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ひとりごと#84 文美国保への道・1

文美国保、正式名称は『文芸美術国民健康保険』です。大変加入しにくいという噂を聞く、著作者・芸術家の職域保険ですね。
まず職域保険とはなんぞやというと、同業者が集まって作っている国民健康保険組合です。医師国保だと医師が加入でき、弁護士国保だと弁護士が加入できます。文美国保は作家、脚本家、画家、漫画家、各種デザイナー、インテリアコーディネーター、インテリアプランナー、コピーライター、アニメーター、書道家、華道家、歌人、作曲家、演出家、映画監督、プロデューサー、カメラマンという文芸と芸術に関わる割と広い職域をカバーしていると思われます。(インテリアプランナー[建築物内装]等が入るんなら外側の建築家も入るんだろうか……?と思われる節がありますが、そこは確証が取れませんでした)

しかし、上記に例示した職業のうちには「自称でも通ってしまいそう」な職業がちらほら散見されます。おそらく加入しにくさの原因の一つは、これであろうかと推測されます。これを「自称では入れないよ」とすると、「客観的な証拠を提出してください」となるわけです。
その客観的証拠の第一段階が、「加盟団体に所属していること」ということになります。「加盟団体とはどこか」は、文美国保のサイトに掲載されています。

一つ前の記事で「マンガジャパンに加入しました」と書きましたが、こちらも加盟団体です。マンガ家・マンガ原作者の加入団体としては、主には『日本漫画家協会』となるかと思います。
『マンガジャパン』の方はアシスタントやデビュー前でも入れることを考えると、カバー範囲は広めですね。国際交流(発信)を目的としていて、方向性の若干違う団体として設立されたのでしょう。

私が「小説家・作家として、文芸系団体に参加する」のではなく「マンガ原作者としてマンガジャパンに参加した」理由は、やはり一つ前の記事で書きましたが……これらの芸術系各種団体の加入条件に高頻度で出てくるものが

会員の推薦。(二名以上のところが多い)

これが、大きな障壁となるのだと思います。
でも、言う方の気持ちはわかるんですよ。これは「あんたほどの実力者が言うなら……」っていうアレです。推薦っていうのはそういうことです。「証人を立てろ」と言っているのです。賃貸契約などにある、保証人にも通じるところでしょう。「おまえが自称ではなく、信頼できることを言っているのか、他の信頼できる人物に証言させろ」というわけです。
しかし、これはぼっちのコミュ障には乗り越えられない巨大な壁なのです。
これがネックでずっと加入できない人、多分いると思うんだ……

実際には「推薦人がいなくても加入する方法」が各団体にあるのかもしれませんが……

提示されていないものをどうにか聞き出せるようなコミュニケーション能力があったら、推薦人を探すところで躓いたりしません。

そういう意味では『マンガジャパン』は推薦人を必要としない加入方法を明示しているだけ、ぼっちに優しいと思います。

あと、『日本ネットクリエイター協会』が懐深くて、優しい団体だな……と思いました。こちらも推薦人は必要ないです。元々ニコニコのドワンゴ(角川の子会社)が動画で稼ぐボカロPなどのネットクリエイターのために作った団体のようなのですが、広義でネットで活動するクリエイターには広く門戸を開いている様子。結局加入申し込みはしませんでしたが「私でも入れそうだな……」と思ったし、実際に「小説家になろう」に投稿して、そこから書籍化している作家が加入しているような発言をネットから拾うことができているので、ネット発のラノベ作家はいけると思われます。
つまりこちらは、ニコニコ(KADOKAWA)の個人事業主福利厚生部門なんだな……と思った次第。
大会社が下請けのために保険斡旋事業をしていると思うと、すごく偉いと思うんですよ。令和6年6月現在KADOKAWAは大変なことになっていますが、こういうところにも手を伸ばしていたと思うと頑張ってほしいですね。

さて、推薦人を探したり実績を示したりして、どうにか団体に加入したとします。ここまでが第一段階です。
次は実際の『文美国保の加入申込書』との戦いになります。

ここでもまた「この職業は自称ではありません」という証拠を提出することになります。具体的には確定申告の写しなんですが……

つまり稼ぎ出した1年目には加入できないということです。

開業届を税務署に出し、実際に稼いで確定申告をし、その実績が必要になります。なお「給与所得があると文美国保には加入できない」という噂もありますが、その真偽は私が実証できると思います……
私はアルバイトをしていますが、社保加入資格を持たないため、市町村国保に加入しています。文美国保が「著作業」以外の継続収入を持っていると絶許なのか、それとも社保加入資格がなければいいのか、私の加入審査によって答は知れるのでは……と。

駄目だったら、来年三月以降にアルバイトを辞めてから再挑戦ですね。
メンタル・フィジカル両面で引きこもりで弱ってしまったため、健康対策に外に出るアルバイトをしているわけなので、続けられるなら続けたいと思いますが、健康保険に入れないのであればしょうがない。健康対策が保険加入の障害になるとは皮肉な……という気持ちにもなりますが、世の中そういうこともあるよね。(なお、社保に入るところまで勤務時間を増やす……というのは自分の意思だけでは不可能な、融通の効かない仕事です)
バイトの稼ぎと市町村国保の保険料に、20万の差はないので……なら、辞めて、もっと創作の方で頑張れ、というのが正しいでしょうね。

さて加入申込と共に「これで稼いで税金を払っています!」という確定申告書と、「具体的にはこういう作品で、こういう金額です」という作品例と収入内訳を提出します。
そして後は、加入審査を待ちます……
6月は国保の額決定通知書が来る時期なので、おそらく年間最も加入申請が多いのではと推測されます。ゆっくり待ちましょう……

結果は、次回!

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