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やっぱサッカーは攻撃力っしょ

今期のJリーグJ1は横浜Fマリノス、J2は柏レイソル、J3はギラヴァンツ北九州がそれぞれ1ゲーム差以上つけての優勝となった。

得点、失点、得失点差は以下のとおり

マリノス 68 38 30

柏 85 33 52

北九州 51 27 24

これら3チームと、それに敗れた上位陣のチームの戦績や成績から、フロンターレに求められる攻撃力について語っていこうと思います。


追記 併せて読んでもらえるといい記事がありました

シーズン途中に攻撃力について書いた記事です




無失点なら負けないが、無得点では勝てない


サッカーというのは難しいもので、攻守が表裏一体で、どちらかだけでは勝利はできないというジレンマを抱えています。

私はどちらかと言えば守備寄りの思想の人間で、無失点なら負けないでしょがベースのチームが強いと思っている。サッカーゲームでは自然と5バックでガチガチに守るし、得点王や二桁得点が複数居なくても優勝できるチーム作りに脳汁があふれる。

でも今期のフロンターレは、それだけで戦った結果6敗は最少だったが、12分は松本の13に次いでリーグ2位。

負けないけど勝てない

まさにその一言が重くのしかかったシーズンでした。

(得点数57で3位は立派な数字だろという方に反論。優勝するには少ない。)


攻撃力があればな…と思ったことは何度となくあったし、攻撃力で優勝したと言われるチームが今季複数あった。ルヴァンも3得点してなんとかPKまでもつれ込んでの優勝。

やはり攻撃力は必要不可欠なんだと強く思ったので、攻撃力に再度フォーカスして見ようと思う。



攻撃力不足で下位に落ちたチームをまとめてみる


まずはJ1

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直上の順位との得点力の比較をまとめると

1>2<3<4>5<6<7<8>9<10>11<12=13>14>15<16>17<18

> 7個 < 9個 = 1個

得点数のランキングをリーグ順位で表記すると

1>8>4>3=7=10>2>6=12=13>16>5>11>9>14>15>18>17


そしてJ2

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直上の順位との得点力の比較をまとめると

1>2>3<4>5>6>7<8>9<10>11>12<13>14>15>16<17>18<19>20<21>22

> 14個 < 7個 = 0個

得点数のランキングをリーグ順位で表記すると

1>10>4>2>5>3>6=8=13>11>14=12>7>15>9>17=19>21>16>18>20=22


最後にJ3

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直上の順位との得点力の比較をまとめると

1<2>3<4>5<6=7>8>9<10>11>12<13>14<15<16<17>18

得点数のランキングをリーグ順位で表記すると

2>4>17>13>1>6=7=10>5=8=11>16>3>15=18>9>12>14


J1からJ3までをまとめると

直上の順位との得点力の比較

J1 1>2<3<4>5<6<7<8>9<10>11<12=13>14>15<16>17<18

J2 1>2>3<4>5>6>7<8>9<10>11>12<13>14>15>16<17>18<19>20<21>22

J3 1<2>3<4>5<6=7>8>9<10>11>12<13>14<15<16<17>18

得点数のランキング

J1 1>8>4>3=7=10>2>6=12=13>16>5>11>9>14>15>18>17

J2 1>10>4>2>5>3>6=8=13>11>14=12>7>15>9>17=19>21>16>18>20=22

J3 2>4>17>13>1>6=7=10>5=8=11>16>3>15=18>9>12>14


という結果になりました。

得失点差は失点数=守備力との兼ね合いもあるので話がややこしくなるからカット。今回は純粋に総得点数にフォーカスしていきます。



分析してみる 優勝と得点トップ


得点数ランキングはJ3がトップに2位が入るという例外がある以外は、ダントツで1位が得点量も1位となっています。

J1で優勝したチームが得点ランクトップに立つのは今年含めると09年までで19、18、17、15の4度のみとなっています。

意外と少ないとはいえこれに該当したチームは

ポステコマリノス1度、フロンターレ2度、サンフレッチェ1度

該当しなかった年の得点トップは鹿島、ガンバ、フロンターレ、浦和といった攻撃力自慢のチームや優勝戦線常連のチームばかり。ガンバの得失点差プラスでの降格以外はどのチームも上位に入っています。


得失点差もほとんどの優勝チームが最低でも20前後、多いチームは30以上を出しているように、失点が少ないチームでもある程度得点を取っていることがわかりましたが、これ以上ここに突っ込むと守備の話もしないといけなくなるので、あくまで参考程度に。


いきなりタイトルと矛盾したことを言いますが

J1は攻撃力トップじゃなくても優勝できる

ということがまずわかりました笑

ただし、今期のJ3やここ数年の結果から見てもトップ5くらいの得点量は無いとやはり厳しいし、得点量が多いチームは1桁順位がほとんどで、最下位に近いチームは残留争いに巻き込まれやすい。というのは疑いようにない事実でしょう



近年のサッカー界の流れ


最近日本ではカウンターサッカーとか、縦に速いサッカーとかが流行りましたね。きっかけは中東のスタイルに苦しめられたとか、W杯で高速カウンターに沈められたとかいろいろありますが、要はゴールに向かって高速で攻め込むスタイルの必要性が盛んに議論される風潮にあります。

カウンターサッカーは敵の攻撃を「受け止めて跳ね返す」サッカーですので、前提としてしっかり守れる守備が無いといけないという視点から、私はその風潮の中でも守備にフォーカスした考えに向かって言った結果、ガチガチサッカーに傾倒していったという経緯ですが、今年のフロンターレの結果でまた一歩考えが進みました。


守ってるだけでは勝てない、むしろ守りだけでは弱い


40失点で降格した松本のように、耐えて耐えてというだけではやはり厳しい。そんなことは昔から知ってたけれど、実際に推しチームがそれで苦しんでようやく実感を持って頭に入ってきました。これまでの守備を重視する思想が間違ってたとかそういう意味ではなく、更にその先まで考えられるようになればもっとレベルアップできるなと。


サッカー界のトレンドでもあるアンチサッカーやポジショナルプレーなど、こういった戦い方は「得点」というフィニッシュラインを超えないと成果としては不十分。

そういう考えの段階が進んだと思います。



攻撃力を上げる意味


ここからは「攻撃力を高めるには…」とかいう戦術的な話ではなく、もっと根本的な部分である「攻撃力を高める意味や意義」について書きたいと思います。


攻撃力を高めよう

と話し始めたら、フォーメーションとか選手とかいろいろと策はあります。無限にと言っていいほどに。

じゃあどれくらい高めるの?

と言われたら多くの人は1試合2得点以上、すなわちJ1では34試合68得点以上を目指すとか、具体的な数字を出すでしょう。

じゃあなんで攻撃力を高めるの?

と聞けば、勝つためという答えが来るでしょうし、1試合2得点以上という数値にも具体的な理由があります。


私はこれからさらにその先の

攻撃力を高めたら勝てるようになるの?

の答えになりそうなことを話していこうと思います。多分そこまではっきりと答えられる人って、そんなに多くないと思うので、その考察のヒントみたいなのが書けたらいいなと。



守りに負担軽減効果


風間理論的な言い方をしますが、攻撃を永続させられれば理論上守備をする必要が無くなります。

実際今期のフロンターレはそこそこ高い守備力はありましたが、相手の攻勢を受けきってしのぐことは90分はおろか10分程度すらできない試合が数多くありました。特に試合終盤の失点のように、勝ち点に直結する時間帯に耐え切れなかった。

守って守って自分達の流れを待つというチームであるわけでもなく、ボールを持ってテンポよく回してやっとリズムが掴めてくるため、守勢だと一向に自分達の流れは来ませんでした。その極みがマリノスとの1‐4でしょう。


やはり「攻撃をする」「攻撃を完結させる」「攻撃に圧力を出す」といった行為は、守備の面にもいい影響があることは間違いないです。

特に2番目の完結させるというのはとても重要で、ヴィッセル戦のようなパスカットからのカウンターであっけなく失点するというのを防ぐためにも、ただ持ち続けるのではなく、シュートでフィニッシュするというのが求められるでしょう。



攻撃力があるという先手


「攻撃力があるチーム」というのはいわば印象の話です。

どんなに抜群の数値が出ているチームでも、得点王がゴロゴロいるチームでも、無得点で終わる試合は無いとは言い切れませんし、どうなるかはやってみないとわからないというのが現実です。それでも、データや印象で相手に警戒させることができれば、準備することも変わってきますし、チームによっては戦い方をガラッと変えてくることもあるでしょう。

この試合開始前から発生している「条件」というのは、ポケモンで言えば天気、マージャンで言えば自風のようなもので、これを自分達が主導権握って設定できれば、それだけこちらの手は増え、相手の手は制限することができます。

攻撃力は機能すれば得点という絶対的な意味のある結果につながる部分ですので、ここで高い火力があるというのはまず損なことはないですし、相手からすれば軽視したくてもできない部分です。


この先手を取って取って取り続けることができれば、結果的に無得点だったり思ったような結果が出なかったととすれば「相手の守備が良かった」か「こちらの攻撃陣が不調だった」かのどちらかで大半の原因究明が済むでしょう。

先ほども書いたように「サッカーは攻守が表裏一体のスポーツ」ですので、攻守共に問題を抱えていては原因究明は困難を極めますが、攻がしっかりとしているという前提があれば、いくぶん簡単になります。結果から分析し改善をするという試合後のフローや次の試合に向けた準備段階においても、一歩先手を取りやすくなるということです。



やはり先制点は大きい


サッカーは全世界の統計から見ても逆転勝ちという例は少なく、先制点を挙げたチームが勝利する例の方が多いですし、点を取り先手先手で動けるメリットは絶対的なものです。

開始数分で先制できる強みと弱み、終了間際の得点の破壊力など、時間帯により1点の意味というのは変わってきますが、まず1点取れば取り返されない限り勝てて取り返されてもイーブンに戻るだけ。バスケやラグビーのように点の取り方で得点数が変わるのではなく、どんな形でもゴールは1点という性格上、1点の重みはやはりどんな時にも変わりないです。

フロンターレはルヴァンの決勝こそ先制されてからの勝利を掴みましたが、PKでの勝利なため120分のフィールドでの戦いでは3‐3の引き分け。リーグでは先制されて逆転勝利は0だったことから、90分で逆転勝利は今期は無かったということになります。これほど先制されて苦しんだ以上、先制点の重要性にデリケートになるのは仕方ないでしょう。



攻撃力が欲しい…勝ちたい…


やっぱりサッカーは難しいです。攻撃力に偏らせて殴り合う昔のフロンターレではチャンピオンにはなれないですし、今期も数字的には少ないわけではなかった。完結力のある攻撃というのもそう簡単にできるものではない。考え始めるとキリが無いです。

しかし、全ては「勝利のためになにができるのか」ですので、今オフは今期勝てなかった理由を読み解くなり来期に打てる手を探すなりして、勝利という結果にこだわって頭を使ってみようと思います。きっと多くの人が各々そういったことを考えることで、より一層見る目が育ち会場の雰囲気もビシッとしていくんじゃないかと。

来期はもっと攻撃的なフロンターレを期待しています。

お気持ちよろしくです。