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クロチアゼパム日記⑭         自民党総裁選,僕の解釈 2024/10/1

 総理大臣は石破氏に決まった。総裁選は情報量が多くて色々面白いので、選挙戦は注意深く観ていた。ひょっとしたらひょっとするかもとの思いを強めていたのだが、結果は「それだけは無いだろう」というものになった。思うところを書き留めておきたい。
 そもそも今回の総裁選は、不人気な岸田総理では次の総選挙で戦えないから新しい看板に刷新することが主旨であった筈だ。石破総理総裁がそれに叶う人選だとはとても思えないから、最終的には本筋から離れ、高市政権の樹立だけは回避すべきという判断に過半が流れたと見るべきなのであろう。所謂「高市包囲網」「高市アレルギー」の元は、どの辺りにあるのか推測してみる。
 ①   経済・財政政策の忌避  ・・・ 高市氏の積極財政姿勢は突出しており、これが採られれば緊縮財政化を大きく阻害する。高市政権の成功は、財務省の持つ権力を弱める可能性が高い。
 ②   タカ派的政治姿勢への恐怖 ・・・ 彼女の国家観と権威主義国家への強い姿勢は、安保上の緊張感を高めるので怖い。台湾有事には関わりたくないし、中国に強く出ることはおっかない。スパイ防止法などが具体化するとわが身が危ない。公明党との関係を損なうと選挙に負ける。高市氏ではマスコミの攻撃が強まる。
 ③   エネルギー政策の反発  ・・・ 再エネ推進の見直しは利権を損なう。原発再稼働・リプレイスは国民受けが悪い。
 ④   対野党論戦への不安  ・・・ 野田氏と真っ向勝負になると国会が荒れる。結果、選挙に不利になる。
 繰り返しになるが、今回の結果は反高市(日朝議連、日中友好議連、緊縮財政派、反安倍路線など)の結集によるものであり、石破氏の理念や政策が支持された分けではない。政権運営の基盤は弱く、彼のやりたい政策(あるとすればだが)は実現できないだろう。石破氏は総裁選には勝ったが首相としての業績は残せない、つまり政治家としての負けが確定した。石破氏を推した議員は、投票理由(上記①~④のような)への批判に抗弁せねばならないし、総選挙での厳しい審判を覚悟する必要がある。そもそも、前回総選挙は岸田新首相の清新さや能力が期待されたから結果が良かった分けではない。総裁選における活発な議論とそれが選挙公約に反映されたことで政権政党としての実力が評価され、そして安倍元首相の存在感によって勝利がもたらされたのである。今回の新総裁選びは、その醜悪さから総選挙にはマイナスの力しか働かない。そして、この党人事と組閣名簿で自民が票を取れる筈はない。【終わりの始まり】

 もうひとつ書き留めたいことは、新聞テレビの明らかな高市つぶしである。生素材である会見や討論がネットに上がっているのであるから、不公正な情報とネガティブなコメントを繰り返したことは、ごまかしが効かない。番組は意図を持ってキャスティングし台本を書き、出演する解説者は意図に副った発言をもっともらしくする。いくら情報弱者であっても、この構造は透けて見えており、番組やコメンテーターの信頼性を一気に失ったに違いない。そもそも、「裏金」や政治不信はマスコミが恣意的に設定した視点であり、国民の関心(物価、所得、年金等)とはかけ離れていた。河野氏や進次郎氏と同様に、オールドメディアは決定的な醜態を晒した。新聞テレビの持つ影響力は加速度的に衰え、報道や言論の主戦場はネット配信に移っていくに違いない。【終わりの終わり】

 国民が必要としているのは、暮らしの安定(景気上昇と福祉)と国の危機管理能力である。残念ながら石破政権がその期待に応えられることは無いであろう。アベノミクスを否定する首相で景気が上向く筈はなく、胆力の欠ける最高指揮官の下では、自衛隊は為すべきことを為せないであろう。石破票を投じた議員とその議員を選んだ有権者のせいで、これから暫くの間、無為無策の政権を持つことになってしまった。国会議員の選出を誤った主権者もまた敗者と言える。
 それでは今回総裁選の勝者は誰か。それは、高市氏とその陣営、小林鷹氏とその同志、そして両候補に票を投じた一般党員である。高市氏は、自身の信条と政策を存分に示した上で、20万の党員票と72の議員票を獲得し、小林氏はその優秀さを国民に広く知らしめた。党員は自分の持つ一票の重みを確認できた。ひょっとしたら高市氏は総裁になれていたかもしれない。しかし、高市氏のゴールは総理になることではなく、彼女の理念に基づいて国家経営を担い、この国を強くすることである。冷静になれば、この状況下で首相になるよりも、包囲網が弱体化した後の方が、ゴールへの到達は早いのでは、と思えるのだ。この国の危機は切迫しているものの、再挑戦の機会もそんな先にはならないだろう。高市陣営はその時に備えて抜かりなく準備をするべきだ。まず、総選挙後の多数派獲得、つまり高市陣営及び高市シンパ、麻生派候補の選挙応援である。高市・小林鷹が相互陣営の応援に入るのも効果が大きいと思われる。分派活動という批判を受けるだろうが、どのみち「強制的親子別姓」と皇室典範で譲れない戦いをすることになるのだから、気にせずとも良い。自民党は大敗するであろうから、保守勢力の落選を最小限に止めることができれば、選挙後の数的優位を持てることになる。少数与党では予算成立に難渋するだろうし、中露の示威行為はエスカレート、日米対話も不調であろう。閣僚のスキャンダルは必至であるし、総連関係者が自民党に入党していることが露見するかもしれない。要するに早晩総辞職になる。その時に多数派を背景に総裁を奪えば良いのだ。そして、高市内閣としての各種法案を提示の上、衆参同日選挙に臨み単独過半数を狙うのである。当然公認には意志を込めるし、刺客も立てる。スパイや工作員は逮捕するより、衆参同日選挙で引退もしくは落選させる方がスマートだ。まず、高市氏は総裁選の恩返しという名分で、総選挙における自民党保守勢力の維持と糾合を図るのが重要であり実利的であると僕は思う。 【始まりの始まり】

 保守新党が議席を持つことも民族派が発言力を増すことも、我が国にとって良いことである。しかし、差し迫った国難に備えるためには、自民党の主導権を保守勢力が押さえることが、最も早く手堅いアプローチである。高市氏の理念・政策に同調する議員や党員が少なからず存在することが今回明らかになった。保守を志向する党員は離党すべきでないし、未入党者は今こそ入党する時期である。高市ビジョンに共感する有権者は、10月総選挙では、高市支持議員は当選するように応援し、反高市候補(日朝議連、日中友好議連、緊縮財政派、反安倍路線など)は落選するように動くべきである。石破政権と野田政権でやることに変わりはないので、立憲に票を投じても影響はしれているし、次の総選挙(衆参同日)で、ちゃんとした候補を引き上げれば自民党の新陳代謝が進む。
 地震や台湾有事はいつ起こるか分からないし、大陸からの難民襲来も予想されるので、3年は待てない。 ①この総選挙で、保守系議員は当選させ、反高市系議員を落選させることで、(少数与党になっても)高市支持派が党内多数となること、そして②石破内閣総辞職後の首班を高市氏が獲ること、③来夏の衆参同日選挙で勝利することが、保守復権・日本再興へ向かうための唯一のシナリオであると僕は考えている。

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