時間が足りなかっただけかもしれないし、マダムがあやめに使おうとした時はどっちの意思なのか不明なので、まあよくわからんけどね! そういえばマダムがFAX番号調べるのは、結構な介入だったか……?
・ラスト、いかれた演技で置いてけ掘を発動してくる葉子さん(やり口が賢いなあ)をどうするかがよくわからなくて、そこだけ詰まりました。やるっきゃないと思うんだけど、ええー……どうしたらいいのかしら……。
と思ってたら、そうか、確かに1週目(というのかな)でも鬼火が来てたのか! 素晴らしい伏線回収だ!!!
・時代設定のわりに、会話(のノリ)が現代に近いのは好き嫌いあるかもしれない。いや、個人的にはよかったんだけど! 不愉快にならないノリだったしね。まあ、特に津詰警部なんかは、オッサンなのにノリが若すぎない? と。彼がいちばん現代に近いツッコミ方をしていたような、はたまたプレイヤーの年齢がアレだから共感していただけなのか、真相は闇の中に埋もれていてほしい。
・ゲームであることの意義を感じる作品に弱いんですよ。
プチ『街』、『428』的なザッピングも良かったし、視点を動かすということがアドベンチャーゲームでこんなふうに生きるのかと感動。
そしてなによりプレイヤーの存在の意味がちゃんとあるのがたまらなくよかった! プレイヤーがここまでやってきたんだ!
・タイトルにあるように"FILE 23"なわけだし、このシステムと世界観で続編というかほかの作品が作りまくれると思うので、めちゃくちゃ期待しています!
おまけのリンク
かなりの刺さりっぷりにパラノマサイト・ロスを感じるので、いいなと思ったもののリンクを置いておきます。あとから増えるかも。
ナンダコレハーーー!
こういう企画が盛り上がるくらい愛されているんだなあ。並垣、お前やっぱり……。
舞台と時代の背景がまとめられててめちゃくちゃいい記事。
感情が濃くて面白かった!
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