見出し画像

映画「今はちょっと、ついていないだけ」レビュー

評点:85点

前からどうしてもみたいと思っていて、演技合宿終わりに吉祥寺の映画館にて2作品連続で観賞した2作目として、拝見いたしました。

率直に心へ刺さりまくりの映画で、共感できる登場人物がたくさんいらっしゃり、みなさんうまくいかないこともあり悩んだり落ちこんだりすることもあるけど、自分と向き合って生きていることを感じさせてくれました。

とにかくゆっくりな展開はこの映画の特徴のひとつで、タイトルにもそれが表されています。自分もそうですが、人生行き急いでしまうこともあり、普段の生活からイソイソしてしまいがちですが、少し立ち止まったり歩みをゆっくりにする時があってもいいのではと語ってくれます。

若干、物語の前置きの長さが気になりましたが、そこも「焦らずにじっくりみましょう」ということなのかも知れないと考え、物語を読み進めていくことが大事になります。

描写や演出へのこだわりも感じられ、ただ難解な演出も多少あり、1回だけでなく2回3回と観賞することにより、もっともっと解釈できるところやわかってくる部分が増えるのかなとも感じており、次回観賞以降の新たな気づきに期待がはずみます。

玉山さんはじめ、出演俳優さんの落ちつきと感情の激しい演技の起伏がすばらしく、登場人物の根っこにある、みえ隠れしているゆずれない部分とか葛藤が随所に表現されていて、なかなかみごたえがあります。

個人的に特に印象的だったのは音尾さんの演技で、みなさん劇中で様々な苦労をされているなかで一番苦労しているようにみえましたし、一番感情移入しやすかったと感じております。

かとうかず子さんの最後のセリフには、この映画の全てが集約されており、そんな物語において最重要なセリフをかとうさんに語らせた部分も、奥深さのひみつではないかと感じました。

実際、物語終盤までの変化や展開は小さめではありながらも、着実に前に進んでいることが感じられることも、この映画ならではなんだなあと思い、評点をつけさせていただきました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?