漫才「ホテルバイキング」

A: はいどうもー、(コンビ名) です。
B: お願いします。
A: あのー本当に悩んでることがあって
B: 何?
A: ちょっと漫才にも支障出てるんやけど
B: そんな悩んでんの?
A: ホテルの朝食バイキングの取り方、いっつも失敗してまうねん
B: 何? そんな悩むことか?
A: 1回も成功できひんのよ
B: 何?成功って?
A: いや取り始める時はな、バランスのいい朝ごはんにしたいと思ってスタートすんねん。
B: ほう。
A: けどいざ取り始めたらな、ソーセージとか焼きそばとかで、真っ茶色になってまうねん。
B: まあ分からんでもないよ。
A: ほんでジャンルもな、今日こそは和食中心でいこうと思ってスタートすんのに、10歩歩いたら和洋中入り乱れてぐっちゃぐちゃねってまうねん。
B: まあ分かるよ。
A: でもうほんとそのたびに、「メニューもまともに選べない俺に、果たして生きる価値はあるのだろうか?」と思ってまうねん。(息継ぎなしで)
B: 大丈夫か?鬼気迫ってるで。
A: いやあのバイキングの取り方ってセンス出るやん。
B: 確かにな。
A: もう人生の縮図やと思ってんのよ。
B: そうかな?
A: だってバイキング下手な奴が、結婚できると思うか?
B: (少し間を置いて) 全然できるやろ、大げさやて
A: ほんで周りの目も気になんのよ。
B: 周りの目?
A: ホテルマンがよう俺のプレート見て、「あいついい歳して子供っぽい味覚してるなあ。生きてる価値ないやろ」みたいな目してくんねん。
B: 厳しすぎやろ。被害者意識強すぎやて。
A: いや本当毎回情けないのよ。
B: 大丈夫よ、お前いいとこいっぱいあるから、生きてる価値あるよ。
A: (満面の笑みで) ほんまに?
B: めちゃくちゃ嬉しそうやん。こんな響くとは思わんかった。
A: あとね、普段食べないものが並んでると条件反射で取っちゃうのよ。
B: ほう。
A: 代表格がコーンフレークですよ。
B: 目に入った瞬間に、コーンフレークが主張してくんのよ、「ワシ珍しいやろ?」って。
A: コーンフレークの一人称ワシなんや。
B: その誘惑に負けて取るんやけど、コーンフレークを取る頃にはもうご飯もパンも取ってるから、主食オールスターみたいになってんのよ。
A: ほう。
B: ほんでそれを見てホテルマンが、「お前もう出禁な」っていう目をしてんのよ。
A: そんなわけないやろ。ホテルマンを敵視し過ぎや。
B: あと量の問題もあんねん。
A: 今度は何や?
B: 旅行先やと、昼ごはんに地元の名産品食べることが多いやん
A: 確かに。
B: その予定があるにもかかわらず、にもかかわらずよ、
A: 何で繰り返すねん
B: 毎回食べ過ぎてまうねん
A: そんな落ち込むなよ
B: ほんと毎旅行先で反省すんねん、次は朝控えめにしようって
A: けどいざ行ったらどうよ、また食べ過ぎてまうねん
B: まあそうやろな
A: もうこんな俺に生きてる価値あんのかなあ
B: 大げさやって、お前にもいっぱいいいとこあるって。
A: (満面の笑みで) ほんまに?
B: だからそのリアクションやめろ。最初から俺のフォロー待ちみたいなとこない?
A: ちなみに、バイキングていう名前は、日本初の食べ放題レストランの店名が「バイキング」だったことに由来します。
B: 何で今言うてん。急にWikipediaみたいなるやん。
A: あーごめん言ってなかったか、俺子供の頃から、「歩くwikipedia」って呼ばれるのが夢やねん。
B: 一緒に夢かなえよな、やめさせてもらうわ。

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