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アニメ「宇宙よりも遠い場所」第11話考察(前編)~三宅日向の苦悩~

 アニメ「宇宙よりも遠い場所」
 Eテレでの放送が私が一番好きな回である第11話が放送されました。
 今回はこの第11話で三宅日向についてを中心に考察します。

第11話で描かれた三宅日向の過去

第11話、荒れる日向



 第11話は三宅日向に高校の陸上部でチームメイトだった元同級生達が再会しようとする所から始まる。
 ビデオカメラとネット回線を通じての面会、日向はカメラのレンズを手で塞いで拒否の態度を示します。
 日向は一人になって「ふざけんな!」と叫び雪を蹴り、バケツも投げる今までにない荒れた姿を見せる。
 その理由が高校1年生であった日向に、大会の出場メンバーになるようにそのチームメイト達が後押ししたのです。
 日向は上級生である3年生に遠慮していましたが、チームメイト達の後押しに乗り大会出場メンバーに選ばれます。
 しかし、選ばれなかった3年生は日向を後押ししたチームメイトを怒ります。
 怒られたチームメイトは「言いましたよ。空気読めって」と自分達の事を棚に上げて日向を悪く言います。
 この事で日向は高校を中退した事をキマリ達に語ります。。

苦労人な三宅日向

第11話より、高校の陸上部で先輩から怒られるチームメイトの様子を見てしまった日向



 作中で日向は退部後に自ら「私が悪い」とする噂話を学校内で流していました。
 裏切りをされてもチームメイトを庇ったように聞こえますが、少し前の場面で語る「人間って怖いんだよね」と日向は言います。
 この日向が言う人の怖さ、チームメイトからの逆恨みを買いたくないと言う考えかもしれません。
 大会出場に関してチームメイトの後押しがあったと言い、真相を争っても今度はチームメイトが日向を恨む可能性が出て来る。泥沼になってしまう。
 日向が自分が悪いと言う噂を流したのは、終わらせる為にあえて泥を被ったのではないかと思います。
 チームメイトのみならず、高校から出て行く為に日向が自ら悪人として関係をさっぱりと終わる為にと考えると日向の心境は悲しいものがある。

描かれない日向の家族

第2話より、キマリと日向のバイト先であるコンビニの店長林



 「宇宙よりも遠い場所」で三宅日向の家族は描かれていない。
 主人公のキマリこと玉木マリは両親に妹が居る家族が描かれ、小淵沢報瀬も祖母と暮らしている様子、白石結月も自分のマネージャーでもある母親が登場する
 対して日向は家族に誰が居るかも描かれていない。
 唯一描かれる日向と南極以前から関わりのある大人として登場するのが、バイト先であるコンビニの店長、林だ。
 第11話では、昭和基地でキマリ達が日本に居る家族へ年賀状を書く場面がある。
 ここで日向が年賀状を出す相手は林だけだった。

最終回第13話エンディングより、帰国した日向と出迎える林


 以上の事から考えられるのは日向と家族の間がかなり仲が悪いと言う事だろう。
 退部だけではなく、高校中退もする日向と親の関係が険悪になった可能性は大きい。
 そんな日向の理解者が林であったのだろう。
 最終回のエンディングでは、日向達が南極へ行っている事を壁新聞のごとく店に貼り、林が応援している様子が描かれている。
 そんな林だから日向はお土産を持って来ている。
 描かれていない三宅日向の背景は結構ヘビーなものがあります。

 だからこそ、日向は報瀬に南極へ一緒に来れた事を「ありがとう」と感謝するのです。


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