自分自身をひたむきに生きること。——回転しつづける思考と試行。うまくいくこと、いかないこと。 『老いは突然やってくる』 真山美幸
不自由さとは、老いることなのか?
抗いたいのは、この足の痛みなのか?
タイトルに共鳴してこの本を開いてみようと思った人は、おそらく「年齢」というものを意識する機会を度々感じている人かもしれない。だがそれはきっかけの一つに過ぎないことに、ある時ふと気づくだろう。
物語は70歳を過ぎた主人公の「岬」が、ある日突然左足のつけ根の痛みに襲われ、もがき苦しむ場面から始まる。
ところで老いることは、生きていれば必ず直面する事実である。それは体の痛みや体力の衰えだったり、見た