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【ISOURO体験談②】宮崎志乃さん

 先日の記事では、夏休みなどを利用して葛尾村に長期滞在する「ISOURO」として檜浦大河(ひうらたいが)さんを紹介しました。今回の記事では、同時期にISOUROとして滞在していた宮崎志乃(みやざきしの)さん(志學館大学・長崎県)を紹介します。


葛尾村との関わり

 宮崎さんが葛尾村に初めて訪れたきっかけは、2020年春期の復興創生インターンシップです。復興創生インターンシップとは、東北3県(岩手・宮城・福島)の企業や団体の経営課題を大学生が解決する復興庁主催の実践型インターンシップです。宮崎さんは、このプログラムを通じて、葛尾村でヤギ牧場を経営する株式会社かつらおファームにインターンしていました。インターンシップでは、約1か月間の葛尾村での滞在の中で、観光牧場にて実施する体験コンテンツの造成を行いました。アイデアの考案のみならず、ヤギのお世話やウサギ小屋の製作など、実際に動物たちと触れ合いながら活動を行ったそうです。

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滞在の目的

 今夏、宮崎さんが葛尾村に滞在することになったきっかけは、インターン期間中に「また来たい!」と言ったことにあります。宮崎さんは、就活も控える中で、自分のやりたいことがはっきりしないことに対して悩んでいました。そこで、自分のやりたいことを仕事にしているように見えた当団体代表の下枝のもとにいれば、何か得られるものがあるのではないかと考え、再び葛尾村に来たいと思うようになったそうです。また、村のお母さんに惹かれたことも再訪したいと思った大きな理由でした。インターン終了後、民泊ZICCAの掃除を手伝う中で出会ったお母さんたちが原発事故について話しているのを聞いたときに、もちろんつらいことはあったのだろうけれど、それでも楽しそうにしている姿を見て、またここに来てこの人たちと一緒にいたいと思ったそうです。そのようなきっかけもあり、宮崎さんは約3か月半葛尾村に滞在しながら、当団体の飲食事業に携わることになりました。

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滞在中の思い出

 宮崎さんは、飲食事業の仕事としても、日々の生活の中でも、村の人たちとたくさん関わる機会がありました。飲食事業の仕事では、葛尾村の郷土料理についての聞き書きを作るために、村のお母さんのお宅を巡りました。また、仕事がない日でも、村の方のお宅に頻繁に遊びに行っていたそうです。たくさんの村の人たちと交流した3か月半でしたが、滞在し始めた頃は、村の方の優しさに驚きと戸惑いがあったようです。聞き書きを作る中で、村のお母さんをご自宅まで送り届けると、毎回お宅に上げていただき、お茶を出していただき、帰りには手土産まで持たせてくれました。ほとんど初対面の自分を上げてくれる気持ちの温かさに喜びと驚きを感じたそうです。また、不必要なことと自覚しながらも、こんなにもよくしてくれているのに、自分は何も与えられていないことに少しの罪悪感を抱いたそうです。このように村の人たちと生活をともにする中で、「地元ではないし関わりもそう多くはないけれども、こんなに思えるしこんなに思ってくれている関係がかけがえのないものになっていった」と宮崎さんは語っています。

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滞在を振り返って

 今夏の滞在は、宮崎さんの将来にも大きな影響を与えたようです。今回村を再訪したのは、就活を控える中で自分自身のやりたいことを明確化するためでした。しかし、滞在の中で直面したのは、自分自身ができることの少なさでした。「自分に任された飲食事業は今まで体験したことのない大変さがあり、できない自分に向き合うのがつらかった」と宮崎さんは語っています。滞在を終えてみて、できない自分から目を背けていたことを自覚したことは、これからの人生に大きく活きてくるだろうと前向きに振り返っていました。


一般社団法人 葛力創造舎

 葛力創造舎(かつりょくそうぞうしゃ)は、通常なら持続不可能と思われるような数百人単位の過疎の集落でも、人々が幸せに暮らしていける経済の仕組みを考え、そのための人材育成を支援する団体です。

余田 大輝

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