1992年6月 鬼怒沼山に上る02 (終)
【あらすじ】
奥鬼怒の山奥、レトロな木造温泉宿を早朝に出発して、友人Mと目指すは鬼怒沼山、登山素人の私は息も上がりがちでしたが無事、辿り着いて……帰りはびっくり意外なお助けが。
一日目
6:00 目覚まし時計もないのにぱっちりと目覚める
6:30 朝ごはん&コーヒータイム
9:06 宿で作ってくれたおむすびを持って、出発
歩いて間もなく、道端の空き地でテントを畳んでいる若者ふたりをみかける。昨日、宿を断られた二人組だった様子。なんだ、無事に野営できたんだね、よかった。
8:15頃 滝の見える展望台着
今回、この鬼怒沼を選んだ理由は、山奥の温泉に行きたかったのと、友人Mいわく「鬼怒沼は湿原が草原になりかかっているちょっと変わった所なんだけど、そこそこ標高もあるし、尾瀬沼より人が少ない」と、そんな理由だっただろうか。
Mは山登りの経験がそこそこあって体力もあるが、私がとにかく体育苦手、持久力なしのヘタレ。まあ、がんばろう。
10:00 ようやく、山頂近くの半湿原?・鬼怒沼に到着!
標高2000m程の、日本で一番高いところにある湿原らしい。
木道も整備されている。
植物にあまり詳しくなかったので、咲いている花の名も判らない。
小さなモウセンゴケもあちこちにみられる。
そして湿原と言えばこちらも!
まだ春が来たばかりといった感じで、ミズバショウの花もおずおずと咲いている。
片隅の空き地にておむすびをいただき、ふう、と一息つく。
温泉まではまだ人がいたのだが、湿原ではほとんど人に会わず、ほぼ貸し切り状態で清涼な空気を満喫する。
11:00過ぎに、山頂出発。
帰りは順調で、すたすたと降りる。
12:30頃 日光澤温泉着。
ひとやすみして、お世話になりました、と頭を下げ、また下っていく。
14:20 女夫渕温泉口着。ここまでにはさすがに人も少し行き来するのが見えた。
さてバスをひろって帰ろう、としていたところ、後から降りて来た男性に声をかけられ、少しよもやま話をする。
すると、今から鹿沼に帰るのだが車で来ているので、日光まで送りましょうか? と。
普通なら遠慮するところだが、会話の感じも印象悪くなく、もし万が一……でもふたりがかりなら勝てる(?)と思ったのか、申し出をありがたく受けて車(ジムニーみたいのだったかな?)の後部座席に乗りこむ。
物静かな方だったが、ぽつりぽつりと山の話とか、鹿沼の話とかしてくれる。しかし運転はワイルドで、ちょっと近道のルートで行きます、と言って、なんと林道らしき脇道に入っていった。
道は一応舗装されていた(と思う)が、狭くて曲がりくねり、そのうちに遠くの山々が青く霞んで見えるような高い場所にも出た。
とにかくつかまっているのがせいいっぱい。
車はやがて、けっこうひらけた場所まで来た。運転手さん指さして
「戦場ヶ原」と。
日光に連れて行く、と言ったのはどうも本当で(失礼)、なんと観光地に寄ってくれようとしていたでは。
(注:山王林道だったようです)
少し行ってから、車は観光地らしき駐車場に入る。
「せっかくなので駅に行く前に(多分竜頭の)滝見てってください、僕はちょっと休憩してくるんで、30分後にまたここで」
と彼はいずこにか去り、すっかり車の揺れと思いもよらなかったビッグ観光地に投げ込まれた衝撃?でぼおっとしたままあたりを見て回る。
びっくりするくらい記憶がないんだが、Mと相談して、運転手の彼になにかお礼を渡そうか、と土産物屋を物色したのだけはなぜか覚えてた。
湯葉まんじゅうなるものをみつけて購入。
30分後に合流後、今度はまっすぐ東武日光駅に送ってくださった。
16:40 日光駅着。
厚くお礼を述べて、先ほど買ったまんじゅうを手渡すと、照れくさそうに受け取ってくださった。
甘い物好きかどうかも分かんなかったけどね。
ほんとうに良き方でしたわ、お名前も聞いてなかったわー
ほんとうにありがとうございました。
急におなかが空いて、ここで夕飯。
17:50 日光発。適当な電車。
18:56 浅草着。
Mちゃんと別れ、20時頃には東十条の我家に到着。
素人山登りでしたが、山登り経験そこそこある友人Mのおかげで、無事に素晴らしき宿と山を堪能できました。
Mちゃんほんとありがとうねー。
と、方々に頭を下げつつ、お布団に入ったのでした。
おしまい
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