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何故精霊たちを描くのか?

「何故精霊たちを描くのですか?」と、よく質問される。自分にとってこの数年間、描き続けてきたモチーフであり、テーマである。

そもそも精霊という存在は、非日常の存在であり、一般社会に於いては存在すらしないものとされている。いわば爪弾きにされているようなのだが、その存在感は半端なく巨きいのである。

彼等は、いったい何処を本拠地として活動しているのか? まずそんなところから考察し探っていくと、所謂日常性とは異なる、別格の存在場所があることを突き止めていた。其処は、彼等が活動する本拠地であるとともに、まさに別格であり、無比無双の棲息の地であった。彼等が棲む場所の条件を、あえて一言で表わすとするならば、それは「無為の自然界」である。無為自然界にはあまり人間が近づかず、日本の様々な精霊や妖怪たちにとっての憩いの場となっている。妖怪たちが精気を養い霊気を奮い起こすためのパワーは、やはり無為自然界でしか産むことができ得ない。それは必須であり特別な条件である。

あたかも浅薄で不毛の行為にうつつを抜かす人間たちを嘲笑うかのように、人間界からは距離をおいて、精霊たちは霊気を養い宿しつつ、活動の原資とするのである。

霊峰、聖地だとかの呼び名で示される特別な場所には、彼等が棲息するための磁場が存在している。無為自然界が遠ざかれば遠ざかるほど、私はその地を益々強く希求する。ただ追い求めるのではなく、その世界に棲む生き物たちの存在を描きたくなる。精霊たち、妖怪たちが日常から遠ざかれば遠ざかるほど、彼等を希求する気持ちは益々高まるのである。


「爽快な精霊の肖像」 キャンバスにアクリル他ミクスドメディア F10号
「憂鬱な精霊の肖像」 キャンバスにアクリル他ミクスドメディア F10号
「着飾った精霊の肖像」 キャンバスにアクリル他ミクスドメディア F10号


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