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1989年4~5月 初ソビエト連邦モスクワ・レニングラード 3

4月29日

6:00 目覚める。
すぐテレビを点けてみるが何もやっていない。テストパターンがカラフル。

9:00 朝食。
 レストランはホテルの上のほうにあって、すぐ裏の駐車場がよく見える。
 思ったよりも車の色が色々ある。

 ツアーらしく、まずは観光バスで市内見物となる。
 一番最初に訪れる場所はやはり、赤の広場。
 近くにホテル・ロシアという007の世界のようなホテルがあった。
 欧州一だそうで、さすが31アイス(Baskin Robins)まである。

 広場に面した聖ワシリー寺院。でっかいおもちゃのよう。
 本当にこんな風な建物があるなんて、と、何度もまじまじと見入ってしまう。
 壁のしっくい、だろうか。草花の可憐な模様がついていて、それがまた形のキバツさと全く合っていなくて、面白い。立体絵本、といった感じ。

小花があしらわれている!

 スパスカヤ塔(門)の前に着いた時、クレムリンの城壁の中から次々と黒塗りの車が出てくる。
 車が姿を見せるたびに、おまわりさんらしい制服が「道を開けい」とばかりしゃしゃり出てくる。
 黒塗りの車は、むちゃくちゃスピードを出している。
 中にえらい人が乗っているんだろうか。もちろん車の中は見えない。

 レーニン廟は長い行列。行列が広場の果てまで伸びていて末尾は見えない。
 しかし捌けはよい。ところてんのように、建物の後ろから人が出て行くのがみえる。

 ここでも車の修理に余念がないおじさんひとり。

 モスクワ川をはさんで、クレムリン見物。

橋を渡って川を挟んでみるクレムリン

 クレムリンて、単に政府の総合庁舎群かと思っていたら、広い敷地内に寺院あり、博物館あり、もちろん政治の舞台あり、一つの城下町風テーマ
パークみたいな感じ(トイレの数が少ないけど)。

  ノボデビッチ修道院へ。
 何の計画性もなく墓が散在しているように見える。
 オルロフ夫妻の墓もみつける。どんな人たちだったのかは知らん。多分貴族か何かで、でかいダイヤモンドを持っていたのでは? それが呪いの
ダイヤだったっけ? 程度。
 もちろん、たたりが怖くて(?)墓には触れず。
 棺おけのような平たい墓石が二つ並び、赤い造花(バラのよう)が一輪ずつ、置いてあった。
 その辺から来たらしいおばあちゃんが多い。
 墓地の入口でちゃんと十字を切っている。
 赤いロウソクも売られている。
 共産主義の中にも、宗教はちゃんと残っていることに感動。
 しかも低く重く、ずっと主旋律を奏でている。

 寺院建物の外壁に、天使とつる草とガイコツに隈取られたレリーフの碑文をみる。
 しゃれこうべの絵が、なんとなく漫画のよう。
 かと思うと、細長いアーチ形の窓にはめてある唐草模様の金枠。
 くるくると輝いていて見事。

 昼にホテルに戻る。

 午後はまずレーニン丘、モスクワ大学を見る。
 丘というだけあって、見晴らしがよい。
 緑の多い都市。他所はみな良く見えるだけ??

 次にカローメンスコエ Коломенское

 モスクワ川のほとり。緑多く、美しい場所。
 崩れ落ちそうな廃墟のような白い塔に、鳥が舞う。

 毛の長い三毛猫が日向ぼっこしている。
 大人しく撫でさせてくれるが、顔が嫌がっているような。

「触らせてやってもいい」

 ここでもおばちゃんたちがお祈りして入っていく。

 平均的なおばちゃんスタイルは、
・スカーフ(化繊ぽい。派手な花柄とかで色も派手)
・重ね着
・袋、バッグは2つ以上(袋は化繊ぽいのが多い)
・厚手のスパッツ(らくだ色かカーキ色)

平均的スタイル

 ホテルに戻ってから、まだ明るいので、ひとりでそぞろ歩いてみる。
 陽気もよく、爽やかで、喉も渇いたのでクワスквасを飲まんと欲す。
 空き地の片隅に、まるで灰色のロッカーのように並ぶのが、クワスの自動販売機。かなり簡単なマシーン。

ここは大規模自販機店

 で、コップは? もしかして自前のカップがないと飲めない、とか??
 近くでクワスを飲んでいた若いお母さんに、グジェ スタカーン? と聞いてみると、親切にも、自分の持ってたコップを貸してくれてから、マシーンの下の穴でコップが洗えること(コップはプラスティック製で、あとで気づいたのだが、自販機の上にいくつも並べてあった)、料金は3カペイカだが、1カペイカコイン3枚では買えず、3カペイカコインしか使えないということも教えてくれ、ついでになんと、1杯、おごってくれた。

 おごりで飲んだクワスは、冷たくて、少し酸っぱくて甘い。そしてさっぱりしていた。
 初夏のモスクワそのもの、という風味。
 これから3カペイカコインは常備しなくては。
 こんな無粋な機械から、あんなおいしい飲み物が出てくるなんて、不思議。

 バッジを買う。
 バッジ売りは少年が多い。
 レーニンの顔や、街の紋章、星やら何やら。留め金はチャチだが、種類が色々で楽しい。
 メトロ入口付近では、花やら、風船やらキュウリ(1キロ3ルーブル)それにアイス(1かたまり33カペイカ)など、色々売っている。

17:20 夕食
 夕食後、Sちゃんとそぞろ歩く。
 ホテル・コスモスはモスクワオリンピックを機に作られたのだって。
 メトロ・ベーデンハ駅のすぐ目の前。
 駅を挟んで通りの向こうは桁外れに大きな公園で、科学とスポーツを通じて青少年を健全に育成しようという空気が満ち満ちている。

 これはホテルの窓から見た、公園のようす。

 それでも、公園では自転車の少年に「ガムない?」と声をかけられたり、ロックの看板を掲げた店の前に若者がたむろしていたり、西側資本主義の魅力(?)がだんだん浸透しつつあるような気も。
 日本人などが、金やモノを落とし過ぎなのかな?
 まあ、ソ連の政策も徐々に変わってきているのだけれども。

飛行機つきモニュメントに登ろうとする少年をみた

 風船を手放してしまったらしい小さな女の子が、大人と手をつないだまま、泣いていた。
 男の人が、青い風船をふたつ、高いところから空に放ってずっと、見上げていた。

 Sちゃんは部屋に戻るというので、また、ひとりで散策なぞ。
 今度はスーパーらしき店を見に入ってみる。
 缶詰、バター、チーズ、肉、魚のくんせい、果物が少々、ミルクなど売っている。
 バター1キロ3ルーブル60カペイカ、
 魚のくんせい1キロ60カペイカだった。
 レジでお金を先に払い、レシートをもらい、そのレシートを品物番の店員に出して商品と引き換えてもらう。
 言葉の通じない私みたいのだと、おそろしくてなかなか買物する気になれない。

 さんざん道に迷ったりなんだりしながらどうにかホテルに帰る。

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