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台湾の各都市の戸籍人口と実態人口の違い

*本記事は2023年6月16日にFacebookに投稿した記事の転載です

台湾の人口統計

台中市
282万人
69万人

これは何の数字でしょうか?

答え

台中市
282万人←台中市に戸籍人口
69万人←台中市の実態人口

です

何のこっちゃ説明します。

私はほぼほぼ毎日台中で暮らしてますが戸籍は南投です。嫁と結婚した際に嫁の実家の南投に戸籍登録されました。政府発表の県別人口は南投人としてカウントされてます。この時になるほど気付きました。台湾では生まれた土地で戸籍が登録され、その後、どの土地に移動して住み暮らそうが、その戸籍は変わらないのです。日本は引越しすると住民票を移動しますよね。しかし台湾では住民票の移動みたいなのはないのです。

つまり台中出身だけど仕事のため台北に住んでますみたいな人も台中人として台中の人口としてカウントされてるのです。その結果が台中人口282万人、実態人口69万人という数字なのです。この実態人口の数字は政府発表の数字ではなく、私なりの概算数値になるのですが、概ね合ってると思います。

じゃあ、実態人口はどうやって計算するのか?
それは営業税の税収金額を調べるのです。※営業税=日本の消費税

コンビニ、スーパー、レストランの食事、スマホ、洋服などなど、それらの値段は台北だろうが台中だろうが屏東だろうが値段は変わりませんよね?コンビニのコーラのペットボトル25元はどの土地でも同じです。そしてその25元の5%を営業税として事業者は政府に納めますよね。ということは、各土地の営業税収の額が判れば、概ねの実態人口が読み取れるわけです。

つまり計算式としては

(各土地の営業税収➗台湾全体の営業税収合計)✖️台湾人口🟰各土地の実態人口

と、なります

で、政府発表の各土地の営業税収を調べてみると、台中市の営業税収は台湾全体の営業税収に対して約3%です。台湾人口は約2300万人なので、2300万の3%イコール69万人と導かれます。69/282=0.24なので、実態人口は戸籍人口の約四分の一しかないわけです。

ちなみに高雄は営業税収比率は約5%のため2300x5%=115万人となります。高雄の政府発表戸籍人口は273万人のため、115/273=0.42なので、実態人口は戸籍人口に対して42%となります。

このように営業税収金額比率から各土地の実態人口を算出していくと、ほとんどの土地で実態人口は数分の一しかないことが判明するのですが、じゃあ、その分はどこの土地が逆に数倍の実態人口がいるのかというと、それは、もちろん台北市です。台北市の営業税収比率はなんと約60%。新北市は10%。台北市と新北市を合わせた台北圏の営業税収比率は約70%あります。2300x70%=1600万人。すなわち台湾は極端な台北圏一極集中であることが分かります。

で、この数字は私自身の実体験としても非常に納得感があります。というのも以前ビール会社に勤務していた頃の数字を例にとると、台北に縦横数百メートル四方の林森北路という繁華街がありますが、あれだけの小さな林森北路地域だけのビール出荷量の方が台中全体のビール出荷量より多いのです。でも、そりゃそうなんです。実態人口台中69万人、台北圏1600万人。1600/69=23.1。その差23倍。なんですから。そうなるんです。

本投稿の動画は新北市の板橋区の板橋駅の駅構内ですが、台中在住者なら分かるとお思いますけど、台中のどこにこんな人いるか?と。いないでしょって。台中火車駅にも台中高鉄駅にも、こんな人いないですよね、って。

で、この話は、これが良いとか悪いとかの話ではなくて、これがこの台湾自営業ゲームの環境設定ですよ、という話。

で、もちろん自営業として転けずに成功するために作戦を立てる上で、この戸籍人口と実態人口の違いを知ることが大事な局面は少なくないはずで、というのも、例えば、消費財の販売をしようとして282万人の消費市場で採算ラインが28万人で消費人口の約10%みたいな計算で台中に乗り込んで実際の消費人口10%が7万人しかいなくて、じゃあ、採算ラインに乗せる28万人を目指すとなると28/69=0.4で普及率40%が必要ということになって、必要普及率10%と40%では話が全く違くて、場合よっては達成不可能にもなり得て、そもそも、その事業計画無理ですよね、とかの話にもなるわけですね。

で、このような実態人口に応じた作戦立案については、当然、今私が自営業している飲食店に於いても大事だし、もちろん、それが美容院であれ、マッサージ屋であれ、なんであれ、地域に依存したほとんどの店舗事業に於いて大事だと私は思うし、実際、私はこれを踏まえて自身の自営業の作戦を立案していて、ありがたい事に、おかげさまで、それなりの成果を上げられている。

ちなみに営業税収比率の年別推移は年を追う毎に台北圏の比率が高まっているので、目下約70%も、近い将来約80%まで行って2300x80%=1840万人が台北圏なんていう超絶一極集中社会に突入する日が来てもおかしくないと思います。2:8の法則的にも。で、そうなったら、その頃、台中の実態人口は約50万人くらいになるでしょう。戸籍人口の五分の一以下笑。

私の自営業も次の一手を考え中。もちろん実態人口を踏まえて。。。

#齋藤洋一郎の台湾自営業

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