臨床実習、コミュニケーションがうまくいかず辛いです
はい!こんちわKATZです!
今日のテーマは「実習中にコミュニケーションがうまくいかず辛いです」
YouTubeチャンネルの方にコメントが寄せられました。
現在、初めての総合実習中です。 患者さんの歩行介助や、動作分析、コミュニケーションがあまりにも上手くできず辛いです。勉強はそこまで苦手ではなく、実習で知識面ではそこまで苦戦していません。ただ、あまりに不出来な内容で、仮に国試に合格しても、本当に患者さんの為に働いていけるのは不安になります。 どういう気持ちで今後臨めばいいでしょうか?KATZさんにご意見いただきたいです。
これについて解説をしていきます。
目次
結論 悩みの「ものさし」を設定してみる
介助方法はどうしたらいいのか
動作分析はどうしたらいいのか
コミュニケーションはどうしたらいいのか
まとめ
結論 悩みの「ものさし」を設定しみる
私KATZも年齢と経験だけは重ねておりまして、これまでもほぼ毎年学生指導にあたってきました。たまにフッと思い出しては「あの学生はどうしているのかな」なんて考えたりすることもありますよ。臨床実習といえばまず最初に難渋するのがコミュニケーションと言えるでしょう。その中で一つポイントがあります。
参考文献はこちらになります。
バスケットボール 恩塚メソッド 知性にもとづいて勝つための「原則」 [ 恩塚亨 ]
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恩塚亨コーチはバスケットボール女子日本代表のヘッドコーチで「ワクワクが最強」をモットーに素晴らしいコーチングで日本のバスケットボールを世界トップレベルに引き上げました。この書籍の中にはコーチする側も、される側も悩みを解決できるような そんな内容になっています。
臨床実習とバスケットボールのコーチングは関係ないように思えますが、理学療法士はこのように他分野からのメソッドなんかも取り入れるべきと僕は考えています。
この書籍に「コーチが抱える悩み、選手が抱える悩み」というものがあります。
コーチ:大きな悩みは選手が言われたことしかできない
コーチ:選手が自分で考えることができない
それに対して選手が抱える悩みはこちら
ボールを持っている時にいつ攻めたらいいか
ボールを持っていない時に何をしたらいいのか
これを理学療法学生の悩みに置き換えてみますね。
介助をしようにもどこをどうやって介助したらいいかわからない
動作分析と言われても、何を見たらいいのかわからない
コミュニケーションを取れと言われても何を話していいのかわからない
こんな感じですよね、こういうケースにおいて恩塚コーチは「ものさし」が必要だと話されています。
このプレーが良いのかどうかの判断基準
ってことです。つまり臨床実習においては
この介助方法でいいのかどうか
この動作分析でいいのかどうか
このコミュニケーションでいいのかどうか
以下、これにアジャストできるかどうか、私なりの解説を加えてお話しします。
あ、そうそう、大切なことを一つ
学生はどうしても「正解」「絶対解」を求めます。失敗するのが怖いですからね
しかし恐れないでください、正解じゃなくても、まあベターな正解もあるんです。
それを「最適解」というそうです。そんな目線で今日の記事を読んでみてくださいね。
介助方法はどうしたらいいのか?
教科書や学校では介助方法について学ぶことがあるでしょう。しかし私は、これまでもたくさんの学生や新人理学療法士を見てきた中で、この問いについての答えは次のものです。これは僕が経験の中で導き出した「最適解」なので参考までにしてみてください、ズバリ
位置とアングル
です。色々僕も考えたんですよ、そして毎回感じるのが「どうしてそこで見てんだろうな」ってことに気がつきました。
例えば車椅子からベッドの移乗動作、患者さんが転びそうになったら助けれない場所にいる・・・むしろ「患者さんとは関係のない位置にいる」ことが多いのです。バスケットボールの試合で言うと、試合に出ているのにコートの外で見ているって言うのと同じなんですよ。皆さんはピンとこないかもしれません。バイザー側から見たときには明確にポジショニングに問題がある学生さんが圧倒的に多いと思いますね。
もう少し深堀しましょう。
位置とは、縦横、高い、低い、外側、内側、健側、患側、麻痺側などありますね
アングルとは、角度のことです。患者さんと対面、側面、斜め、などです。
歩行介助を想像して見てください。その位置で患者さんがふらついた時に対応できますかね?遠すぎませんか?あるいは近すぎて歩行の邪魔になっていませんか
患者さんとコミュニケーションをとる時、信頼関係のない状況なのに対面すぎませんか?それお互いに不快な位置にいませんか?
僕はバスケットボールの審判を趣味でやっているのですが、判定する時の原則というものがあります。その中で「ポジションアジャスト」という言葉があります。要するに次のプレーを予測したり、判定できる位置に自分で移動することで、動きの中で止まって判定ができるようにポジションをアジャストさせましょうってことです。人は動きながらだと判定の精度は落ちるものです。しかし止まって判定するのはできますよね、テレビで画面を見ていたらファウルかどうかがわかりやすいけど、コートの中に入れば別世界なんです。
これと同じようにポジションアジャストができていないのですよ。可動域訓練の時に患者さんとの距離が離れすぎていて、学生の手はガチガチに緊張している・・・「はい、力抜いてください」抜けるわけないじゃないですか
ですから位置とアングル、距離などは拘って指導を仰ぐと感覚的に介助のしやすさを感じれるようになると思います。
動作分析はどうしたらいいのか
動作分析って難しいですよね、タブレット端末を使用してスロー再生すればいいんでしょうけど、実際にはそうならないことも多いものです。ではどうやって動きのあるものを教科書通りの内容に当てはめていけばいいのでしょうか?こちらにも僕の持論ですがいくつかのアイデアがあります。
基本通り、前額面・矢状面・水平面をイメージして観察をすること
疼痛と既往歴、心理状態などとシナジーさせること
マネできるようになること
この3つを深堀していきましょう。
まずは教科書通り、最低でも前額面と矢状面から観察する癖はつけましょう。そしてそれを動画の逆再生ができるようにイメージできると尚良いです。とはいえ難しいと思うので、脳の中に絵として残しておいてください。
その上で、僕が最も重要だと思うのが疼痛と既往歴の存在です。このあとお話しするコミュニケーションと同じような内容になりますけど「患者さんのこれまでのHistory」を頭の中に描くことです。患者さんが何十年も疼痛のある歩行状態を続けているのには理由があります。その流れを把握しておくことで推測と予測、イメージが浮かぶようになるものです。つまり膝を痛そうに代償して歩行しているというざっくりしたものではなく、過去にバレーボールで捻挫した既往があり、当時の治療は何もせずにこれまでたくさん働いてきたという、的なエピソードがあったとするじゃないですか?皆さん膝見ます?なんかヒントありそうじゃないですか?
そしてその患者さんの歩容はマネして再現できるようにしてくださいね。自分の身体で表現できるということは患者さんの動作を理解することにつながります。そしてその理解は患者さんにしたら信頼のきっかけになることも多いものです。
結局のところ、動作だけ見てもあかんのですよ 人を、そしてその人の歴史を見れるようになること、これがポイントです。
コミュニケーションはどうしたらいいのか?
では皆さんが一番難渋していると思われるコミュニケーションの話をしますね。先ほどもう答えは言っています。
History
これに注目することです。患者さんとコミュニケーションをとりなさい、何から話せばいいかわからないじゃないですか?好きな食べ物はなんですか?ありきたりw まあ無駄とは言わないですけど、いきなりそれ聞かれてもってなると思うんですね。
AT(アスレティックトレーナー)の評価の手順は以下の通りで行うことがあります。
History 問診で情報を集めなさい
Observation 観察をしなさい
Palpation 触診、しっかり触ってチェックしなさい
Special test/Stress test スペシャルテストやストレステスト、評価手技など
これを数分で行って対応していくのがATです。
さて、コミュニケーション・・・どんなことが必要なのか、掘り下げていくと、僕の考えはこうです。
その患者さんの人生を把握した上で、治療と、予後につなげること
これだと思います。例えば腰が痛いと、皆さんは腰のことを聞きます。僕ももちろんそうすると思いますけど、最近は出生地や生い立ち、ご両親や兄弟のこと、職業やライフイベントのことなど、自分も人生を45年近く生きてきてので大体の話が理解できるようになったというのもありますが、上記の一見必要のなさそうなものが実は大きなヒントだと言うことに皆さんは気づいていません。
その患者さんが腰椎椎間板ヘルニアを発症した背景、実はもともと野球一家で一生懸命練習をしていた、しかし社会人になって運動習慣がなくなり体型も変化、今は家族関係もうまくいっていない・・・
こんな話があったとしますよね、皆さんどうします?いやもちろん腰部や下肢にアプローチしますよね、でもその患者さん、もしかして・・・
下を向いて元気なさそうに歩いてません?姿勢悪くないですか?腹圧かかってないんじゃないですか?
どうでしょう?一見無駄と思えるようなコミュニケーションでした?
まとめ
若い世代のPTや学生に多いのは「無駄である」「必要がある、ない」こういう「ものさし」で物事を捉えがちだということです。かの有名なマクドナルドの創業者のレイ・クロックはゴミ箱の中にビジネスのヒントを得たと言います。教科書に答えは書いていません。あなたがその患者さんを目の前にして、Historyを集めることで「何を見なければいけないのか」がわかるのが評価というものです。
それこそ、このようなHistoryを集める習慣は日常の交友関係や恩師、あるい家族なんかにも溢れるものです。人を見るという職業ですから、その人を理解するつもりでHistoryをまずしっかり聞いて理解しましょう
NGなのはその人の人生にマウントを取るように「じゃあこうすればいいじゃないですか」って簡単に片付ける人ですね、あなたに意見を求めているわけじゃないんですよ、そうじゃなくてあなたの仕事は、それを理解した上で患者さんのニーズをどのように捉えて介入していくのかってことなんです。
知識はあるのはいいですが、それはエンドフィールがわかるようになってから口外しましょう。知っているのとできるのは全く話が異なるからです。
最後になりますが、今は不安になるくらいでOKだと思いますね。そうではなく自信満々、意気揚々と実習終わって臨床出てみてください。きっと自己満足して患者さんの気持ちを理解できないPTになっていると思います。それこそそのようなタイプの人は患者さんの症状に対して「どうしてあの時こうしなかったのですか」というような発言をしがちです。過去を責めても仕方ないですからね、それよりも未来に目を向けて「であればこうしていきましょう、一緒にお手伝いします」こちらの方が心強いというものです。
あなたのその不安な気持ち、ずっと大切にしてくださいね、その不安、患者さんも同じかもしれません。今は技術も経験も不足しているかもしれませんが、患者さんとあなたのHistoryを大切に、そして未来に向かって声かけできるようなPTになってくださいね。
今日もお読みくださってありがうございました。
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