間違うことは悪いことなのか?

数年前のこと。縁戚関係にあるお宅にお邪魔した時、そこの娘さんがピアノをやっているというので弾いてくれることになった。楽しく聴いていると子供が間違える度に「チッ」と舌打ちをするお母さん。予想もしなかった出来事にショックを受け音楽に集中できずにいた。

自分が幼い頃こんなことをされたら「ピアノをやめたくなっただろう」「弾くのを途中で止めていたかも知れない」など色々な思いが頭の中を駆け巡る。それでも健気に弾き終えてくれたのでホッと胸をなで下ろした。

しかしこのお母さんだけを責めるわけにはいかない。彼女が小さい頃同じようなことをピアノの先生やお母さんからされでもしなければ、間違ったことに対してこんな行動を取らないだろう。若しくはピアノを弾く自分を前にして娘が間違えることが恥ずかしくなってしまったのかも知れないので同情の余地はある。

###

間違わない方が良いに決まっている。しかし間違ったことは本人が一番分かっているだろう。それを敢えて伝えることにどれ程の意味があるのだろうかと、教える側として同じようなことをやっていないか問われたように感じた。

間違いを直さず放っておくのは問題だが、一番重要なのは「なぜ間違ったのか」ということ。間違いが偶発的なものなのか、指遣いに問題があったのか、手の準備がされていなかったのか、そもそも音符が頭に入ってなかったのか等、原因を考える必要がある。

特に若い頃は間違えることを恐れて音楽が小さくなるよりも、間違えてもいいから音楽に喜びを見出すことの方が大切だろう。そもそも間違わなければどこに問題があるのかも分からないし、間違うから修正が可能になるわけで、間違いを悪いことと捉える方が問題だ。

###

全力で間違えることは良いことだ。間違いを受け入れて次に進もう! ミスを恐れるな。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?