2024年度新歓公演振り返りブログ⑧ 医者役 宮野雄太より

こんにちは!活劇工房新歓担当です📣

本日も2024年度新歓公演『聴診器』に出演した役者より、公演の振り返りブログをお届けいたします。
活劇の役者はどんな人なのか、どのような想いで新歓公演に臨んだのかがわかる内容となっております。
もう活劇に入った方もまだ迷っている方も(もちろん活劇の先輩も!)楽しめるのでぜひご一読ください🎵

第八回目の今日は、医者役の宮野雄太さんに書いて頂きました!


※この文章は新歓公演『聴診器』のネタバレ含みません。せっかくなら、映像配信観る前に読んでいただきたいです。もちろん、観た後でも!!!

『聴診器』で医者 宮本栄一を演じました、宮野雄太です。
『聴診器』の主題は憧れでした。私は憧れに対しての思い入れが強いのでこれについて書いてみようと思います。

私は3月に出演した舞台で、ゴロリという少年を演じました。普段は、おどけてばかりの青年なのですがストーリの終盤には人を殺していた事実がわかります。殺した理由は、彼女だと思っていた女が別の男に乗り換えていたから。結局、女もその男も殺してしまいました。
私は恋愛感情からくる殺意が理解できませんでした。せっかくゴロリを演じるのであれば舞台上で彼が持つ愛情とやらを持ちながら演じたいのですが、、、あいにく自分には持ち合わせていなかったモノなので困りました。"殺してしまうほど、あの子のことが好き" ”自分以外を選ぶのであれば死んでほしい”というゴロリのデカい感情を想像できないし、どう表現したらいいかわからない………
とにかく、他人を愛する気持ちを持とう!と日常的に恋愛ドラマを見ました。稽古に向かう電車内でも自分のお気に入りのシーンを何度も見返して感情を動かし、ニヤニヤしたものです。(余談ですが、Netflixの『first love』を観ていました。この主人公が、まあ一途にヒロインを想い続けるんですよ。そして私もあとに続け!とばかりにこのヒロインを想い続ける練習をしました。スマホから恋愛感情を補給しようと試みることは不本意でしたし、今でも残念に思っています。リハビリみたいですよね。)
ですが思うようにはいきませんでした。

しかしある時ふと、こんな私でも愛を持っていることに気づきます。

その愛が憧れでした。
憧れなんて持たない方が楽だと思うんですよ。自分のやりたいことは”その人みたいになること”となってしまうし。勝手に劣等感を感じてしまうし。持っていてろくな事ないよなーと思います。なのに、やめられないんですよね…。

もうそれって愛じゃん!!!
って事です…。

別にこれは綺麗なものではないです。嫉妬や妬みやもどかしさや承認欲求、加えて「もっとゴロリを良く演じたい」という感情も含んでいます。頭ではそんなこと考えてもしょうがないとはわかっているのにやめられない、理性では抑えきれない強い感情。ゴロリが持っていた感情に一番近いものが私の憧れだという結論に至ったのです。本番では好きな人に裏切られたのではなく憧れの人に裏切られたと置き換えて演じました。

さあ、『聴診器』の話題に戻ります。
私の中で、憧れは愛だという解釈に至った経緯を説明しましたが、そう考えるとこの劇はいろいろなかたちの愛が含まれた劇だと思いませんか…?
これはお恥ずかしいエゴなのですが宮本栄一がいろんなキャラクターから愛のベクトルを向けてもらえたことが嬉しかったです。
(ゴロリは愛のベクトルを向けてもらえなかったですから、受け止める演技ができることはとても幸せでした。)
もちろん、宮本栄一も愛を持ち合わせています。家族にも街の人にも。ただ、そのベクトルを示しやすい人もいれば、示しにくい人もいます。
そんな彼が持つ人柄は単に先天的なものだけではなく、後天的なものも持ち合わせていることをお伝えしたいです。この劇には彼が持つ愛や信念、今の人格に至った背景も描かれています。患者さんに見せる顔、家族のそれぞれに見せる顔、軍人に見せる顔、一つ一つに理由があります。
当たり前ですが、彼は人間です。話す相手によって態度も話し方も変わる、動揺もする。思い入れの大きさも異なる。この人にはこう見られたいなどという頑固さも持ち合わせていることでしょう。
そんな彼が戦時中を生き抜く姿を、ぜひご覧いただきたいです。また、私の言葉を信じて彼の言動の一つ一つに注目していただきたいです。
そして宮本栄一だけに限らず、複数の愛のかたちを見つけてほしいです。
『聴診器』を観た方も、観てない方もぜひ映像でご覧になってください。

最後まで読んでいただきありがとうございました。
19年しか生きてないやつの見解なので、かなり未熟だと思います。全て個人的な考えなので、皆さんの感性で作品を楽しんでもらえたら嬉しいです!!!


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