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クロチアゼパム日記⑤ 選挙と主権者 2024/7/28

 YouTubeウォッチャーである僕は、この前の都知事選を大いに楽しんだ。石丸市長のことは知っていたし、都知事選ならひょっとしてひょっとすると思っていた。が結果は、鼓腹撃壌と言えば大袈裟だけども、都民は現状維持を選択した。大きなイシューが無ければ、やはり組織票が浮動票に勝るということなのだろう。選挙と言えば、前回の自民党総裁選が良かった。演説、討論会、タウンホールと出し物が豊富で見どころも多かった。企画や仕切り方など自民党自体の底力も感じた。ま、自民党だから、組織票と派閥の連衡によってしか決まらないことは自明のことだったが、政治家としての熱意やビジョン、見識や能力をカタログのように見比べることは、実に楽しかった。今年もあのような盛り上がりを期待したい。
 なんて、のんきなことは言ってはいられない。都政を発火点とする政治改革は未遂に終わったが、この秋の総理大臣指名と次回総選挙の結果は、終わりの始まりか、始まりの始まりか、終わりの終わりか(良く分からなくなってきたが)、とにかく国家国民にとって大きな分岐点になるだろう。僕は保守系ではあるが、今のような自民・公明政権の継続を好ましいとは思っていない。安倍晋三首相を強く支持していたから、高市早苗さんが提唱するビジョンや政策が実現されることを望んでいるし、彼女の政治姿勢は立派だと思っている。しかし、今回の総裁選で勝てるか、首相になってやりたいことを実行できるか、については懐疑的であるし、それが日本の将来にとって良いシナリオであるとも思っていない。一旦、自民党は下野した上で、高市ビジョンを骨格とする自民党の解党的出直し、つまり保守再編を経た上で、次々回の総選挙に大勝利しないと、財務省や圧力団体、さらには諸外国と対峙できないと思うからである。自民党を欠いた連立政権では、それがどんな組み合わせであろうと相当な混乱を招くであろうが、国民の目を覚まさせることにはなるだろう。決断力と実行力を有さない政権がうにゃうにゃと続くことの方が、この国にとってマイナスである。誰が首相になっても、自公連立と自民党の今の議員構成では、決断も実行もできない。決めるべきこと決め、決めたことを実行しなくては、政権が運営されているとは言えない。状況に流されているだけでしょうが。
 今の統治ステム(三権と報道・言論)が、健全に機能していないのは明らかだ。このシステムでは、ますます深刻化する内憂外患に対応できるとは思えない。しかし、これは年月を掛けて作り上げられた強固なものであり、既得権益と一体化している。メガバンクの勘定系システムのようなもので、再構築は極めて難しい。また、このシステムを主権者である国民が容認してきたということもある。今の日本は、ゆでガエルのようにボーっとしたまま煮詰められてしまうのではと恐れるし、何かの一押しでパニックになってしまうのではとも恐れる。東西冷戦、高度経済成長の時代は、国民が政治に無関心であった方が全体としては好都合だったのかもしれないが、今はそうではない。主権者としての質が問われている。世の中には変わり者やへそ曲がりは一定数存在するし、国民は常に操作と誘導に晒されている、トリックスターも現れるだろう。しかし、いやだからこそ、有権者の半数以上が善良であり賢明でなくてはならない。社会がヒステリー状態になる前に、統治システムの健全化を志向し、目指すべき姿を共有しようとする人々が半数を超えなくてはならない。我が国の歴史では、ピンチになるとそれに立ち向かえる人物とその人を支える有為な人々が前線に出てくることになっている。そして、いつの時代も祖先はおおよそ善良であり賢かった。 

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