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【闘病日記】頭の中のモヤの正体

 頭の中にモヤがある。
 そんな感覚を持ったのは今から十数年以上前のことで、それからずっとそのモヤは消えない。

 わたしは精神疾患持ちで、おそらくだけど、普通の人とは違う脳みそを持っている。
 分裂症的な思考回路に陥ることもあるし、幻聴や幻覚もあった。

 昨日のこと、わたしは車のディーラーに出向いていた。
 新しく車を買うためだ。

 担当についたのは入社二年目という女性店員だった。

 ピンクのネイルが可愛く、カールしたつけまつ毛とウエーブした髪。
 大きめの目と愛嬌のある表情。
 一目見て「かわいいな」と思った。
 接客態度もとても良くて、好感を持った。

 車の試乗をすることができたが、わたしは自分で運転するのが恐かったのでベテランのスタッフに運転してもらい目的の車に乗せてもらった。
 男性店員だった。

 わたしは助手席で車についての会話をしながら「普通の生活」について考えていた。

 わたしは、精神障害者である。

 障害者の対義語は健常者で、ようするに、普通と普通じゃないの違いなのだ。

 そして、わたしは普通じゃない人生を歩む運命のようだった。

 わたしは、男性店員が運転する様を感じながら、「この人は普通の生活をしていて、わたしはそことは違う世界に生きているのだ」というようなことを思った。
 車窓からはありふれた町並みが見え、不思議な距離をわたしは感じていた。
 もしかしたら、この爽やかなベテラン男性店員さんはさっきわたしを担当してくれた可愛らしい女性店員と交際しているのかもしれないなと思った。
 ふたりがデートしている様を思い浮かべた。

 ホテルのバーかなんかで一緒に飲んでいて、仕事の悩みを打ち明ける。
 入社二年目の女性店員は慣れない仕事の悩みを打ち明け、先輩である男性店員が話を聞く。
 心を許した女性店員はその夜先輩に抱かれる。

 わたしはピンクのネイルと大きめのつけまつ毛とウェーブしたヘアスタイルの愛嬌のある女性店員が脱がされる様子を想像した。
 黒色のスーツとグレーのシャツを着ていた。ブラウスというのかもしれない。
 その服を脱がされ、裸になり、溶けていく理性に反応するように濡れていく性器を思い浮かべた。
 そこまで想像して、「あ、おれ、ゲスだな」と思ってやめた。

 普通の人は、車のディーラーで新車を買うかどうか接客されているあいだいに担当の女の子が先輩と夜の関係になっている様を想像なんかしない。

 わたしは、自分がまるで「性の悦びおじさん」になってしまったような気がした。※性の悦びおじさんには悪いが、そう思った。

 わたしの頭の中にはモヤがある。

 ずっと消えないモヤがある。

 その正体は、いまだにわからない。

 ただ単に、病気が原因でモヤがかかっているのかもしれないし、情報化社会の流れに乗れていないのかもしれない。

 押し寄せる情報という波を処理しきれず、浜辺で弾けている細かい波の泡のように、わたしの脳内はずっとあわあわしているのかもしれない。

 わたしと同じように、頭の中にモヤがある人は、ぜひ教えてほしい。

 お気軽にコメントください。

 そんな雑文でした。

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