完全自殺マニュアル

同世代の、有名な方が死んだ。驚きとともに、本棚の奥に置いていた完全自殺マニュアルを再度手に取った。この本は、私が社会学を学んでいるときに、日本の自殺を考える際の文献として活用したものだ。

この本は、名前だけ見ると怪しからん・自殺のマニュアなんてと思う人はたくさんいると思う。しかしながら、この本はそのような表層的な話ではない。学校での道徳の授業や24時間テレビでの感動ポルノのようなものとは一線を画す、”いつでも死ねる"という、安心感を与えてくれる本だ。いつでも死ねるという安心感が、ぎりぎりを生きる人にとっての最後の砦になる。というものだ。

2000年代には年間3万人の自殺者がいたものの、最近は2万人台まで減少していたのですっかり自殺について気に掛けることがなくなっていた。

しかし、今回の自殺報道を受けて改めて調べ直したら、

日本における10~39歳の死因順位の1位は自殺となっており、国際的に
も、15~34歳の死因順位の1位が自殺となっているのはG7の中でも日本のみである。

自殺者が3万人を割ったことでよかったと思っていたが、そもそも自殺率はG7のトップである。ヤンキーがちょっとだけ、いいことをして褒めているというような場合ではない。

ただ、一方で「生きてればいいことある」「周りの人が悲しむ」などなど自死を考えて本気で悩んでいる人に対して1mmも役に立たない、寧ろさらに追い込む状況を変えないといけない。

完全自殺マニュアルを渡すことは、教育現場ではできないだろう(完全自殺マニュアルは、自殺を思いとどまらせる効果もあるが、背中を押してしまうこともあるので)

専門家ではないが、ぱっと思いつくのは、、
・「自殺未遂をされた方」が、実際に相談の窓口となる。
→経済的・人間関係などでパターン分けをしてはどうだろうか。

・学生の自死の場合は、別のコミュニティ紹介
→全く違う場所・エリアへの転校サポート制度や、オンラインでの投稿をする?世界は広いことを教えてあげるとか?

ダメな理由を指摘するのは簡単だけど、いざどうしたらいいのか?という代案を出すのは難しい。

自殺は、残された人に深い悲しみを、その後の処理等でも心理的・フィジカル的にも相当の負担をかける。
ただ、自殺は最終手段である。そのことに変わりはない。


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