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葛尾劇「宝宝宝」 制作ノート vol.4



昨年6月から動き出した葛尾劇『宝宝宝(ホーホーホー)』。演劇作家/演出家の篠田千明(しのだ・ちはる)さん、およびふたば未来学園高校演劇部の皆さんを迎え、葛尾村のリサーチから一本の演劇作品を作り上げるというプロジェクトです。


これまでの経緯はぜひこちらの記事を御覧ください。


1月22日(土)はふたば未来学園高校内の多目的ホール「みらいシアター」での稽古。オミクロン株の感染が広がっているため、残念ながら急遽リモートで行うこととなりました。舞台奥にZoom画面を大きく映し、篠田さんの声は劇場のスピーカーから聞こえてくるという体制です。

「みんながLINEに送ってくれた動画を見ながらコメントしたいと思います」

生徒たちはこの日の稽古に先立ち、一人で演じるシーンをそれぞれ撮影してLINEグループに投稿していました。リモートでも普通に稽古すると思っていたのか、その映像を今から全員で観ると聞き、少しとまどった様子です。篠田さんは「なぜこの方法をとるのか」ということを丁寧に説明しました。

「やっぱりリモートだとシェアできないから、映像を観てやるほうが両方から距離があっていいと思うんだよね」


テクノロジーへの細やかな対応。非常に演劇的だと感じました。



その後、テキストを段落に分けて概要で捉え、何も見ずにそれを話してみるという稽古も行われました。2人組になり、まず一人が話し、相手はそれを初めて聞いたという設定で聞き、さらにそれを別の人に伝えます。


「概要をつかんだら、それをイメージして」


情報を一旦整理し、イメージして、それを自分の言葉で話す。さきほどの映像とは違い、これは第三者として観ていても素直に情報が入ってくる感覚がありました。



「わかりやすくなったね。情報が伝わってくる。情報の精度があった。言葉を使ってる人のイメージが、言葉によって伝わるってことだと思う。イメージがあったから伝わったんだね。イメージできてることは人にも伝わるんだよ」


何をどう伝えるのか。そもそも伝えるとはどのようなことなのか。一人一人が少しずつ思考を深めているようでした。



次週はグループに分かれてエチュード(即興劇)を重ね、生徒たち同士でシーンを紡いでいく期間です。

 (つづく)


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