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舞い降りた音楽の化身「フレンチミュージカルロックオペラ モーツァルト」(星組)

クンツェ&リーヴァイの「モーツァルト!」、音楽座の「マドモアゼル モーツァルト」と、モーツァルトを素材にしたミュージカルを過去外部の舞台で観てきました。そして今回は宝塚で「モーツァルト」宝塚ではルイ14世を描いた「太陽王」やついこの間の「CASANOVA」も手掛けたドーヴ・アチアさんの作品でした。今回は残念ながらライブではなく、映画館でのライブビューイング。まぁ、座席の作りにかなり難ありという声も聞くので、映画館の方が絶対良く見えるだろうと踏んだというところ。

話題性のある作品に、星組新トップコンビ礼&舞空の話題性のある二人が、豊島区にできた新しい劇場(それも区長肝いりという)で上演することで、話題性3乗。

公式HPから作品紹介を引用すると、

2009年にパリで初演、翌年からのフランス国内ツアーやヨーロッパツアーで通算150万人を動員した『ロックオペラ モーツァルト』は、その後もアジアを始め世界各地で上演されている人気作品です。
音楽を愛し、恋と自由を追い求め、35歳で夭折した稀代の天才音楽家ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトのドラマティックな半生を、オリジナルミュージカルとして構成した新感覚の作品は、世界各地で旋風を巻き起こしてきました。
『太陽王』や『1789』、『アーサー王伝説』を手掛けたドーヴ・アチア氏によるフランス発の大ヒットミュージカルが、ついに宝塚歌劇の舞台に登場。新トップコンビ礼真琴と舞空瞳のお披露目公演としてお届けする、『ロックオペラ モーツァルト』にご期待ください。

とにかく歌いまくり踊りまくるヴォルフガング。息つく暇もなく動き回ってて、トップスピードで最後までマラソンしているような。旅を続け音楽を求めて彷徨ったヴォルフガングそのもので圧倒される。そして鑑賞後頭に浮かんだのがタイトルの言葉。小柄なこっちゃん(礼)にうまくはまってて、今回はプロデューサー大勝利だった。でも、ちょっと夏の炎天下全力投球でスライディングする高校野球のように、あのペースで2公演?と思うと今後心配でもある。もう少し、抜く部分もできると観ていて安心するかも。そして、ダーイシ(石田先生)のいつも無駄な、プラモデルのバリのような、ネジの外れたエロシーンがなかったのは、原作のおかげだと信じたい。とにかく「は?」って引っかかるところがなくてよかった。

今回、悪妻といわれるコンスタンツェの悪妻たる部分は全然出てこない。むしろヴォルフガングと一心同体というべきか。魂の共鳴すら感じさせる存在だった。一心同体ものは、全然色が違うけど「風と共に去りぬ」でもスカーレットの裏と表とかやっちゃう宝塚だから全然驚かない(違う)。1幕の最後、最愛の母を亡くたヴォルフガングの絶唱と、父を亡くしたコンスタンツェのダンスのシンクロ度がただただ迫力があった。観劇した人の感想で、この場面驚かない声があっただろうか。弾けるバネのようなダンス!それも裸足!もう身長差とか誰もあれこれ言わないから、こっちゃんとバトルしあって高め合ってほしい。

そしてこの作品、何が素晴らしいって娘役の出番が多いこと!中でも、これまで新人公演でヒロインを経験してた実力も可愛らしさも満点の小桜ほのか嬢がコンスタンツェの姉のアロイジア(ヴォルフガングの初恋の相手)で「同じ男を愛した」って歌っちゃうわけで、実にグイグイと坊っちゃん・ヴォルフガングを惹きつける。この間の全国ツアーで演じた盲目の少女役で一つジャンプした感じがしたけど、いい娘役さんだなぁ。そしてヴォルフガングの姉のナンネールの桜庭舞嬢が「え、こんなに歌えるの?」と正直驚いた。ビブラートが少ないのに前にドーンと飛んでくる声、魅力的だった。そして、はるこ!!!コンスタンツェのお母さんのセシリアを演じる音波みのり嬢。ついこの間までは上海の工事現場でキリッとした設計士を演じていたけど、ド迫力のずる賢い(といっても子どもへの思いが強すぎる)肝っ玉母さんを演じてて、フィナーレとのギャップがたまらなく萌えた。書ききれないが、一言言いたい。

「娘役をたくさん舞台に出してくれて、ありがとう!ダーイシ」

フィナーレの娘役の衣装がバリバリスリット入っているけど、その程度は許す(どの立ち位置?)

男役の中で、宝塚をそれほどみない同伴者も「どんとしていてかっこいい」と言っていたのはサリエリ(専科:凪七 /かちゃ)プロローグに出て、二幕に出てと、そのテンションの維持はいくばくか?と思ったけど、素晴らしい集中力。ヴォルフガングの才能を認めるがゆえに激しく嫉妬するが、最後にはヴォルフガングと自分のステージが違うことを受け入れる人間くさいところも良かった。フィナーレでのかちゃかっこよかった!そして、ヨーゼフ2世&その他を演じたこっちゃんの同期のひーろー(ひろ香)、いるだけでこっちゃんもきっと安心だろうなと思った。あと、レオポルド役の悠真倫さん。こんなに重厚なお芝居をする人になろうとは…花組時代の姿を観ているだけに感慨深い。

ドーブアチアさんの曲はなんとなくこれまで観た作品に出てくるものと曲調が似てるので(ついでにいうとアレンジも打ち込み多用のロックテイスト)フィナーレでモーツァルトの曲をアレンジした音楽にクラシックって汎用性高く感じ、新鮮だった。

ライブビューイングの日でもあったけど、収録日だったようで、テンション高めなのもわかったような。そうそうライブビューイングは日本だけでなく台湾や香港でも放映されているって、誰か教えて上げてたのかな?ともあれ、新しいトップコンビだから演じられた、若さが作る天才物語だった。

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