見出し画像

フロント担当者の質

分譲マンションの管理会社に限った話ではありませんが、この「管理会社」ほど担当者によって対応に大きな違いの出る業種も珍しいです。

私も某管理会社に勤めたことがありますが、そこも結構酷かったです。
そこはゼネコン系なので、マンション管理もやってましたが、ビル管理がメインでした。
管理とは建物本体のハード的な部分と、運営に関するソフト的な部分があり、テナントからの設備に関するクレームなど、それら2つが絡む局面も多数あります。
よって、各所の橋渡しや日程調整が必要になるなど、営業的なスキルも求められます。
私の肌感覚で恐縮ですが、そのスキルが欠落しているフロント担当が多いなぁ、という印象でした。
当たり前ですが、仕事には相手があります。
その相手の立場に立った調整や提案が出来ず、結果クレームが大きくなることは日常茶飯事です。
酷いフロントだと、「事案の放置」「重要書類の不提出」「スケジュール無視」なども全く平気の平左で、目を疑いました。
だからといって、誰が教えてくれることもなく、自分から気付いて考えたり、工夫することもありません。
いわゆる皆「他人事」なのです。

一方で、人やスケジュールの調整が上手で営業的スキルの高いフロントもいます。
当然、クレーム処理もスムーズで、二次的なクレームはありません。
むしろ、それをチャンスに信頼を勝ち取り、後々発生する同クライアントからのクレーム処理はさらにスムーズに進むという好循環が出来上がります。
そんなフロント担当だと、オーナーもテナントも安心ですね。

さて、マンションも同じです。
オーナーが管理組合や理事会に、テナントが居住者に置き換わるだけです。
私も仕事柄マンション管理会社のフロント担当とやり取りする局面が多々ありますが、残念ながら「ずいぶん酷い対応だな」と思うことの方が多いです。
とにかく対応が遅いのです。
オートロックの故障や共有部分の雨漏りなど、緊急を要する事案でも「放置」されたことがありました。
何ヶ月もです。
信じられますか?
大手の管理会社です。
こちらから電話でせっついても「あっ、今やってます」と言うだけ。
少なくとも「どこまでやっているのか」「いつ対処してくれるのか」「進まないのは何が問題なのか」を教えてくれないと不安ですよね。
また、調べればすぐ分かるような質問に対しても、何日も回答が来ず、こちらから催促してやっと調べ始めた、ということもありました。
ここも大手管理会社です。

あと、管理会社から仕事を受ける建設業者やリフォーム業者からも、しばしばタメ息交じりに同じような愚痴を聞かされます。

「なんでこんなに質問に対する回答が遅いんだろうね。工事進まないよね・・・」と。

単純に疑問が湧くのですが、彼らは「仕事を放置する」ことに関して、どう感じでいるのでしょうか?
普通は気になってしょうがないと思うのですが。

さて、いろいろ考えてみて、以下の結論に達しました。
あくまで「私見」です。

どの業界もそうだと思いますが、「営業マン」が花形です。
彼らには会社を支えている自負があり、同時にそのプレッシャーとも戦っています。
そこで数字を出せない、もしくは出せなくなった営業マンは事務職へと配置転換されます。
それはある意味”左遷”で、会社内では「営業が出来ない=仕事が出来ない」という烙印を押されたことになるのです。
私の在籍したハウスメーカー系の不動産会社はその典型でした。
順番としては、
住宅営業(親会社)
 ↓
不動産売買営業(子会社転籍or出向)
 ↓
不動産賃貸営業(同上)
 ↓
賃貸管理事務(同上)
というエスカレーター方式です。下りの。
同様にゼネコン系の会社もそうでした。
建設営業からビル管理会社である子会社へ出向。

結果、負け犬根性が植え付けられはしまいか。
または、もともと仕事に対して前向きではないのか。
そして、そういう人間が集まった会社の「社風」はどうなるのか。
もちろん、プロパーも何人もいますが、染まってしまわないだろうか。

正直、フロント担当の仕事はたくさんの知識やスキルが求められる高度な仕事と思います。
人やスケジュールの調整も大変です。
世の管理会社の大半は大手不動産系、大手ゼネコン系、大手住宅メーカー系で占められています。
独立系もありますが、少数です。
その大手親会社の経営陣は、立派な建物を造りっぱなしではなく、各社CS(顧客満足度)を謳うのなら、その後の管理運営に関しても、もう少し目を配る必要があるのではないでしょうか。