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難聴の原因が希少疾患とわかって人工内耳になるまでの体験まとめ(8)

補聴器をつくるの巻12

前回は「補聴器をつくってよかったこと・うれしかったこと」についていくつか書いてみた。今回は「困ったこと・嫌だったこと」についてすこし書いてみる。

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◆こんなかんじに聞こえます

・「よかったこと」でも書いたが,環境音・物音は装着しない場合にくらべてよくひろえるようになった。自分の場合は,紙をめくる音,水道の音,PCのキーをたたく音,コンビニやスーパーのビニール袋をがさがさする音(世界で2番目くらいに嫌いな音),は明らかに大きいと感じる。音楽なんかもボリューム小さめですむ。

・で,これらが人の声にかぶさってしまうのか,声に限って聞き取りにくいという困った有様である。せっかく補聴器していても,会話が聞き取りにくい。これは補聴器やさんに報告をして調整してもらわなくては」いけないだろう。なのに,補聴器やさんで調整をする際は事前に電話予約をっていわれていて,電話が苦手なわたくしは二の足をふんでいる。難儀な事態である。

・もともと相手の声が大きい場合,補聴器を装着すると声が割れて聞こえます。この場合はつけずに対応する。たとえば,去年から英会話を習っているが,それほど部屋が大きくないので,もとから声が大きい先生だと,声が割れて何をしゃべっているのかよけいわからなくなる。こんな時ははずしてorスイッチ切ってレッスンを受けている。
で,"I am hard hearing"とか"and using hearing aids"とかなんとかいったり。

◆苦手なシチュエーション

・集会所で開催された某勉強会に参加したとき。遠慮をしてうっかり一番後ろに座ってしまったのは失敗だった。後ろで聞いていると,資料をめくる音とかコンビニ袋がさがさ音とか足音とか窓が開いていてブラインドが風でばたばたする音とかで講師の声がさえぎられてしまうのだった。室内が暑かったので窓をしめてくれとも言えず,がまんするしかなかったが。口の動きも見えるし,やっぱり一番前に座った方がよかったと思う。

・補聴器つけてのファミレスでの会話はお手上げでした。あと混んでる居酒屋も。近くの席の人の声や食器の音,空調の音,全体的なざわざわをよくひろっちゃう。肝心な同じ席の人の声がばやけて聞きとりにくい。補聴器しないで耳に両手をかざす,という古典的なやりかたがもっともよかったのだった。

・ホールでの落語会とか講演とかで,座席位置が遠くて話者の中央からはずれてしまうと聞き取りにくい。声がぼやけて聞こえる感じ。はずしたほうが明瞭度は高かった。それに,周囲の座席からの音(いすのぎしぎしする音とか,笑い声,コンビニ袋がさがさとか)をよくひろっちゃう。やっぱり前のほうで顔が見えていると口の動きも見えるから聞き取りやすい。

◆紛失騒動

・相手の声の大きさ,声質(高さとか),話し方(滑舌の良さとか)によっては,外した方が聞き取りやすいときがある。その時は一時的にはずして手に持っている。ある授業中,教室をまわって学生の対応しているうちに,いつのまにか補聴器をかたほうどこかに落としてしまい,ものすごく焦った。受講生が拾って届けてくれたのでまじでほっとした…。片耳だけで22.5万,全額自腹で購入したというのに,なくしたらシャレにならなすぎである。

◆補聴器をつけていても

・補聴器をつければ健康な人と同じように聞き取れるようになるものだ,と誤解されているのではないかと感じた事態が何度かあった。聞き返したら,補聴器つけてるのかっておこられたり。上記のように,健康な人とは同じような聞こえ方ではないことが,もっと一般的に広まればよいと思う。

・難聴で補聴器をつけていると伝えたからといって,理解されるとはかぎらない。
たとえば,相手のいったことをわたしが理解しなかったというとき。「補聴器つけている(ほど耳が悪い)」っていう顕現性の高い要因に帰属されやすかったり。実際には複数の要因があるはずなのに。聞き取れているけれども,内容が理解できないという時もあるし。聴覚レベルではなくて認知レベルでつまづいているというか。それなのに,「補聴器つけてるのか」とか「ちゃんと聞いてるのか」っておこられたりするのだった。

・また,「よく聞こえない」っていったら,どなってくるようないきおいのでっかい声で話してくる人がいたりする。そんなにどならなくても聞こえてます…と内心思いつつ,ずっとその人から怒られているような気分になってげんなりしつつも,向こうは配慮してくれているのだろうと思いながら話を聞いていたりするのだった。
こんな時,より大きい声で同じこと繰り返されるよりは,ゆっくり,はっきり話してもらうか,別の表現にいいかえてもらう方がわかりやすいのであった。なので,「よく聞こえません」ではなくて「よく聞き取れなかったので,ゆっくり言ってもらっていいですか」とお願いするようにしている。うまい頼み方を試行錯誤中。
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そんなこんなで,「よかったこと・うれしかったこと」にくらべて,ずいぶんたくさん書いてしまった。別に補聴器がうまく機能していないことや他人から理解されなかったことに対して,今嘆いたり憤りながら書いているつもりはなくて,これまでの事実を淡々と書いているつもりである。

それというのも,わたしが聴覚障害者であることを受け入れられるようになったからであろう。

つづく
2009年09月23日01:44

●当時の日記でのコメントへのレス

補聴器をつけることがきまったのがきっかけで、だんだん受け入れられるようになったのではないかと思います。
コメントをつける義務などもちろんありませんので、よろしければまた読みにいらしてください。

わたしも,走ったりとか,激しい動きをするときは,おとしてないか
耳を気にしてしまいます。
メールで予約&問い合わせできるのはいいですね。
つくってもらった店のサイトを見ても,telだけでアドレスがないんですよ。
補聴器つくってからもう5ヶ月たっているし,そろそろ思い切ってかけないと…。

(補聴器やさんの)名刺,初めてお会いしたときにいただきました。
今みてみたら,ウェブサイトにある代表の番号とおなじでした。
これまでに,走っておとしたとかは実際経験してないのですが,
イヤーモールドもそろそろ状態をみてもらわないとなと思っています。
これについては,わたしが心配症なせいもあるかもしれないです(笑


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