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幸せの研究者である私が読み解く「無意識がわかれば人生が変わる」

前野先生と由佐先生の本が届きました。前野先生のサイン入りで嬉しい限りです。「謹呈」と固く書いておきながら、「めらっち」とニックネームで書いてくるあたり良き塩梅でございます(笑)。


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由佐先生のメンタルモデルをわかり易く理解できる本
前野先生の新たな関心テーマを垣間見れる本

まずは「幸福学に飽きてきた!」という前野先生のまえがきから驚かされました。

正直いうと「どうすれば人が幸せになれるか」を追求するという意味での幸福学にはそろそろ飽きてきた(笑)。

初っ端から驚き交じりで読みはじめましたが、本書を読み進めるにつれて、前野先生の興味が「究極の人間の成長」に向かっていることを実感しました。

人間の成長に関しては、海外でさまざまな理論・思想が示されている一方で、残念ながら日本からの発信は多くはありません。そんな日本にあって、独自の理論を自ら鮮明に作り上げている由佐先生に、前野先生の興味が向かったのは当然のことと理解しました。

本書では、由佐先生の前著「ザ・メンタルモデル」の4つの分類について解説しながら、前野先生との対話を通して、このモデルについてより鮮明に、かつ分かり易く述べています。テーマとしては、メンタルモデルの観点から見た時の人間の成長(適合から統合へ)という点について最もフォーカスされています。


メンタルモデルとは、自分が自分自身とどういう関係性を持っているのか?自分に何がないのか?を考えることからはじまるモデルである。どうやら人間は、自分の内側にないものを補うために、外側につながりを求めているようだ。

この世界に何故ないのだろうという「痛み」からはじまったモデルであり、この痛みに対して、「克服」するか「逃避」するかという「適合」によって対応しようと人間はもがいている。しかし、この適合を目指すことは、本当の自分自身から目を背けることにもなるので、更なる痛みを伴う。この適合期を超えて、人間としての「統合」を目指すことが、人として幸せに生きるコツと説かれている。

メンタルモデルの4分類(米良の超訳)

「価値なしモデル」私には価値がない
上下関係ピラミッド(相対化)の世界観を持っていて、たゆまなく上を目指して向上していこうとするタイプである。言い換えれば、行動中毒である。思考に頼りすぎで身体感覚を無視しがちで、限界まで来ると体が悲鳴を上げることも珍しくない。自分軸ではなく、他人軸(自分の外側の世界の軸)で評価しがちという面がある。
「愛なしモデル」私は愛されない
愛情表現のミスマッチによって生まれてくると考えられるモデルである。感覚としては、思考というよりは、極めて五感に寄っている。つながってもらうために(愛されるために)は献身的な行動することが特徴である。言い換えれば、自分から関係性を切ることができない粘着質なタイプとも言える。
「ひとりぼっちモデル」自分はこの世界でひとりぼっちだ
根っこは大切な人と切り離された「分離の痛み」に対する怖さからなるモデルである。絶対的なつながりが切れてしまい、それに対して全く無力だったという絶望体験を持っている人が多いようだ。人間関係としては、割り切りで生きているタイプで、他人の目を気にしないのが特徴とも言える。
「欠陥欠損モデル」私には何かが足りない・欠けている
他人の良い所は見えるけど、自分については欠陥欠損している部分にばかり目が行きがちなのが特徴である。このモデルの人間の進化・統合過程としては、自分自身がありのままで生きて良い(欠陥欠損しているところも含めて愛せる)という感覚を持てるかどうかが重要となってくる。


メンタルモデルは一人ひとり違い、また誰でもこの4つの要素を持っている。この4つの分類では「ある/ない」のうち、「ないことの痛み」に着目して分類されているが、本書の中では、それだけでなく、各モデルにおける「ありたい姿」についても言及されている。人間の成長に伴って、ありたい姿に統合されることで、人間は自分らしく、幸せに生きることができると考えられている。


本書を読んだ感想:全ての出来事を信じることが重要

全ての出来事に対して、自分自身の進化のために(統合に向かって行くために)必要な出来事だと信じると共に、自分自身の内側を整えて行動していくことが大切であると感じている。

コロナショックで自分の外側の現実が大変な状態になり、もう限界にまで来ている感じがしている。そんな中で、自分の外側ではなく、自分の内側を見つめなおすことにより、問題解決していこうと考える人が確実に増えている(人間としての進化・統合期に対する興味を持つ人が圧倒的に増えてきているように私は感じている)。

言い換えれば、ようやく今になって、あるいは今の時代だからこそ「自分自身の人生を生きはじめる」という意思表示をする人が増えてきたように思っている。

このような生き方をするために、改めて感じるのが、頭で考える部分だけではなく、五感をもって感じる部分、の両面が重要であると感じました。スピリチュアリティ(私の中の理解では「全体性」)が重要ということを実感しました。

前野先生、由佐先生、素晴らしい本をありがとうございます。

これは必読ですね。

お幸せに!



前野 隆司 (マエノ タカシ)
慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科教授。
1962年生まれ。東京工業大学理工学研究科機械工学専攻修士課程修了後、キヤノン株式会社でカメラやロボットの研究職に従事したのち、慶應義塾大学教授に転ずる。ロボット工学に関連して、人工知能の問題を追いかける途上で、人間の意識に関する仮説「受動意識仮説」を見いだす。現在はヒューマンインターフェイス、ロボット、教育、地域社会、ビジネス、幸福な人生、平和な世界のデザインまで、さまざまなシステムデザイン・マネジメント研究を行なっている。著書に 『無意識の整え方―身体も心も運命もなぜかうまく動きだす30の習慣』『無意識と対話する方法』[保井俊之との共著]『古の武術に学ぶ無意識のちから』[甲野善紀との共著](以上ワニ・プラス)、『脳はなぜ「心」を作ったのか―「私」の謎を解く受動意識仮説』(筑摩書房)、『幸せのメカニズム 実践・幸福学入門』(講談社現代新書)などがある。

由佐 美加子 (ユサ ミカコ)
合同会社Co-Creation Creators(CCC)代表。「じぶん共創塾」発起人。
幼少期から海外4カ国3大陸で育ち、米国大学卒業後、帰国。野村総合研究所、リクルートで勤務した後、グローバル企業の人事部マネジャーを経て現職。年間250日以上ファシリテーターとして立つさまざまな場と、1000人を超える個人セッションから見出した、HMTと名付ける人間の内面構造の理解から現実を変える智慧を体系化する。オンラインや対面の公開講座、企業内研修やチームビルディング、エグゼクティブコーチングなど様々な機会を通じて、経営者、企業組織の管理職、子育て中のお母さんやこどもたちなど幅広い層を対象に、この智慧を日常的に実践し、内面から望む現実を創造する新しい人間の在り方を拡げている。天外伺朗との共著に『ザ・メンタルモデル』(内外出版社)、訳書に『U理論』(C・オットー・シャーマー著、英治出版)がある。


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