2022年の振り返り:FUELHASH創業2期目

はじめに

昨年末に2021年の振り返りを書いてから、もう1年が経過したんだという驚きを感じながらこちらのnoteを書いています。
2022年はまさに『激動』『冬の時代』でした。
せっかくの機会ですので、マーケットの振り返りや、FUELHASHがこの1年どういう意図でどういうことをやってきたのかを、ステークホルダーの皆様にご説明させていただければと思います。
非常に長文になってしまい大変恐縮ですが、お読みいただければ嬉しく存じます。

2022年の仮想通貨マーケット

こちらは、2022年の年初来のビットコイン価格推移のチャートです。
1月には530万円台からスタートしましたが、2022年にはいろいろな事件が起こり、2022年12月27日現在で220万円台、年初からは約60%の下落となっています。
この下落には、大きく3つのイベントが関与していますので、それぞれ見ていきたいと思います。

①Terraショック

5月に起きたTerraショック。価格変動リスクが低いとされていた、ステーブルコインの『UST』のドルペッグが外れてしまい、取り付け騒ぎが大きくなって売りが加速していきました。USTがこれだけインパクトあるほど大きくなっていた背景は、USTの裏付け資産の『LUNA』とUSTがDeFiで運用される時の高い利回りにありました。 USTとLUNAの関係性については、Coinpostさんの記事に詳しく書かれています。

②3AC / セルシウス 連鎖破綻

5月に起きたTerraショックの余波を受け、クリプトヘッジファンドのThree Arrows Capital(3AC)や、レンディング大手のセルシウスが次々と連鎖破綻していきました。セルシウスにいたっては、2019年から既に破産状態だったということが当局の調査でわかりました。高利回りを無理やり維持して顧客からの借入を増やし、独自トークン「CEL」の買い支えに使うなど、自転車操業で回していたようです。それが、Terraショックにより、DeFiで運用していたポジションが大きく逆回転してしまい、それが最後の引き金となったのだと思います。

③FTX経営破綻

2022年の最後に起きたのが、『FTX経営破綻』です。仮想通貨の歴史上過去最大の経営破綻で、大口債権者トップ50で31億ドル(4400億円)の債務があり、累計債権者は100万人超、負債総額は100億〜500億ドルと言われています。。。

仮想通貨市場に激震が走った『FTX経営破綻』の動向をまとめて振り返っていきましょう。

アラメダリサーチ社(FTX姉妹会社)の債務超過リスクの顕在化
⇨FTX株主でもあるBinanceがFTT(FTX社発行の取引所トークン)の売却を発表
⇨FTTが大量に売られ、価格暴落によりアラメダリサーチ社の破綻リスクが現実味を帯びる
⇨FTXへの取り付け騒ぎが大きくなり、FTXから大量の顧客資産が流出
⇨顧客資産をアラメダリサーチ社の債務返済に割り当てていたために、FTX自身で顧客資産の出金が間に合わなくなる
⇨Chapter 11 申請

Coinpostの記事にも非常に詳しく記載されていますのでURLを貼り付けておきます。

FTX経営破綻の余波はまだまだ終わっていません。
FTXは世界No.2の仮想通貨取引所でしたので、実に多くの機関投資家・レンディング事業者がFTXでトレーディングをおこなっていました。なので、FTXが経営破綻して口座が凍結されてしまった結果、資金を完全に動かせなくなってしまい、複数のレンディング事業者が連鎖破綻に追い込まれていっています。

2022年のFUELHASH(フエルハッシュ)の振り返り

ここまでは2022年の仮想通貨マーケット全般を振り返りましたが、これからは当社の2022年を振り返っていきたいと思います。
2021年はマイニングマシン販売+運用でしっかりと売上・利益が出た1年でした。ただ、マシン販売だけではビジネスがスケールしないことがわかっていました。
なので、2022年はマシン販売に重きをおかず、プラットフォームを開発してユーザーをたくさん集めるサービスへのシフトにフォーカスしてきました。

ハッシュレンタル事業:『FUELMINING(フエルマイニング)』

マイニングは「デジタル資産の社会インフラ」という重要な役割を担っています。
しかしながら、マイニングには解決すべき社会課題が複数存在しています。

上記のような社会課題を背景に、リテール投資家や中小企業などがマイニング事業に参入するハードルは非常に上がっています。
特に日本は電気代が海外に比べると非常に高いことから、マイニングビジネスが栄えていません。しかしながら、今後デジタル資産社会に移行する世界線になるのは明白ですし、その中でデジタル資産の基軸通貨であるビットコインを普及させていくことが何よりも重要と考えています。
そのためには、ビットコインをたくさんのユーザーに保有してもらうサービスが必要で、「マイニング」はまさにうってつけのサービスなのです。ただ、マシン販売だと販売ロットが数百万〜数千万円くらいになるのが普通なので、ごく一部の富裕層しか投資できないサービスになってしまっていました。これだと、マイニングが一般に普及していかないので、マシン販売ではなく、マシンが生み出す計算力(=ハッシュレート)をレンタル購入できるプラットフォーム『FUELMINING(フエルマイニング)』の開発に着手しました。

プラットフォーム開発は順調に進み、2022年6月にスタートいたしました。

初回ロット分は、販売開始から4日間で完売御礼となりました。

5月にTerraショックが起きて価格は下がっていたのですが、3ACやセルシウスなどの連鎖破綻前のタイミングにリリースしましたので、その時点では高い利回りが狙えるプランを出せるのであれば、マーケットの投資意欲が高いことがわかりました。
しかしながら、現状としては、初回ロット販売時点よりもハッシュレートが高くなっていったのに対し、ビットコイン価格が大幅に下落してしまいました。つまり、マイニングにおいては最悪な逆鞘の状況になっています。そのため、プラン販売した時の想定収益性からは大きく崩れてしまっています。

こうした状況に加え、電気代の高騰も相まって、マイニングファーム事業者の中でマイニングの採算が合わない事業者がどんどん増えていきました。直近では、大手マイニングファーム事業者のコア・サイエンティフィック社も倒産しています。その中で、当社のマイニングファームはマイニングの採算が合わないことはなく、収益は出ている状況にはありました。

将来の価格上昇を見込めば別の話にはなるのですが、現時点のビットコイン価格では投資額がマイニング報酬を下回っている状況です。
今回満期を迎えたお客さまは、当社が最初に出したプロダクトの最初のお客さまになりますので、今後、マイニングやレンディングを当社でご利用いただく時に使えるクーポンをお渡しする予定です。詳細は別途公式アカウントからメールとTwitterでアナウンスさせていただきます。

ゲームギルド事業:『FUELGUILD(フエルギルド)』

9月には、ブロックチェーン・ゲーム(BCG)のギルド事業へ参入し、『FUELGUILD(フエルギルド)』を立ち上げました。現在のところ、当社はBCGプラットフォーム『PlayMining(プレイマイニング)』 を提供しているDigital Entertainment Asset社のBCGのみを対象に、PlayMining専用のゲーミングギルドを運営しています。ギルドはまだ始まったばかりなのですが、約3ヶ月ほどで2000名弱のスカラー(ゲームプレイヤー)に参加していただいています。

<PlayMining>

FUELGUILDのDiscordコミュニティ

Game-FiがNFTを活用した資産運用手法になりうる」と考え、今回ギルド事業に参入しています。Game-Fiはゲームを遊ぶことゲーム報酬を獲得できる「Play to Earn」の仕組みが組み込まれていますが、NFTを活用することで普通にゲームをプレイするよりも多くのゲーム報酬(仮想通貨)を獲得することが可能です。
FUELGUILDのビジネスモデルは以下の通りです。
①投資家に対してNFTを販売
②投資家が購入したNFTを当社が運用受託
③当社⇨スカラーへNFTを貸付
④スカラーがゲームをプレイしゲーム報酬を獲得
⑤獲得したゲーム報酬を投資家 / スカラー / 当社でレベニューシェア
FUELGUILDとしては、より多くのNFTを運用して、より多くのゲームレベルの高いスカラーの方々にギルドに入ってもらうことが何よりも重要なので、NFT投資家の開拓と質の高いスカラーを増やして、FUELGUILDのコミュニティ拡大をしていきます。

レンディング事業:『クリプトレンディング』『クリプトレンド』

2022年は「クリプトの冬」の時代です。2021年のバブル期に仮想通貨を購入した人が価格下落局面で売るに売れずに保有している仮想通貨を塩漬けしている人が多いはずです。
ここで長期でみたときのビットコイン価格を見ていきたいと思います。
こちらは有名なレインボーチャートです。現在の価格は青色の位置にいます。つまり、価格はほぼ大底のタイミングとみられています。

ビットコインの価格を見ていくなかで一番重要なメカニズムが、『半減期』です。
半減期はビットコインの通貨発行量をコントロールする仕組みで、文字通り、半減期を迎えると1ブロックあたりのマイニング報酬が半減します。およそ4年に一度のタイミングで半減期が到来します。

半減期が定期的に到来するので、ビットコイン価格は4年周期で動いていきます。
これまでのビットコインの値動きを考慮すると、半減期を迎えてから半年〜1年程度でATH(All Time High)となる価格をつけていきます。そして、その翌年にはバブル崩壊期を迎えます。実は、これは歴史が証明しています。2014年のMt. GOX事件、2018年のコインチェック事件、2022年のFTX事件、と4年周期で大きな事件が起きて市場が崩壊しています。

他の指標で見ても今のビットコイン価格は大底にあると見られています。
つまり、これからのビットコイン価格は次の半減期(2024年3月頃)に向けて上がっていくのみなのではないでしょうか!?(個人的には強くそう思っています。)

価格の大底が見えているので、今後は仮想通貨を買い増したり、すでに持っている仮想通貨を継続してガチホし続けるユーザーが増えていくはずです。
こうした状況下では、安定した資産運用ができる『レンディング』が求められると思い、11月に『クリプトレンディング(CRYPTOLENDING)』をローンチしました!

レンディング事業において重要なのは、1)健全な体制構築、2)運用の安全性、3)提供金利の高さ、だと考えています。重要度もこの順番ですが、何よりも大事なのは1)健全な体制構築と2)運用の安全性、です。ここがおざなりになっていると終わってしまいます。

1)健全な体制構築

FTX事件を受けて、CeFi(Centralized Finance)に対するマーケットからの信頼は失墜しています。それはそうですね。ガバナンスやコンプライアンスが緩々なCeFiには誰もお金を預けたくないですよね。
当社はFTX事件が起きる前から、レンディング事業は顧客資産をお借りするサービスなので規制遵守が重要と考えていました。しかしながら、現状、日本には仮想通貨レンディングに関する規制はないので、運用主体を当社ではなく海外で金融ライセンスを保有している企業に任せる形でのレギュレーション対応をしていくことにしました。当社の運用は、シンガポールでシンガポール金融当局(Monetary Authority of Singapore)からCapital Market Service ライセンスを受けている企業が担っています。
当然、自社の収益性を高めるために、DeFiなどでの運用も視野に入れましたが、1)どれだけ頑張っても『利益追求 > 安全性に陥る』ジレンマ、2)セキュリティ面の不安、3)信頼できるDeFiプロトコルが少ない、といった理由から、やめました。特に、レギュレーションに適した体制を構築しているからといっても、金融ライセンスを持っていないとどれだけ頑張ってもおざなりになります。だからこそ、レベルの高い国で金融ライセンスを保有している企業に資産運用を任せるという意思決定をしました。今となっては、この意思決定が正しかったと感じています。

2)運用の安全性

次に重要なのが、『運用の安全性』です。
6月以降にレンディング事業者がバタバタと経営破綻した背景としては、高収益を追求しすぎた結果、高リスクの運用に失敗して損失が拡大したことが挙げられます。特に、DeFiでの運用は市場が悪いタイミングでは逆ザヤに行きがちです。当社は他のレンディング事業者とは異なる安全な運用ポリシーを整備しています。
当社が提供する『クリプトレンディング』でお客さまからお預けいただいた資産は、主に『担保ローン』と『自己勘定取引』の運用資金に充当されます。
『担保ローン』とは、BTCなどの仮想通貨を担保にとって、USDTやUSDCといったステーブルコインを貸し出して金利収入を稼ぐ運用手法です。

『担保ローン』では、実際に貸し出すステーブルコインよりも多くの仮想通貨を担保にとるので、借り手が倒産しても問題はありません。担保にとっているステーブルコインを売却すれば元本の毀損リスクもほぼありません。
『自己勘定取引』では、デルタニュートラル戦略に限定していることから、自己勘定取引の中では低リスクでのトレーディング戦略となっています。ここも、お客さまの資産をお預かりしているというビジネスから、低リスクでの運用方針を貫いていることの表れになっているかなと思います。

具体的にみていくと、2000万円分のBTCを担保にとって1000万円分のUSDTを貸し出す、といった運用をしています。(借り手の信用力や実績などに応じて担保率は変化します。)ここで重要なのが、我々の運用の8−9割を安全な『担保ローン』が占めていて、担保にとっている資産が仮想通貨の中でも安定的なBTCやETHである、ということです。BTCやETHは時価総額がトップ1位と2位の仮想通貨で、流動性も豊富です。そのため、価格が下落しても50%下落するまでは余裕がありますし、価格が50%下落するよりもだいぶ前のタイミングでマージンコールを借り手に対して行います。マージンコールが行われた時に、借り手が追加で担保を入れない場合は、担保にとっている資産を市場で売却して、運用元は元本や利益を確保します。そういった面からも、『担保ローン』は、非常に安定した運用方法と言えると考えています。

マージンコールとは⏬

3)提供金利の高さ

当社が提供しているレンディングプランでは、USDT・USDC・BTC・ETH・ETC・BNBの6通貨を取り扱っており、取り扱い通貨数は国内最多になっています。提供している年換算金利は最大10%です。国内の他のレンディング事業者が続々と金利を下げている状況ですが、当社の提供金利は国内最大となっています。また、安定した運用ができているので、11月よりも12月の方がベースとなる提供金利が上がってきています。

当社では、2022年に入ってからレンディング事業への参入をすべく、このような厳格な運用体制の構築をするのに10ヶ月以上かかってようやく立ち上げることができました。市場は最悪の状況にはあるものの、ユーザー数やレンディング残高は順調に伸びています。
12月には、トレンド予測に基づく変動金利レンディング『クリプトレンド(CRYPTOTREND)』をリリースしました。『クリプトレンド』は、元本保証という安全な資産運用を実現しながら、仮想通貨の価格トレンドを予測するというゲーム性を楽しめるサービスになっています。

自分が予測したトレンド(ブル or ベア)と同方向に市場が動くと、より高い金利を狙えるサービスになっており、数十%のAPYを狙うことも可能です。また、運用期間は約2週間と通常のレンディングプランよりも短いため、自分の資産がロックされるリスクも低いですし、2週間ごとに自分の予測トレンドを変更することもできます。

『クリプトレンド』のリリース以降、日本国内で初めてのサービスということで各種メディアに取り上げていただいております。

おわりに

ここまで、色々と振り返りながら書いてきたため、7日間くらいかかってしまいました(笑)
マーケットは最悪な状況にはありますが、今年は事業をスケールさせるための基盤作りにフォーカスしてきた結果、クリプト資産運用プラットフォームに転換するために必要なプロダクトを続々とリリースできた1年になりました。このようなリリースを継続して行えたのは、当社の組織力が大きく向上したからです。今年からはプロダクト開発、バックオフィス、広報・マーケティングの各部門に有能な人材がそれぞれの部門の責任者に就任したことで、道が拓けました。複業や業務委託で入ってくれているメンバーも最高です。僕の達成したいビジョンを具体的に実現してくれる信頼できる仲間が増えるのは本当に大きくて、これからも信頼できる仲間を増やして、より大きなビジョンを成し遂げていきたいと強く感じています。

有能かつ信頼して仕事ができる仲間は大募集しておりますので、是非当社HPをご覧いただいてご応募くださいましたら幸いです。
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来年は今年作りあげてきた基盤をベースに、より大きなプラットフォームへとグロースしていく1年になりますので、株主、当社サービスのお客さま、当社チームメンバー、といったステークホルダーの皆様のより一層のお力添えをいただけましたら幸いです。
寒さも厳しくなってきましたが、ご自愛の上、良い年をお迎えください。
来年も宜しくお願い申し上げます。

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