ここまでの意図2

この文章は、東京芸術大学のアート×福祉DOORプロジェクトの中の授業の一環でボク個人が作成した作品の一部です。これ単体ではよく分からないと思いますが、下記は事前に別のものがあり、そこから繋がっています。
このnoteだけ読んだ方にはなんのこっちゃか混乱させてしまうかと思います。申し訳ありません。


お疲れさまでした。 ちなみに指令に従って、素直に料理を作ろうと思えましたでしょうか?
少なくとも僕は全く思えませんでした。面と向かってこんなことを言われたらバカにされたと、いいかげんにしろと思うでしょう。

でも児童養護施設のスタッフは作るんです。 何度捨てられても、作り続けます。 食べてくれるまでずっと続けます。 どうして捨てるのかを丁寧に聞いて、同意して、そして作ります。

ある事例は、その施設に暮らす子供は住んでいる家の食器や、家具、窓ガラスなど、目につくすべてを何度も壊しにかかります。その度に、スタッフは一緒に片付けて、子供と向き合います。

ある子供は、何度も警察沙汰の事件を犯します。その度にスタッフは警察に出向き、一緒に頭を下げて、一緒に家に帰ります。

これが虐待を受けた子供のケアです。

虐待を受けて施設にくる子供は、これまで抑 えてきた感情が爆発して暴れる時期が来ます。 これはケアの過程で非常に重要だそうです。これまで溜め込んだ辛いものをすべて出し切るのだと思います。出し切ってやっとその子供は回復できるのです。ただ、 その暴れる時期がいつ終わるかは未知数です。
1 年 後 か 、 2 年 後 か 、 10 年 後 か 。 終 わ る こ と は約束されていません。 その間、何度も周りの物を壊すでしょうし、他人を傷つけるでしょうし、その子その子の暴れ方を繰り返します。

 
そのたびに一緒に片づけて、一緒に謝って、 一緒に反省して、を繰り返すのです。 気の遠くなる果てしない旅のようです。
怒らず、投げ出さず、諦めない。その子がき っと回復すると信じて寄り添い続ける。

そんなケアの途中で子供より先に根気負けして、寄り添うことが出来ない怒り方をしてしまうと、逆戻り。子供は自らを守りために、また自分の殻にこもります。

ですから、絶対に根気負けしない。
その強さが支援者には求められます。

想像を絶する取り組みです。
マラソンはゴールが分かるから辛くても走れると思います。でもこれはゴールが分からないマラソンです。ゴールがきっとあると信じて走り続ける。

凄い。

プロのなせる技だと感じました。

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