フロンターレがやるという4‐3‐3ってなんぞや?

今回の文章はフォーメーションについてですが

そもそもフォーメーションってなんだよ

4‐3‐3もよくわからんが昨年までの4‐2‐3‐1だって実際よくわからん

とりあえず小難しい話はNOの方向で

ぐらいの人に向けて書こうと決意したので、基本のキぐらいしか書きません。今年はフロンターレが変わるんだって言ってたけど何が変わるんだろ?ぐらいのことを考えてた人の、ちょっとした思考材料になれたらいいなと思います。



4‐3‐3で知っておくべき「2つのポイント」


4‐3‐3にも様々なパターンはありますが、基本的な特徴は攻守における特徴が1つづつ、合わせて2つのポイントに絞ることができます。

4‐3‐3を知るならまずその2つを知ることが大前提で、逆を言えばそれがわかっていればだいたいのことの基礎がわかるので、理解を深めていく道も見えてきます。今回はその2つのみを紹介します。


ポイントをまず書いてしまうと

・攻撃 3トップによる多彩な攻撃

・守備 4‐③‐3の中央の③の所の守備が課題

です

1つづつ次の見出しから紹介していきます。



攻撃 3トップによる多彩な攻撃


フロンターレの話をしているんだから、読んでる人はフロンターレの例で説明すれば伝わりやすい人が多いと思うので、徹底的にここからはフロンターレで説明します。


3トップと聞いて誰を何時を思い出しますか?


実はフロンターレが実際に4‐3‐3を本格採用したことはほとんど無く、前線に我那覇、ジュニーニョ、テセ、黒津、レナトなど豊富な人材がいた頃も、基本的には2トップでした。

それでも前に攻撃的な人材が揃っていたあの頃の攻撃力はリーグでも最高級でしたので、しっかり組み上げた3トップというのは「攻撃力に特徴がある」ということに直結します。


どう多彩になるのか?

というのは深堀が過ぎるので今回はノータッチでいきます。興味がある方はまた別の専門的な方の文章を読むか、私でいいならコメントなりツイッターなりで書いてくれとお声かけください。笑



守備 4‐③‐3の中央の③の所の守備が課題


攻撃の特徴があるという反面、11人でやるスポーツということから、どうしても「守備に割く人数を減らす」というのはトレードオフの話になる。というのがサッカーです。


細かい話をすると

攻めの時は3トップ、守備の時は1トップにして2人を守備に回す

というやり方で守備をしっかりとということも可能ですが、それは攻撃の鋭さ、特に速攻の所を削るということになるため、

どうやっても攻撃と守備は片方出せばもう片方が引っ込む話

になります。

今回は攻撃の特徴をいかすために守備の穴を受け入れる

という考え方を前提にお話しします。

ここのバランス感覚は、どうしてもフォーメーションに付きまとう話なので、ややこしいですがこれ以上噛み砕くことは私にはできません。申し訳ないです。


実は「3トップで攻撃力が増す」というのは当然の話であって、4‐3‐3の成功のカギはこの守備の方にこそあります。

だから、今年のフロンターレは「攻撃力を増すぞ!」と言っているからこそ、守備がしっかりできるかどうかにかかっている。ということです。

ここがわかれば基本のキは達成ですが、もう少しだけ深堀したことを次の見出しで書いていこうと思います。



4‐3‐3に守備の穴ができる その理由


4‐3‐3には守備の穴がある

これは疑いようにない事実なので、全員共通理解でいいと思います。では、なぜできてしまうのか?という所まで、興味のある方に向けてお話しします。


まずフォーメーションについて話す上で、特に今のフロンターレの4‐3‐3を語る上で知っておかないといけない形が3つあるので、その相互関係から映像付きでお話しします。

知っておくべき3つの形というのは「4‐4‐2・4‐2‐3‐1・4‐3‐3」の3つです

知っておくべき理由は

4‐4‐2 フォーメーションの基本。4‐2‐3‐1も4‐3‐3も4‐4‐2と比較するのが最もわかりやすい。加えて相手の想定の時も最もベターな選択肢だから。

4‐2‐3‐1 昨年までのフロンターレの基本形。4‐3‐3に変わることでここからどう変化するのかを知ると理解しやすい。

4‐3‐3 今回の本題

といった感じです。


基本的に相手の形は4‐4‐2を想定して話を進めていきます



まずは基本的な形を図で紹介


4‐4‐2

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基本中の基本となる4‐4‐2vs4‐4‐2がこちら

見るからに全体的なバランスがいいですね。お互いに同じ配列なので、アンバランスな場所が存在しないという意味でも、文字通りミラーゲームというやつです。


4‐2‐3‐1

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昨年までフロンターレが採用していた4‐2‐3‐1のパターンがこちら

2トップを中央で縦の関係にしたもので、中央突破やトップ下の憲剛からの多彩なパスで崩すのが狙いでしたが、4‐2‐3‐1は4‐4‐2のアレンジなので、守備時などには簡単に4‐4‐2に戻せるという特徴があります。

似てるけど違う親戚みたいなものだと思ってください。


4‐3‐3

画像3

これまで紹介した2つと比べて大きく違うなと初心者でもわかると思います。

その「直感的に感じた違い」がどういう変化を起こすのか

そこをもう少し紹介していきます。



違いを知るには「重ねること」


両方の陣地で正対していただけでも4‐3‐3の異質さは察していただけたと思いますが、実際に自陣で守備をしていることを想定した図にすると、もっと穴がよく見えてきます。

4-4-2vs4-3-3 自陣守備A

これは相手の4‐4‐2を自陣にスライドさせて、現実的なコンパクトさに微調整したものです。実際はもっと細かな調整が行われますが、今回はある程度の所で止めたものです。


4‐4‐2であれば全体がしっかりと噛み合いますが、こちらの3トップと相手のDFやボランチが歪です。特にサイドは2人対2人と同数であることはサイドの穴の一番の原因となります。


実戦を想定してもう少し動かすと


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実戦を想定して相手が中央の選手、いわゆるボランチの選手がボールを持ち、やや左(こちらから見て右)から攻めてこようとしている瞬間の図です。

ボールを持つ選手から出せそうなパスコースは4つ

今回はこちらの3トップにも下がって来てもらって守備を受け持ってもらっていますが、これ以上下がって来ては4‐3‐3で攻撃に特徴を出すのは難しいでしょう。

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白い円の部分は人も揃って守備できそうな形に見えますが、アンバランスさ故に黒い円の部分はスペースができてしまっています。

どちらもサイドで共通ですが

右はいわゆる「裏取り」というやつで、これを怖がってディフェンスラインを下げてしまうともっとゴールの近くで同じ形を作られることになります。

しかしサイドは2対2で本音を言えば前の選手は攻撃のためにそこまで下げたくない。となると、どうしてもサイドのどこかしらに穴は必ずできてしまうことになります。

左はいわゆる「サイドチェンジ」というやつで、噛み合わせが悪いことが原因で、中央はマンツーマンのマークに1人の余りがあって守りやすく見えますが、右の穴をケアしようとすればするほど左の穴は大きくなっていきます。

この図では同数のディフェンスが立ってはいますが、スピードのある選手やパスがいいボールだったりすれば一気にゴール前まで行ってしまうでしょう。



サイドバック前後の穴にフォーカス


結局のところどこの穴が一番危険なのかということを話すと、サイドバックの前後、先ほどの図でいう右の穴がそうなります。

そこだけフォーカスした図で最後の紹介としましょう。

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サイドバックの前後にある空間を相手が使うことで

引けば追いかけられず、押し込まれれば抜けたら即ピンチ

という形が簡単にできあがってしまいます

じゃあ周囲で協力して守ろうとすれば逆サイドが空く


といったことから、中央で持たれてサイドをうかがわれると、どうしてもきつい戦いを強いられることになります。

リバプールなどは、この中央で持たれることを避けるために、外に誘導して絡め取るというやり方をしていますが、そこはめちゃ難しい話なので今回はノータッチ。



とにかくそんな感じ笑


最終的にはかなり難しいところまで踏み込んでしまいましたが(やっぱり)、4‐3‐3ってのは、大体そんな感じです。

攻撃が強くなるけど、そののために少し守備では穴もあるから工夫が必要

ということがわかっているだけでも大きな進歩になると思います。

もしこれで「どうやったら上手くできるんだろう?」みたいなことに興味がわいてきたら、もう少し勉強するもよし。「ほーん、そんな感じね」と得点が増える事に期待するだけでも全然OK。

この文章から、フロンターレがやろうとしていることを少し考えてみることで、集中しようと思うポイントが出来たら幸いです。

お気持ちよろしくです。