ロフト名古屋と私

名古屋には何もないといろんな人が言う。海外アーティストの公演も、有名なブランドショップも、だいたい名古屋という場所はスルーされ、第一に東京、第二に大阪、第三に福岡、横浜、神戸、札幌、とにかく"名古屋以外のどこか"といったチョイスの仕方をされる。そういうことが物心ついたころから何度も何度も繰り返される中すくすくと大人になると、名古屋のことを懐疑的に感じる大人ができあがる。名古屋が蔑ろにされているのを、どこよりも近い視点で見てきたからだ。挙句テレビをつければ名古屋が魅力度ランキングであーだのこーだのやっているわけで、もうこれは、洗脳に近い。名古屋人は、名古屋を愛さないように洗脳されてしまうわけなんですよ。

かろうじて名古屋市という住所になっているものの特段都会でも下町でもない、名古屋の本当に端っこにある住宅街、ここで生まれた私が小学生くらいの頃になんと家の近所(といっても徒歩30分くらいの場所)に地下鉄の駅ができた。名古屋市の中心部にこれで行きやすくなった。徒歩30分往復することを我慢すれば。当時はこれでも駅から近いと思っていたから小学生はすごい。友人たちと一緒に科学館やでんきの科学館などに足繁く通ったのを覚えている。中学生になり大須へ行き、高校生になりパルコへ行った。ようやくそこで栄という街に辿り着き、ファッション文化やら雑貨文化に触れるようになるのだった。当時、イオンモールなんてベイシティくらいしかなかったからね。

栄を回るコースなんて決まってて

  1. 矢場町で降りる

  2. パルコ

  3. ロフト

  4. スカイル

  5. なんか食べて帰る

くらいのコースしかなかったことない?これが高校生の私には全てだった。名駅には高島屋はあったけど、高島屋しかなかったし、あの頃はまだ栄の方が元気だったように思う。同年代の名古屋市民にみんなどこへ行ってたのか問うて回りたい。大須から矢場町コースもあったよね。東急ハンズまで足を伸ばしたよね……

ロフトで買ったものはいくつもある。高校のころ使ってたカバンもロフトで買ったし、もう捨てちゃったけどなんか地味なお弁当箱とか。あと名刺入れもロフトで買ったな。財布も隣のビームスで買ったわ。これも捨てちゃったと思うけどポーターのキーケースも買った。高校生って見た目とかオシャレとかすごく気にする時代に、なんかちょっとセンスいい感じのものって地元には本当に買う場所なかったんだよ。買いに行こうと思ったらパルコがロフトか東急ハンズしかなかった。探せばなんかいい店あったんだろうけど、でもこのTOP3みたいな感じじゃなかったですか?名古屋市民と語らいてえ。

そんなロフト名古屋が6月末で閉まるというので、名古屋ついでに行って来た。久々に来たけどもう品数も減ってて本当に閉店するんだ〜って実感少し湧いた。トイレもねーここの建物意外とボロいんよな。ビレバンできてたの知らなかった。数年前からあったみたいだから、数年来てなかったんだな。ロフトに。名古屋に帰省して確かに真っ先に寄る場所でもなかった。でも今住んでる近所にある小さなロフトに行っても、あの頃と同じ気持ちでワクワクするし、渋谷フラフラする時もロフトはなんとなく寄っちゃう。しょうもないけどロフトって私の中で少し特別な立ち位置にあった。ロフトなんてって東京の人からしたら笑うかもしれないけど、名古屋生まれの私はそうだった。最後にマグカップを買いました。

ありがとう。ロフト名古屋。本当にお世話になりました。

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