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第6回 隣地が売りに出された

今回からは、実際の僕の取組みについて書いていこう。

コロナ禍で多くの中小企業は苦労している。政府のコロナ対策の一つに、「事業再構築支援金」がある。コロナ禍で売上が大きく減少した超小企業が、新しい分野に挑戦する資金を提供しようという補助金だ。申請には、詳細な「事業再構築」のための事業計画を提出しなければならない。僕はその補助金を獲得して、実家つまり築40年以上の二階建て日本家屋が建っている約100坪の土地で新しいプロジェクトを実行したいと考えた。

隣接地を購入するプラン

そんなことを考え始めた2021年6月、実家の隣接地約50坪が売りに出されていることを知った。近所に住んでいたkさんが、ずっとそこで畑をやっていたが、kさんは亡くなり息子さん(小学生の頃、一緒に遊んだ記憶がある)が相続していた。息子さんは実家には住んでおず、時々畑に通って作業していたが、もう続けられないと考えたようだ。

僕はその土地を購入し、既存の土地と一体にして建設計画を練ろうと考えた。(当初、AWAZUKU HOUSE西側の父名義の畑200坪の一部に建設することも考えたが、現在畑として使用しているので、貸家の建設はむずかしいことがすぐにわかった)そして、すぐに(6月22日)AWAZUKU HOUSEを設計してもらった栗原さんに相談に乗ってもらうことにした。合計約150坪を使って、既存AWAZUKU HOUSEと一体となるような開発プロジェクト。

厳しい土地規制

栗原さんはまず、土地の調査を始めた。土地に関する規制は複雑怪奇で、なかなか思うようにはできない(国家的大問題だと思う)。ちょっとややこしいが、できるだけ簡単に説明しておく。

その売りに出た土地は僕の実家土地と同様、市街化調整区域。地目は宅地だが、簡単には家は建てられない。開発許可が必要なのだ。許可を得るには、いくつかの厳しい条件を満たさなければならない。

調査の結果、市街化調整区域が制定された昭和44年11月以前から地目が 「宅地」だったことが確認できたので、「既存宅地」( 建築許可申請のパターン中にある、「市街化調整区域が制定される以前から 地目が「宅地」だった土地における建築許可」である「既存の宅地における開発行為又は建築行為等」 ※AWAZUKU HOUSEと同じ方法 )として申請でき、居住の用(戸建住宅、賃貸住宅など、自己の業務の用(会社の事務所など)に供するものであれば建築可能であることがわかった。「地元に縁のある人」限定ではあるが。(僕もその対象には入るらしい)

ただし、市街化”調整区域”では、「1敷地、1建物、1用途、1管理者」でまとめる必要があり、 複数用途の場合は、建築も敷地も区分けることが必要だ。つまり、例えばよくある同一敷地内に、自宅と賃貸住居を併設した集合住宅を建てることはできない。敷地を分ける必要が出た場合は、分筆しなければならない。分筆した後の敷地で、後で述べる接道条件も満たさねばならない。

さらに、市街化調整区域では、敷地内の住居数と原則同じだけの台数の駐車場を敷地内に設置しなければならない。特例で、半分以下であれば隣接地でも可能とのこと。敷地内に5戸住居があれば、3台の駐車場をその敷地内に確保しなければならない。とにかくできるだけ不便にして、開発させないようにするためだけの理不尽なルールだ。

土地の値段とセットバック

話を隣地畑の購入に戻そう。相続した現所有者のkさんは、M住宅の仲介で坪15万円で売りに出していた。正直、非常に高い設定だ。M住宅によれば、地目が畑であれば坪1万円程度だが、宅地なので15万円にしたそうだ(チラシには「原則建築不可」と書いてあるのに)。ちなみに、固定資産税評価額は3万5千円だ。接する2
道路とも幅1.8mなので、そのままでは家は建てられない。建築基準法により、住宅など建築物の敷地は「幅員4m以上の道路に2m以上接しなければならない」と定められている。2mセットバックしなければならず、その分使える土地が減ってしまう。

下の写真で黄色部分が購入予定の土地だ。2つの道に接しているが、青い道は町道認定のある二項道路。セットバックが必要だ。赤い道は町道認定がない。つまり正式には道路ではないので、セットバックは不要だとも思える。ただし、建築申請を出す際に、確定測量をした上で「狭隘道路後退協議」が必要。その場合、二項道路と認定される可能性が高いそうだ。もし、二項道路でないとすると、売地北側に建っている住宅は、違法建築ということになる。従って、どちらもセットバックは必要になると考えておいた方がいい。

では、設置バックでどの程度、土地が減ってしまうかを表示してもらったのが以下の図だ。右下の逆L字型部分がそうだ。約50坪のうち約10坪、つまりう2割が減ってしまう計算だ。

この土地は制約が多いが購入することを前提に、検討を進めることにした。ただし補助金の承認が下りることを計画の前提としているので、9月申請の結果が出る12月まで購入の意思表示や交渉はしない方がいいだろう。プラン作成だけ、先に進めておくことにした。




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