見出し画像

1996年9月 帰りがけに飯田線乗りたい人

【それまでの経緯】仕事を辞めたタイミングで、今までひとり住んでいた横浜市神奈川区の白楽にあるアパートを引き払い、いったん静岡県中部の実家に帰ることになった。
退去終了後、どこかで一泊してから普通列車でできるだけ遠回りをして帰ろう、と色々考えていた。
※2024.07.09失くしたと思っていた写真が(少しですが)出てきました。せっかくなので後日に撮った写真も注釈付きで残します。ヘッダーはとても素敵なトンネルの写真でしたのでそのままお借りします。ありがとうございます。

9月1日(日)
(この日朝早く、静岡の実家から横浜へと向かっていた。)
今日から完全に『会社員』ではないんだー、横浜へ向かう新幹線内でずっとしみじみしていた。
昼前にアパート着。東急東横線白楽駅より徒歩5分。窓から見える景色も今日でお別れ。

12:10 無事に部屋の明け渡し終了。晴れて自由の身に!

最初は西会津で泊まり只見線で小出に行き、上越線で越後湯沢、渋川、高崎を経由して信濃本線で小諸、小海線で小渕沢、そこから甲府、身延線で富士、その後東海道線で静岡……を考えていたが(どこも初ルート)、アパート撤去時、引っ越し荷物に入れてなかったFAX付電話の存在を思い出し、もう少し楽に帰れるルートを考えよう、と計画し直す。
そうだ、今まで乗った事のない飯田線に乗ってみよう、と急に気持ちを切り替えてまずは甲府に向けて出発。
電話機くん、君との旅先が決まったよ。

12:30 デイバッグにバスタオルにくるんだFAX付電話機を入れて(ほぼそれだけで荷物は一杯)、出発。

さらば部屋!

白楽駅近くだったか、自転車の前座席に小さなむすめさんを載せたお父さん、自転車こぎながらむすめに言い聞かせるように唱えていたのが
「がちゃこじゃない
がちゃこじゃない
がちゃこじゃない
かー、ぼー、ちゃ!」
これが何だかほほえましかった。

モスバーガーでお昼ごはん買う(店があったのかな~記憶があいまい)。
東急東横線白楽駅を出る。

12:43 菊名駅でJR横浜線に乗り換える。

何時だろう、八王子着。JR菊名からここまで740円。
初八王子は、思っていたよりずいぶん静かだった。
ホームが何となく低くて、ネコジャラシが風に揺れていた。
そこから続けて高尾まで。中央線?。

14:17 高尾発。高尾駅には涼しい風が吹いていた。

相模湖の前に長いトンネルがあって、ちらっと湖らしきものが見えた。
高尾を出ると、急に山っぽくなる。
東京に入ったと思ったらまた神奈川に少し入るらしい。
相模湖→藤野→上野原の脇は川(相模川)が広々としていた。

14:40頃 四方津しおつあたりではすっかり田舎の風情。

何故か車内を撮る

梁川やながわは深川と字を間違えていた。変わった読み方だなあ、と思って二度見。

とりさわ、猿橋。この辺りで検札が来る。

大月着。
なんと、「かまめーしー」と釜めし売りが歩いていた。
大月で特急通過待ち。はまかいじ号?薄紫の列車がすいっと抜いて行った。
その間、釜めし売りはホームを三往復くらいしている。こちらは三両編成なのですぐやって来る。

15:00 大月発車。なんだか曇ってきた。

初狩 電車も空いて来ている。富士急の小さな電車もいた。

どこなのか、ふとみえた景色

笹子 黒っぽい小さなネコジャラシが風に揺らいでいる。葛の花が咲いているのが見える。

かいやまと 武田家終焉の郷だって。谷に高架を渡し、道路を作っている。

勝沼ぶどう郷 ここに泊るのもありかな、とちょっと思った感じの良い場所。駅の西は傾斜になって落ち込んでいて、盆地みたいな平野が下に拡がっている。メルシャンのぶどう園だろうか? 昔友人のMちゃんと行った所かもな、と思った施設が丘の上にみえた。さすがにどこもかしこもぶどうだらけ。色の薄赤い大粒のやつが生っているのがみえた(甲斐路だっけ?)。

※2022年12月 メルシャンぶどう園より駅側を眺めた図

塩山えんざん

東山梨 改札があるの? ホームに草が生えていた。

山梨市 赤い桃が生っているのも見えた。果物は木に実っている時がいちばんおいしそうに見えるもんだね。

春日居町、石和温泉

さかおり 善光寺は東日本最大の木造建築なのだそうな。ちらりと屋根が見えた。

※2015年8月 ずいぶん後になってようやく訪れた甲斐善光寺

甲府。結局甲府に泊ろう、と駅のぷらっと案内所で聞いたらホテル内藤という地味なビジネスホテルをあっせんしてくれた。6200円。

部屋が狭く、クーラーの効きが悪い。
ホテル周りは何となく荒れっぽい。Halleっぽい?
西武デパートにも行く。じみーな西武。
澤田屋の黒玉(くろ玉)というお菓子に惹かれ、好奇心から買ってみる。
見た目が奇抜だが、エンドウ豆あんの周りに黒蜜っぽいコーティング。
1個90円。美味かった。

澤田屋さんサイトより転載

ついお土産に買ってしまったが、明日はあまりゆっくり旅をしていられなくなるじゃないか、と気づく(一応常温でもしばらく大丈夫とあったが、見た目的に心配)。
西武で夕飯を買う。職人ビール、高菜の炒め物、パインツリー(パン屋の名前?)、紅茶メロンパン、マヨ系詰め物の入ったフランスパン、オレンジジュース。
22:30頃 テレビを視ながら寝てしまう。

9月2日(火) 薄曇り 台風が来ている。

6:50過ぎ 起床。
部屋にてクルミパン(しょっぱい!)、毎日骨太飲むヨーグルト、フルーツサラダ。
7:20 チェックアウトして、駅へ。今日の移動は青春18きっぷ。
絵葉書500円分買って、ホームでフラフラしていた。

7:51 松本行きに乗る。飯田線に乗り換えるための上諏訪までこの電車に乗っていられるらしい。

8:10頃 新府 桃畑が斜面に広がっている。

※2024年5月 新府城跡(の正面入り口)

穴山 穴山氏発祥の地。穴山氏って?

※ 今更お勉強。

もともと穴山氏は、甲斐武田氏7代当主である武田信武の子、義武が巨摩郡逸見郡穴山(山梨県韮崎市穴山町)にて「穴山氏」を名乗ったのが始まりとされている。甲斐武田氏の御一門衆として君臨し、武田姓をも許されていた。それが穴山氏である。

家康が武田重臣「穴山梅雪」寝返らせた緻密な策略 相手の立場を考慮し、不安を取り除く細やかさ | なぜ天下人になれた?「人間・徳川家康」の実像 | 東洋経済オンライン (toyokeizai.net)

電車内の雰囲気は「オバサマがたの会話が弾む」華やいだものがある。団体様が乗っているらしい。

長坂の手前辺り、赤松が多く美しい丘がみえる。
線路沿いのススキが秋めいている。
甲府も24℃だったが涼しかった。確かにもう、夏ではない。

小淵沢の手前、なだらかな斜面になっていてその下が霞んでいる。松と杉とがどこまでも並んでいる。空気の色が信濃っぽくなってきた。

茅野 オバサマがたが20人降りて行った。そしたら電車の中に静寂が訪れた。

上諏訪到着。東洋のスイス?

駅にあったスタンプ。のどか
駅構内に露天風呂があった
(※2024現在、足湯はあるらしいが)

ここでもう一泊したいところだが、背中の電話機くんが泣いているので(?)帰りを急ぐ。
身延線天竜峡駅行きは3両。すでにホームに待っていた。扇風機が回っている。
9:03出発。

下諏訪 ずいぶんと止まっているなあと思ったら、上りの特急らしき列車とすれ違った。その後、気づいたら単線になっていた!

岡谷 ここでも8分停車。が、自販機の故障でジュースが買えなかった。
あずさ松本行きが来た。

伊那新町 畑にアサガオが大量に作ってあった。全部青紫。何故?

ややうつらうつらしてから、飯島町という看板が見えた。川にはほとんど水がないが、細い流れは清く澄んでいる。
「~~せんといかんに」という言い方を耳にする。そう言えば八王子では男の子が「兄貴が来とって……」と西の方のイントネーションで言ってた。

10:30過ぎ 今、田切?

いなかじま、と聞こえたが実は稲田島だった。

少し前にお弁当売りが来た。
もみだし茶 豊田町のやつ。110円。

指をあてる場所がイラストでついている。
よく揉むべし

伊那大島 赤石岳などの登山口らしい。

飯田 気づいた時には乗っている電車が2両になっていた!
ふと気づいたが改札がない。駅員のいない駅間はいったいどうやって切符を買えばいいのだろう?
と、悩んでいるうちに判明。車内をヒマそうな、いや、乗客を安堵させるべく余裕をみせた車掌さんが巡回していた。それで
「お願いします、○○から××まで」と言って買うらしい。
だから例えば
「けがからだしな」とか、そんなパターンもあるよね。しかし呪文みたい、とひとりでうれしくなっている。
駄科だしなっていう名前が特に気に入った。

12:57 天竜峡着 

いったん駅の外に出て、Sくんに朝書いていた手紙を出す。

※2024年6月に見た天竜峡駅遠景

うどん250円。すすってから、次は飯田線豊橋行きに乗る。
今度は扇風機ではなく、クーラーがついていた。
しかも2両しかないのに、トイレもついている!
さっきの電車にもあったんだっけ? 記憶が無いや……

飯田線天竜川沿いの断面図
天竜峡近く?

空いているせいか、二人掛けの席に足を伸ばして乗っている人が多い。
私も荷物が重いのでゆったりしていてありがたい。
くつろぎの飯田線。ほら、電話機くんあれが天竜川だよ、と連れの無い私は無機物と心の中で会話している。
こちらは伊那側と違って、トンネルトンネルトンネルかわーーートンネルという感じ。

温田の下に大きな集落(?)、トンネルには「84」とあった。

どこなのか不明。多分天竜川

かわーー、トンネルトンネルすごーく長いトンネル(多分「43」)を抜けたら、じゃっかん懐かしさを感じる景色。水窪だった。

13:50 中部天竜 特急伊那路いなじ飯田行き待ちで6分停車。
川の流れが逆向きになったような。そしてやはり水が美しい。

14:40頃 本長篠 10分停車。そこで缶コーヒーを買う。
鳳来寺山登山口なのだって。

新城近辺で高校生がどっと乗って来た。おとなしめだが、流行りのルーズソックス。

混んで来たので油断なく荷物を抱いて座る。今度はくろ玉が溶けないか心配に。
お終いの方で2駅くらい飛ばしたような気がする(急行だったのかな?今さら)。

15:40近く 豊橋到着

15:49 東海道線浜松行きに乗る。3両。
16:00過ぎ 鷲津 急に混みだした!
高校生と競艇帰り。方言飛びまくり。ちょっとうれしくなる。

16:25 浜松 連結作業で6分停車。クーラー止まっちゃった。
ようやく出発。

17:30 菊川 先ほどからなんとなく空気がよい香り。花のような果物のような。

あと40分かそこらで本日の列車旅全行程は終了となる。
茶畑の緑が美しい。愛知県内でもいくらか見ていたが、やっぱり静岡のお茶は最高だよ、と地元民はひいき目にそう思うのであった。

夕方遅く、家に着く。
電話機もくろ玉も無事でした。

横浜のアパートから甲府一泊して
電話機くんと旅した道のり
ざっくりと、東急東横線、
JR横浜線、JR中央線(東線と本線?)、
JR中央線支線、JR飯田線、
JR東海道線と乗り継ぎました


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?