宇宙よりも遠い場所第11話考察(後編)~それは決別~
https://note.com/katuragi1984/n/nc2609cf2c918
前回は三宅日向の心境と背景についてを中心に書きました。
今回は日向の元チームメイトが許されなかった事についてです。
元チームメイトが許されなかった訳
第11話で日向の元チームメイトは小淵沢報瀬から怒られ、キマリや結月も日向の味方であると見せられ、元チームメイトは日向と和解はできませんでした。
許されなかった元チームメイト
果たして元チームメイトは許されないのか?
元チームメイトがしたことを振り返ってみよう。
1年生の日向を実力があるから大会に出場するべきだと、チームメイトは日向を持ち上げます。
日向が居た部活は陸上部であると思われる。
大会出場は個人で選ばれ出場枠はかなり限られる。
そうなると上級生に譲るものになるだろう。日向も卒業が近い先輩に譲るべきだと言いますが、チームメイトの「それで手を抜く方が失礼だよ」と強く後押しします。
そして選ばれた日向でしたが、先輩は大激怒
後押ししたチームメイトは「言いましたよ、空読めって」と日向が悪いと言います。
さんざん日向を大会出場へと登らせて、いざと言うときは梯子を外す。
まさに日向を裏切る行為をしたチームメイト
南極の件まで元チームメイト達は日向と接触しなかったであろう事を考えると、和解をするにはあまりにも遅過ぎた。
許しかけた日向
南極からの中継本番を前に、日向は報瀬へ「許したら楽になると思うか?」と尋ねます。
「許したい?」と報瀬
「それで私が楽になるならな。けど、それでホッとするアイツらの顔を思うと腹が立つな」と日向は本音を語ります。
聞く報瀬は「ざけんな?」と日向の心を思い「だな」と肯定する日向
本心で日向は元チームメイトを許してはいません。
しかし日向は第11話ではSNSの元チームメイトのアカウントを削除しようとして出来ずにいます。(それでもブロックはしている)
ブロックで壁は作るものの、自分からは切れない。
これはトラブルにおいて日向が自ら引く性格だからかもしれません。
たとえば第6話のシンガポールでパスポートを紛失した時の日向
日向は報瀬へ先に報瀬達3人で先に行くように言い、日向は後で追いかけるとも言います。
自分のせいで藤堂吟の南極観測隊への合流が遅れるのが申し訳ないと思ったのです。
もしかすると日向はシンガポールで報瀬達と分かれてしまう気であったかもしれない。
(報瀬は日向を置いて行く事を拒み、パスポートも出てきたので4人で行くことは出来ましたが)
立ち向かうよりも、立ち去るのを選ぶのが日向なのである。
南極での中継も報瀬が動かなかったら、日向は再会を喜ぶような立ち振る舞いをしたかもしれない。
これも日向の性格である自ら引く(この場合は妥協すると言うべきか?)で起きたかもしれない展開だ。
許さないは決別
第11話での報瀬の怒り、キマリと結月の同調
これによって日向は守られ、元チームメイト達は和解の機会が失われました。
許されなかった元チームメイト
この許さないが意味する所は決別である。
報瀬は日向の心を傷つけた事を責めつつも、「三宅日向に関わらないで下さい」と言っている。
キマリも「私達と最高に楽しくて超充実した、そこにいたら絶対できないような旅をしているの」と言い放つ。
報瀬とキマリは日向はもう私達の友達だと告げている。
そして元チームメイトとは、別の世界に居るのだとも告げているのです。
日向はここで高校での辛い過去との決別をする。
新たな友人と南極に行っている現在に完全に日向は歩み出したのです。
「宇宙よりも遠い場所」は第9話で南極に到達した時の皆で叫ぶ「ざまあみろ!」の現れるように、色んなしがらみから自分の望む所へ向かうストーリーでもある。
第11話での元チームメイトとの決別は報復や復讐ではなく、しがらみを捨てる前向きな決別なのです。
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