1989年4~5月 初ソビエト連邦モスクワ・レニングラード 6
5月2日
朝食前、今度はSちゃんと海を見に行く。
白鳥がいる。あいかわらず、空が青い。
ふと海っぱた(波打ち際、ね)を見ると、ロシア人か? 外国人の親子が石切りをしている。
穏やかな海に向かい、平らな石をなるべく水平に投げて何回跳ね返るか楽しそうにやっていた。
あたりを見渡すと、他の数グループも挑戦している。
こっちでもこういう遊びをやるんだねー、とSちゃんとホテルに帰ると、同じツアーのO夫妻が
「さっき、海があんまりにも静かだったから、石切りしてみたらすごーくうまくいった!」
と、自慢していた。
どうも、ブームの火付け役はこの夫婦だったらしい。
このOさんのダンナさんは、某自動車会社の社員、しかもデザインか設計関係の人らしく、街中の車を見ては
「うわ! また壊れてる」
とか
「この車! 日本じゃ考えられない色だねー、いいねー」
などと、いちいち感動している。
そして
「今後、(新製品の)車を出すなら紫だね。今まで日本じゃ紫の車って考えられなかったけど、けっこういいかも」
などと言っていた。
(※ 現在のコメント:今は紫もあるよなー、時代は変わった……)
午前中、エルミタージュ美術館。
けっこう混んでいる。入口は行列。
フラ・アンジェリコの大きなフレスコ画。背景の透明感ある空色と、肌のスベスベした聖人たちの堂々とした立ち姿に見とれてしまう。
レンブラント、ヴァン・ダイク、近代では、マティス、ゴーギャン、ピカソもけっこうある。
マティスのdanceとmusicが対である。背景は青、地面が緑、躰が紅色っぽい赤。
ダンスだけというのは見たことあったが、二枚揃っていると尚よい。
セザンヌのセント・ヴィクトワール山、下地のベージュが結構残っているのに完成度高く感じる。
絵と絵の間隔があまりない場所も多々。なんとゼイタクな飾りよう。
華やかな装飾の椅子に、さりげなく座って休む。
所々にあるモザイクテーブルや家具も高価そう。なんとも書いてないのでさりげなく触って歩く。
内部も人が多い。引きずられて歩く団体見物で、だいたい1時間かそこらでざっくりぐるりと観て歩いた。
ふと通りかかった通路は倉庫と化していた。お宝ざくざくだね。
広場ではリレーのような競技をやっていた。こちらも見物人がたくさん。
午後は、ネフスキー修道院
イコンと赤いロウソクをたくさん見る。
線香みたいなお香の匂いがあたりに漂っている。
有名人のお墓が一杯。ムソルグスキーやボロディンの名は読めた。
いかにもお墓です、という堂々とした墓石が多い。
子どもを亡くしたのか、母親が眠る子どもの前で嘆いている像もある。
兵士の像もある。
次にイサク寺院(聖イサアク大聖堂)。
なんともデカ! という代物。
大モザイク。金色の背景に聖者の全身像がみえる。これが6枚くらい。
あと、絵画のようなものも。
とにかく中も堂々としている。広々して、高い ところからさしこむ光の中、細かいほこりが白く舞っているのがみえる。
これは床のモザイク柄をスケッチしてきたもの。
夕飯はホテルにてディナー。
出てきた肉はめちゃ、固い。しかも黒い。
何の肉ですかー? とツアーの人たちがガイドさんに聞くがニコニコして教えてくれない。
誰かが「トナカイ!??」
と聞くと、否定せず。だからトナカイだということになった。
後で聞き直したら、ただのビーフだったようです。
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