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実業団チームの活動終了から考える


ラグビー部「コカ・コーラレッドスパークス」が活動終了!?

4月30日、GW入りショッキングなニュースが発表された。コカ・コーラ ボトラーズジャパン社(以下、コカコーラ社)ラグビー部「コカ・コーラレッドスパークス」が活動終了すると・・・。

私なりに思うところもあり、実業団(企業)チームについてまとめたいと思います。

日本のスポーツは、ここまで盛んになってきた一因として実業団(企業)の貢献は間違いなくあると思います。ただ、実業団(企業)チームのマイナス面に数十年前から気付いていたものの、厳しい現実があり手を付けれなかった側面もあるのではないでしょうか。特にマイナースポーツは資金面等も余裕がないこともあり・・・。

皆さんもご存知のとおり、ラグビーは2015年W杯での南アフリカからの劇的勝利、2019年にはW杯日本開催などを通じて関係者の尽力により、競技人口も増傾向、新リーグへの移行へと、順調にSTEPを踏んでいたのではないでしょうか。


そんな中での今回の発表。コカコーラ社発表資料を読み解き、❶企業の立場から、❷地域・選手の立場から、確認してみたいと思います。

❶企業の立場から

コカコーラ社発表資料から
「事業環境の急速な変化の中、当社は中長期的な事業環境の変化に備えて成長基盤の確立を進めており、改革の取り組みを前倒しで実行しています。飲料ビジネスの維持・成長を原則とし、特化するため、あらゆる取り組みの見直しを図っております。
 今般発表された新リーグへの参入に向け、体制を再度検討した結果、誠に残念ですが新リーグ参入を見送り、当社ラグビー部の活動を、本年末をもって終了することを決定いたしました。」

一般論として、企業は利益を継続的に出していくにあたって外部・内部環境を踏まえて経営戦略・方針を変更し、経営リソースを集中していくことは通常のこと。スポーツへの関わりについては、中長期的かつ社会貢献の視点、企業としての広報面を踏まえて検討することになると思います。

今回付加される条件として、新リーグへの参入があったと思います。参入要件には、運営体制整備、スタジアム確保、観客動員目標等があり、チーム保有企業にとって、立ち上げ時の数年に渡る軌道に乗せるまでの負担は大きいと推測します。

❷地域・選手の立場から

コカコーラ社ラグビー部は創部時から福岡を拠点とし、地元福岡で親しまれている人気チーム。新リーグ参入に向け、福岡を中心に地域との議論が進んでいたのでは・・・と思います。そんな中での活動終了(廃部)発表。一部の記事には突然の発表だったとの記載もあります。企業の経営に関わる情報なので事前から広く周知できないとすると、地域の皆さん(特にラグビーにファン)には非常にショッキングなニュースだったことが容易に想像できます。

コカコーラ社発表資料から
「当社ラグビー部員の今後については、適切なキャリアサポートを提供してまいります。また、地域社会や、ラグビー文化のさらなる発展に引き続き貢献してまいります。」

活動終了を機に、拠点が変わる(福岡を離れる)、もしかしたらラグビーとの距離感が変わる選手がいるかもしれません。適切なキャリアサポートで、選手に不利益がないことを祈ります。

地域社会に対しても、グラウンド等の環境、人材・チームが何らかの形態で継続して欲しいです。これまでコカコーラ社が九州・福岡でラグビー文化を培ってきた功績を残すためにも。

九州エリアでみると、宗像サニックスが活動を縮小する方向。九州電力も戦績としては厳しい状況だと思います。九州エリアのラグビー熱が冷めないように、地域全体として議論活発化の機会になればと思います。


今後に活かすために

倒産した国内企業の平均寿命は23.9年(2018年東京商工リサーチ調査)。長年事業継続できる企業もありますが、事業を継続するとしても経年で好不調があるのは当然のことだと思います。

一方、スポーツはルール等は変化するかもしれませんが、一人ひとりの生活の一部として存在し、地域の中で世代を越えて根付くものだと思います。

そう考えると、
【企業に依存するスポーツ】は健全ではないのかもしれません。【企業も社会・地域の一員としてのスポーツ】がこれから目指すべき姿だと考えます。(もちろん企業が、これまで日本のスポーツを牽引してきたこと、これからも重要なポジションであることは変わりありません。)

企業も社会・地域の一員としてのスポーツ(チーム)のあり方を、私なりに考えてみました。

・地域住民から「自分のまちのチーム」として”応援”してもらえる

・地域住民も、全ての世代・全てのレベルで競技に”参加”できる

・地域に縁のある複数の企業・店舗等から様々な形態で”支援”してもらえる

・所在自治体から「街ぐるみ」で支援してもらえる(※依存しすぎない)


在り方を実現する一つのモデルとして、興味深い取組みをされているクラブチームがあります。ラグビー「横河武蔵野アトラスターズ」です。

母体は横河電機で、2017年2月24日にラグビー部の運営を一般社団法人「横河武蔵野スポーツクラブ」に委託。実業団(企業)チームから新たな形態モデルとして、地域密着型の総合地域スポーツクラブ運営を進化されてます。

実業団(企業)チームの活動休止等のニュースは毎年聞かれます。これまでの営みから発展させ、企業も社会・地域の一員としてのスポーツができればと思います。


■謝意
横河武蔵野アトラスターズの取組み等については、
株式会社ターンアラウンド研究所 共同代表、(一社)横河武蔵野スポーツクラブ監事の小寺昇二様のWebプライベートセミナ内容を参考にさせて頂きました。
■お願い
地域スポーツのあり方など、いろいろ調べたりしてますが、何を隠そうラグビーに関しては2019年W杯からの”にわかファン”です。内容が違う!などありましたらご指摘ください。些細なことでも良いので、ご指摘・アドバイス等のコメントを頂けるとうれしいです。
連絡先 <mail: katsut.u2@gmail.com>

※写真は、コカ・コーラレッドスパークスではありません。


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