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チームの仲間の信頼を勝ち取るための3つの行動

僕はアメリカの製薬会社で働く日本人研究者です。僕の仕事は、トキシコロジスト。画期的新薬を、これまで十分な治療法のなかった患者さんに、いち早く届けるために、患者さんに投与しても十分安全か? 安全に使用するにはどのような分量をどのように投与すべきか? などを細胞・組織・実験動物を用いた試験から明らかにしていく仕事です。特に新薬の開発が最終段階を迎えると、大きなチームを率いてリーダーシップを発揮することが求められます。チームを団結させ、画期的新薬を世に出して、必要とする患者さんに届けるという成功を勝ち取るために、効果的だった僕の起こした3つの行動を紹介します。

チームミーティングに命をかける

たくさんの優秀な研究者やスタッフが、様々なアイディアを出して、試験や仕事を進めてくれています。ただ、各人は、日々それぞれの仕事に追われているので、新薬承認という大きなゴールの中で、「一体自分はどんな貢献をしているのか? 自分の仕事にはどのような意味があるのか?」が見えづらくなります。こんな時、僕ができることは、チームミーティングを定期的に開催して、それらを明らかにし、チームの仲間にモチベーションと各々の明確なゴールを持ってもらうことです。言葉が悪くなるかもしれませんが、各々の仕事は、大きなプロジェクトを推進させ、成功に導くための歯車です。ただ、その歯車が、どこにあるもので、どのような役割を持ち、どのように全体に貢献しており、その歯車が働かないと全体にどのような影響がでるか、がわかっていないと、担当する人はやらされ仕事に感じます。ひどい場合は、その仕事を依頼している上司でさえ、これらが曖昧になっている場合もあります。

チームミーティングを定期的に開き、プロジェクト全体の進み具合を示した後に、それぞれの歯車の役割、位置、貢献を明確にすると、チームメンバーは、各々の仕事の意味、意義、貢献を見い出せます。さらに、チームミーティングを開催する度に、各々の歯車が回って、プロジェクト全体が進んでいることが分かると、俄然、チームとしての団結力が強くなります。

僕は自分がオーナーシップを取るミーティングには命をかけて徹底的に準備することにしています。1時間のミーティングを行うのであれば、そこに参加する人は、それぞれの大切な1時間を僕のミーティングのために使ってくれるのです。参加者がミーティングに出てくれるためのメリットを想定し、準備します。徹底的にエンターテインすることを考えます。と言っても僕はユーモアのセンスは全くダメな方なので、僕が提供する情報・視点でエンターテインすることを心がけています。「僕のミーティングに出てよかった。ためになる情報を得ることができた。次回からも僕のミーティングを逃してはならない」と参加者に思ってもらうようにです。

超高速レスポンス

メールや電話やインスタントメッセージが来る度に、自分の仕事を中断して、対応するのは大変非効率なことです。ただし、チームで仕事をしている場合、リーダーである僕のレスポンスが遅れれば、レスポンスを待っている人の仕事は、その間ストップしてしまうかもしれません。チームが大きくなり、団結力で突き進まなくてはならないフェーズでは、僕は自分の仕事の効率化は犠牲にして、超高速レスポンスを重視するようにしています。

基本的にチームメンバーからの直接な電話やインスタントメッセージには即対応。簡単な返信ができるメールは5分以内。少々、回答に時間がかかるメールも15~30分以内に対応するようにします。簡単に返信できず、時間がかかる場合は、とりあえず、メールを見たこと、いつまでに回答することを伝えるメールだけをすぐに返信するようにします。

これによって少々自分の仕事は非効率的になりますが、チーム全体の活動が滞ることに比べれば、取るに足らない犠牲と捉えれます。チームのメンバーは、僕のチームに居ると、いつも迅速にレスポンスがもらえることが分かると、僕のことをとても信頼してくれるようになります。こうして得られるチームメンバーからの信頼感は、自分の仕事が非効率になるデメリットを優に上回るベネフィットです。

早朝ロケットスタート

通常の仕事時間にチームの仲間に対して超高速レスポンスを心がけていれば、自分が集中して一つの仕事に取り組む時間は犠牲になります。これを解消するには、皆が仕事を開始してメールや電話をしてくる前の早朝に、集中して取り組むことが必要な仕事を終わらせてしまうのです。中島聡さんの著書「なぜ、あなたの仕事は終わらないのか」で使われていた言葉を真似して、僕は「早朝ロケットスタート」と呼んで、この時間を楽しんでます。

幸い僕は、早朝3~4時に起きる超朝型人間です。なので、早朝の2~3時間を集中して取り組む重要な仕事をする「早朝ロケットスタート」の時間として楽しんでいます。この時間は、自分の頭も冴えているし、邪魔も入らずに集中して取り組めるので、とても質の高い仕事ができます。それをチームの仲間に共有することで、さらに仲間からの信頼を得ることができます。


偉そうなことを書いてしまいましたが、正直なことを言いますと、僕は人に共感し、真意や深い思いを汲み取り、理解する能力には全く長けておらず、リーダーには向いていない人間かもしれません。ただ、その自分の欠点を認め、自分ができることを一生懸命こなし、チームの仲間に頼れば、チームの仲間は助けてくれることを経験してきました。今後も、上記のような僕ができることは一生懸命実践し、できないことは、あっさり仲間に頼っていこうと思ってます。




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