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1994年7月 真夏のこんな時期に発作的に京都 2

【まとめ】二日目は宇治まで。万福寺でしみじみ大陸情緒を感じ、平等院を眺め、いったん街なかに帰ってから伏見稲荷あたりをうろつく。街は大渋滞で友人をかなり待たせて恐縮ざんまい。宵山の街並はまさに京都の夏だった。

7月17日(日) 月真院より始まる

夜が明けかかった頃、ようやく涼しい感じになってきた気がしてうつらうつらする。下の本堂から朝のお勤めの読経が聴こえる。
6:00 いったん目が覚める。隣の部屋の女子が荷物をまとめて降りて行った気配が。下からご住職に、もう帰ります、と言っているのが聴こえる。もう少ししたら朝ごはんですよ、と言われていたが、いえ、もういいです、帰ります、とかなり頑なな言い方で、寺を去っていった。
うん、虫と暑さとに屈してしまったのであろうね。
涼しさが心地よく、また少し眠る。お隣が静かになったので熟睡だったかと。
7:00過ぎ 起きる。
朝ごはんは下の広い座敷で、ひとりだけだった。ご飯、みそ汁、ゆで卵、ひじきそぼろ、豆腐、おしんこ、梅干し。沁みる美味さ。
ミニバイクで庭を走り回るご住職を眺めながらのご飯はまた格別。
9:00 宿を辞してバスで駅に。
9:30 TISで聞いてみたらキャンセルが出たとのことで宿が決まる。ふつうのシティホテルでセミダブル、バストイレ付きで6000円と。よかった!
JR奈良線で宇治方面へ。桃山とか、いくつか駅を過ぎて黄檗でしばらく停車。
先にここで降りて、以前一度ちらっと寄って虜になった萬福寺を見ることに。

黄檗宗萬福寺。写真ACより


黄檗宗萬福寺は人があまりおらず静かだったが、どこもかしこも大陸の風が吹いている。  
漏れ聞こえるお経も中国語っぽい。
火元責任者に「司 鐘鼓」とあって芸名か?と思ったがカッコよすぎる。
歴代の住職でひとりが、「授_中に千代田城にて化す」とあり意味が解らずしばらく考える。結局わかんない。
本堂?(後で知ったが大雄宝殿)天井付近に掲げられている「真空」の扁額、文字が素敵だった(これも後で知ったが明治天皇筆らしい)。
以前も気になっていたお魚の木彫り(開梆かいばん)も相変わらずよい表情だった。
特に気になったのが、十八羅漢像の羅怙羅尊者らごらそんじゃ像。
涼し気な表情で腹かっさばいていて、しかも中の仏様も穏やかなお顔。
お供えされているものも不思議だった。

イラストの上の皿はナガイモ、キュウリ、ニンジンを切って立てた物、下の皿は凍み豆腐、素麺、干しシイタケ、白寒天、赤寒天。
境内の脇で法事らしきものを執り行っていた。外の折りたたみ椅子に、渋い浅葱色(水浅葱?)の紋付きの着物というおばさまが多く座っている。黒はむしろ少ない。お経はのんびり、あまり節回しがない、ゆったりしたもの。鐘と太鼓がリズミカルに入る。
奥のお堂入口には「座禅中 お静かに」の札がかかっていた。

卍のこのような格子がどこかにあったような気が
黄檗宗萬福寺。写真ACより

近鉄で宇治へ移動。駅で高校生たちがお掃除していた。女の子たちがかわいい。いっしょうけんめい拭いたり掃いたり。

平等院へ。涼し気な黄色いバスで。

平等院鳳凰堂 写真ACより


まじまじと平等院鳳凰堂を眺める。両翼は人が入れるようではないが、何のためにあんな風に建てたんだろう? と日本の建築史をないがしろにしそうな疑問が浮かんでしまった。
対鳳庵は気になったんだが、ひとりきりで臆してしまい、入れず。
お昼には近くの吉野家にひとりで入って450円の牛丼食べたのに。
観光センターにて無料宇治茶と冷水を頂いて満足する。

宇治川の水量は豊かで、川の中に腰まで水に浸かって釣りをする人もいる。
陽射しは強いが、川沿いは風が気持ちいい。

いったん京都駅に戻る。バスの一日券を買って伏見稲荷まで行こうと思ったがバスに乗りそびれ、結局地下鉄で竹田まで。
千本鳥居はまるでトンネルのよう。隙間から出られない所もある(出ようとするな)。二股に分かれた所とか。日の光が赤い鳥居に当たり、蛍光じみている。
くぐって歩くうち、なぜかSLの汽笛が聴こえた気が。そして、鳥居に書いている名前の中に「川端康成 ミツコ(?)」とあってさらに狐につままれたような気分に。

バスでホテルまで。しかし道路は大渋滞で植物園の北にあるホテルまで40分かかった。
17:30頃 ようやくチェックイン。友人との待ち合わせは四条烏丸に18時、間に合うのか?

バスに乗ったが案の定ノロノロ運転。
約束の時間に30分以上遅れて四条烏丸の三菱銀行前に到着。
Mちゃんから「宵山の日にバスに乗ったらアカーン!」と厳重指導される。地下鉄が正解だったらしい。ホントすんません。
ちなみにMちゃんとお連れの女子は浴衣姿でした。かわいいのう。
(そしてMちゃんは下駄ばきだったが途中で足が痛くなりサンダルに履き替えていた)
Mちゃんと彼氏のIさん、その連れのおふたり、計五人で街の中をゆったりと歩く。人がものすごい表通りを避けて細い道に入る。民家は多く玄関を開け放ち、入り口の板の間や出窓の飾り棚に家宝の類をお披露目している。屏風、壺、茶器などなど。博物館にあるレベルか? みたいなものまで。
自作のついたてや抽象的な油絵を飾るお宅もあった。
小さなお寺さんの入り口には曼陀羅図が架けられていた。
練り歩く鉾も圧巻。円山応挙の天井画というのもちら、とみえた。

月鉾。写真ACより

歩き疲れてみんなで通りに面した喫茶店へ。メニューを見たIさん曰く、宵山の時は、近隣の茶店はすべて祇園値段になるのだそうな。メニューからして違うらしい。

Mちゃんたちと別れ、地下鉄で(学んだ)ホテルまで帰る。
部屋は広々。お風呂もゆったりとしていてベッドは溺れそう(逆か)。
昨夜よく眠れていないせいもあって、お布団に入ったと思ったら意識なくした。

ちなみに、Mちゃんたちに会うまでの本日の水分購買記録。
・シャッセ(マスカット) 110円 萬福寺近く路地。
・カルピスナタデココ 110円 高野橋東詰バス停。
・カルピスウォーター 80円 植物園近くのコンビニ。
・麦茶 110円 市役所通り。
・充実野菜 110円 八坂神社。
・HIキャロットフルーツ 110円 近鉄のどこか。
・不明清涼飲料 110円 奈良線京都駅。
かなり暑かった、ということがよく分かる……

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