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不本意をやりきる強さ

ついにフロンターレがリーグ戦で連勝を掴んだ。
この先どうなるんだと誰もが不安に思うようなシーズンの開始頃から比べたら、全くもって違う景色がそこにある。
苦しい時期を乗り越えて「勝ち方」や「試合の進め方」を改めて習得しつつある今のフロンターレは、余裕とか楽観的なプラスを得るまでには至ってないが、かなり上向きの流れに乗れていると強く感じる。

次のホーム鳥栖戦、ゴールデンウィークの満員の声援の前で勝利することができればこの流れは本物。血となり肉となってチームに定着した強さになる。
そのためにもここで満足せず貪欲に次も次もと勝ちながら目標を上方修正していきたい。

京都戦は鳥栖戦でもおそらく通用する新たな収穫物が得られた試合なのでそこを中心に振り返る。
今後のフロンターレの新たな武器として定着していく過程を見つめて行けたらなと思う。




「最後尾からつなぐ」を意図的に捨てた京都戦



京都戦は誰もが「あ、フロンターレやり方変えてきたな」と感じる要素がたくさんあった試合だった。
特にキックオフ直後から「蹴る」という選択をして、上福元の特徴を活かす形で「自陣から最後尾からつなぐフロンターレ」とは違った戦い方をしたのはかなり印象的だった。

昨晩連投したツイートを乗っける形でそのやり方について私の意見を。


大元の話の流れは、京都サポの勝輝氏
ツイッター @ks_ktk12
note  勝輝のサッカー観戦記
が試合を見ての感想で

クリアボールを相手に拾われて二次攻撃を受ける回数は、集計してないまでも、体感で明らかに多い。

クリアではなくよりスペースの広いところに跳ね返して、味方に繋がってカウンターに持ち込もうという意図が強すぎることなのでは。

という考察のツイートに対して私が逆側から見た印象を連投して意見交換を行ったという流れ。

ツイートは以上。

要約すると

・京都の前プレは驚異的だし実際試合開始直後からかなり効いてた
 ↓
・対応策としてつなぎの重視度を下げて蹴る方向を強めた
 ↓
・カウンター合戦は京都の狙いだったけど、奪って前に出る段階をフロンターレ側が努力で潰して大部分を抑えた
 ↓
・不本意なやり方ではあるが、鬼木監督的には戦前からこの形この試合展開は読めてて意図的にこうした可能性が高い。

といった考察。


自分たちのやり方にこだわって低迷してた



今年のフロンターレは知っての通りかなり悪いスタートになってしまったが、原因は色々ある。
全体的な理由の共通点として「自分達のサッカーへの変なこだわり」が引っかかる原因になっていたと私は感じる。

・パス回しの技量も連携も落ちてるのに速攻ガン無視してパス回しして、横パスや自陣でのパスをかっさらわれて失点
・CBが谷口&ジェジエウの鉄壁要塞から新人スタメンにグレードダウンしたのに、攻守でCBに求めるタスクのレベルが超高いまま
・中盤で家長にいろいろやらせて山根も偽SBやってと自分達で勝手に混乱

といったように、状況が昨年やタイトルを取れてた頃と大きく変わっているにも関わらず、自分達が主体的に試合を進める方向にばかり向いていて、質が伴わないから先制点献上して苦しい試合を繰り返す。という流れだった。

だが最近は家長や山根の右サイドの使い方を元に戻して整理したり、ある意味自分達のサッカーを捨てる選択が功を奏しつつある。


「つなげない」なら「つながない」という選択



今年何度も見てきたように、自陣でのパス回しをかっさらわれてのピンチは本当に危険だし流れを一気に失う。
結果的に攻撃が失敗になる点が同じだとしても、つなごうとして大ピンチになるよりも、つながないで蹴って戦う方が安定するという考え方。
それを実際に試合でやる決断が下せたのは本当に大きな進歩だと感じる。

しかもちゃんとチームとして2の矢3の矢まで仕込んで、戦術レベルで試合に通用する段階まで練り上げてきているのでかなり期待できる。

これまでは「ポゼッション率では完勝してるけどシュート数と決定機数では完敗」という戦い方だったが、ゴール前での攻防の数が確実に増えてゴールの匂いを強く感じられる時間と回数が増えた。
もちろんオープンな展開になってるので、こちらがピンチになる回数は減ってないどころか多いままだけど、それでもこちらが攻め込めるようになっただけでかなり改善感がある。

こういう自分達のやりたいことを試合の状況に合わせて捨てる事ができるというのは、フロンターレがタイトルを取れてた頃にも強みとして持っていた。
ポゼッションサッカーを志向してるくせに、ポゼッションで負けた試合でもめちゃくちゃ成績がいいという印象、フロサポなら記憶にあるはず。

そういう昔の成功体験をもう一度復活させられそうな期待感がある。


鳥栖相手にも「つながない」が有効なはず



鳥栖は順位こそ低いが相変わらず良いサッカーをしている。前からのプレスもインテリジェンスが高く機動力と持久力を兼ね備えた選手が揃っているので、今のフロンターレがポゼッションサッカーで挑むには相性的に悪い部類だと思う。

もちろんつないで崩しきれれば今の期待感より更に大きな物を得られるが、今一番必要なのは勝点だ。
最近毎試合のように言ってるが、勝ちながら修正していくのが一番いい流れ。
現実的に試合の中で必要だと感じたらどんどん蹴ってほしい。
そうやって不本意な戦い方でも勝てた経験が重なれば、本当の強さをまた取り戻す大きな助けになるはず。


お気持ちよろしくです。