最近のあの子の可愛かったとこ 16こめ



「”憂鬱”の”鬱”って漢字、いつまで経っても覚えられないんだよね」

あの子が言った。サービスエリアでソフトクリームを食べながら。
僕は恐らく歴史上初めてソフトクリームを食べながら憂鬱の鬱のことを考えた人を見ている。
もしかしたら僕と一緒に居るこの時間が憂鬱だったもんだからそんなこと思ったんじゃないかと不安になった。

「本とかで出てくる度に空書きしちゃうんだよね」

空書きしてるあの子を想像してみたら、想像したあの子の姿というよりはあまりにも鮮明に想像できたということに笑ってしまった。

「書けたら凄いなーって思われるけど書けなかったとしても恥ずかしい人って思われることはないよね。”まぁそりゃ書けないか”ってならない?」

「んん、、まぁ確かに。英語喋れるのと同じか」

「あぁ〜…うんまぁそんな感じ」

「じゃあちょっと今書いてみて」

「いいよ。これ食べたらね!」

残りのソフトクリームを食べてる間に、僕は指で自由に落書きできるアプリをインストールし、メモで”鬱”と打ちそれをスクショしておいた。

「あぁ美味しかった。よし、じゃあやろ」

僕は画面を落書きできる状態のままスマホを差し出した。

「え〜っと、こう書いて、こうで、こうで、ここどっちだったかな…え〜っと……はい!」

画面を見た。


全っっっっっっっっっっっ然覚えてないじゃん笑



最近のあの子の可愛いかったとこ


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